テラーノベル
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この作品には以下の要素が含まれます。
・自傷行為(レグカ、OD)
・年齢操作
それでもいいよ!という方は読んで是非感想ください!
「おーい、太智! もう朝だぞ!」そう言いながらインターホンを連打する。いつもなら3回くらいで出てくるのに、何かがおかしい。彼の家族は今、流行病に掛かって入院中だから彼が出ない限り、鍵は開かない。このままだと遅刻してしまうし、置いて行こう、そんなことを考えていたが、何となく嫌な予感がして俺は何度もインターホンを押していた。
「うわ、もうこんな時間かよ……」
腕時計を確認すれば、もう学校が始まる時間だった。仕方なく親に『太智の様子がおかしいから学校に遅刻の連絡して』とLINEを入れる。すぐに『OK』というこの状況には似合わない、可愛らしいスタンプが返ってくる。
「……しゃーない、入るかぁ」
1階の窓で開いているものを探す。二、三個ほど窓を開けようと試して開くものを見つけた。
「太智、入るぞ」
そう声を張れば
「やめて!!」
と帰ってきた。なんだ、寝坊じゃないのか。それにしてもやめてって何を? 来るなってことか? 特に喧嘩をした覚えもないし、家は全く荒れていないから強盗に入られた様でもなさそうだし、どうして? 何も分からなくて、思わず扉を開けてしまった。
「なんで来たん? 来やんでって言うたのに! ……こんなん見られとうなかった、知られとうなかったのに」
そこには空の薬の箱に囲まれる彼がいた。下には何も着ていなくて、その太ももからは血液が流れているのがわかる。ティッシュが何枚も敷かれていて、それが赤く染っていると言うだけだから、もしかしたらただ単にどこか怪我をして、ズボンが汚れたからと下を脱いでいるだけかもしれない。そんな期待を彼の傍にある、赤く染まるカミソリが消してきた。止めなければ、いや、もう遅いか? じゃあ何をしたらいい? 分からなくて怖い、変なことをして彼を潰すのが怖い。けれどこのままだと彼はさらに壊れる。俺はどうしたらいい?
「……太智」
考えているうちに、体勝手に動いていて、彼に抱きついていた。青くなる彼の顔とは対照的に、ワイシャツが赤く染まる。
「なんでこんなんするん? ……どうせなら軽蔑してや、離れてぁ……」
彼はいつの間にか泣き出していて、俺は静かに彼の背中を摩った。
「俺ずっと……ずっと仁人が好きやった。そやけど……綺麗な好きやのうて、そんな自分が嫌で……」
好きって、今伝えることか? 思わず口を出そうになった言葉を飲み込む。だって、それが彼がこんなになった原因なのだから。俺も同じ気持ちだったのに、彼は気づけなくてすれ違って、一人で抱え込んで傷ついてたんだ。彼は。俺は気づいてたのに。俺のことを見る彼の目が、他の人を見る目と違うことに。俺への気持ちを勇斗に相談してるのも隠れて聞いてたのに。じゃあ、これって俺の責任じゃないか。
「ごめん、太智。……あのさ、今言うことじゃないと思うんだけどさ」
俺がそう言うと、彼は弱々しい声でうん、返事をした。
「俺も太智のことが好き、大好きなんだ。……ずっと前から太智の気持ちに気づいてたよ、それこそ5年以上前から」
「それって……俺が自覚するより前やん、そがに前から気づいてたのに……仁人ってほんま酷い人やな。そやけど……大好き」
そんなやり取りをしたところで、俺は急に正気に戻った。
「……あのさ、下履こう。ズボン履いてない状態での告白は……流石に、だからさ……今度また告白やり直しさせてくれない? 次は俺から伝えるから」
「……やばい、すっかり忘れてた……そうやな、これじゃ格好つかんわ。……やり直し、楽しみにしてもええかな?」
彼がそう言って微笑む。目を逸らしたいのに目を逸らせない。
「もちろん、楽しみにしてて。学校行けそうか?」
格好つけてそう返事をする。
「……行けなさそうやさけさ、ちゅーで治して?」
先程まであんなに泣いていたのに、なんでこんな顔をできるんだ。そう思っている俺の頬も緩んでいて、きっと情けない顔をしているのだろう。
「もちろん、治して満たすよ、その為にさ、太智の一生を頂戴」
慌ただしい朝の、静かな終わりだった。
コメント
2件
あっ好きです。🫶🫶 まじ天才すぎません、?? こういう系も書けるんですね… いやもう尊敬でしかないです、、