テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
3
画像︰安樂 華音
「もうね、ホントにヤバいの!!溜まりに溜まりまくって、もうこの紙の集まりががお金だったらいいのにって!!!そう、紙幣!!できれば壱万円がいいな〜。期限日とうに過ぎてるし、先生にはその場しのぎで誤魔化してたけど、ちっとも進まないし!!締め切りの業火がすぐそこまで来てる!!!あ、もう締め切り過ぎたのか!!そしたら業火も通過してて、紙幣が燃えて宿題が無くなって……あれ?、ならみんなHappyに……???」
「分かった。分かったから、一旦落ち着け」
日本語おかしくて意味が伝わんねぇよ、と優雅があたふたとまくし立てるありすを制止する。
華音に至っては、その様が面白かったらしく、話の途中からケラケラと笑っていた。
「要するに、大ピンチってこと?」
「そう!それが言いたかったの!!」
霧亜のほぼ内容を端折った要約に、ありすがブンブンと首を縦に振って頷く。
「よっしゃ、見返りは?」
「ひどくない!?!?」
優雅がニコニコの煽り笑顔で片手を差し出す。
「お友達の大ピンチを救ってやろうっていう思いはないの!?」
「んー?もちろんあるとも。だからこうして一考してやってるんだが?」
「ううぅ……」
貸し借りは早く済ませたほうが身のためだぞ〜?と、ありすを煽り続ける。
「優雅、汚い……」
「その気になっちゃったんやし、しゃーなしっしょ」
「悪ノリが酷いんだよなー、優雅は」
外野の三人は優雅の性格をよく知っているので、関わらないほうが幸と距離を置き始める。
ううぅ……、とありすは困り顔で暫く考え込むと、
「じゃ、じゃあ、優雅の分は私が奢るから!!」
「うっし、交渉成立♪」
しょもん……、となりながら、ありすは机の上に置かれた領収書を見る。自身が頼んだアイスパンケーキ(七五〇円)に、優雅が頼んだ抹茶ラテ(三三〇円)と抹茶パフェ(七六〇円)が足されて合計一八四〇円。消費税を入れると二〇二四円になってしまった。
流石にいたたまれなくなり、霧亜が助け舟を出す。
「仕方ない。おれが半分払うよ」
「篭原天神さま〜〜〜!」
「 や め ろ 」
抱きつこうとするありすをヒョイと避けて宥める。
「優雅もそれでいいよな?」
「構わんよ」
「ウチも手伝う〜」
「わたしも……」
どうやら、みんな協力はしてくれるようだ。
「で?肝心の宿題はどのくらいあるん?」
いつから溜めてんの〜と、華音はありすに聞いた。
「実は……、入学課題から終わってなくて……」
「はぁ!?」
普通科高校は入学が決まると、春休み中に済ませなければいけない課題を出してくる。それで新入生の課題提出率や学習態度を初めて見ているわけだ。
入学課題の提出日がおよそ二ヶ月以上前。それからは毎日の課題もあった為、計算すると、どのくらいになるのか、想像もつかなかった。
「よし、解散!」
「まってまってぇ!!」
奢ってあげたじゃん!!と、ありすが悲痛な声を上げる。
「流石に許容範囲外だわ、ばか!!
彩芽の能力使うにしても、限度があるぞ……」
優雅は今日だけで何回になるか分からない、呆れのため息をもらす。
「いや、一応三分の一は終わらせたんだよ!!でも、本当に難しいし、時間無いしで……」
お願いだから助けて〜!!と、半泣きになりながら頼む。
「手伝う……よ」
「あやめ〜〜〜!!」
気の毒になったのか、彩芽がたどたどしく話した。
「ホントにいいのか?」
優雅が心配そうに聞く。
「無理せんでよ〜。キツかったら代わるかんね〜」
華音はひらひらと手を振り、カタンと席を立つ。外を見ればだいぶ夜が近づき、オレンジと紫のグラデーションができていた。
「んじゃ、今週の土曜はありすんとこにしゅ〜ご〜」
華音が話をまとめて一段落した。暗くなりきらないうちに、各々家に帰ることにしたのだった。
まさかこんなしょうもない理由で呼ばれることになるとは……、と帰り道を歩きながら霧亜は考えた。
これならわざわざ集まらなくても、ラインで良かっただろ……と、思ってしまったが。
(……まあ、マシュマロ食えたからいいか)
と、ポジティブ思考に切り替え、何故か疲れ過ぎた一時間を乗り切ったことを心の中で褒めたのだった。
コメント
1件
第3話読んだよ〜!ありすの宿題ピンチ、めっちゃ共感したわ。優雅の「見返りは?」からの抹茶パフェまで奢らせる流れ、悪ノリすぎて笑った(笑)彩芽ちゃんが「手伝うよ」って言ったとこでほっこりした〜。みんなの掛け合いが自然で、この4人の空気感すごく好き。霧亜のポジティブ思考もいい締めくくりだった!次も楽しみにしてる🔥