青い空が広がっている。
雲ひとつない快晴。
まだ、涼しさを感じる風。
そんな空の下にふたりの少女がいた。
フェンスを挟んで何かを話している。
ひとりの少女は必死に訴える。
次の瞬間、もうひとりの少女は、雫をきらつかせながら、青い空へと鳥のように羽ばたいた。
そして、鈍くも儚い音とともに屋上に残された少女の声が響いた。
________ 。
放課後、屋上でギターを弾くのが好きだ。
弾きながら静かに歌うのが好きだ。
うるさい箱は嫌いだ。
音は、嫌なことも全て消してくれる。
風にあたれば、もっと楽になれる。
飛べる気がする。
だから、屋上が好きだ。
でも、
1つだけ、最近、気になることがある。
放課後になると、時々、箱で人に囲まれている彼女が屋上に来ることだ。
彼女は、私のギターを邪魔するわけでも、話しかけてくるわけでもない。ただ、そこにいる。それだけ。
屋上の隅。
座り込んでいる。
そんな日がもう、1ヶ月続いている。
ある日。
「ねぇ、なんで最近、屋上に来ないの?」
箱の中、彼女に聞かれた。
驚いた。だって、あの静かに何かを眺める横顔が今私を見て、屋上へ来ないのかと聞いているからだ。
「えっと、、今は、定期テスト前だから…」
今まで勉強しか取り柄のない私にとって、定期テストは命だからだ。
良い所へ行きたい。そして、ギターを続けたい。だから、今を頑張らないといけない。
「…そうなんだ。」
彼女は、少しつまらなそうな顔をした。だけど、私にはその意図がわからなかった。
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