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#リクエスト
おにぎり
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自分の家についた瞬間。
ズボンのポケットに入れていたスマホから着信音が鳴り響いた。
機嫌が良いままスマホを手に取る。
手に取ったスマホの画面には、
あいつが運ばれた病院の名前が表示されていた。
一気に現実に引き戻されたような虚無感に襲われる。
少し汗ばむ指で応答ボタンをスワイプすると、女の看護師らしき声が聞こえた。
「恐れ入ります。私、××総合病院の〜〜」
相手が慣れた口調で名乗っているのを、腹立たしい気分で静かに聞く。
「昨日、お子様の搬送の件で、第一発見者としてご対応いただいた007n7様のお電話でお間違いございませんでしょうか。」
一呼吸置いてから、いつもよりワントーン低い声で返答をする。
「……はい、そうですが。」
「お預かりしているお子様ですが、集中治療室での処置のおかげで、今朝無事に一命を取り留め、容体も安定いたしました。」
舌打ちをしそうになる程どうでもいい。
「…よかったですね。」
ため息混じりに返事をする。
「それでですね……、警察が昨日から親御さんの捜索を行っていたのですが、今朝になって身元を偽装して、完全に行方をくらませてしまったことが分かったんです。」
電話の向こうから、本気で心配していそうな声が聞こえてくる。
所詮は偽善者の癖に。
「…それで?」
不機嫌な気持ちを抑えて返事をした。
「現在、乳児施設もどこも満床で、あのお子様の受け入れ先がない状態なんです。」
「………はぁ」
思わずため息が漏れる。
「幸いにも容体は安定いたしましたので、あのお子様は3日後に退院となります。つきましては、第一発見者であるあなた様に、その日までに一時的な保護の手続きと、お引き取りの準備をお願いしたくご連絡いたしました。」
「お断りします。」
間髪を入れずに声量を大きくして、相手に圧をかけた。
他人のガキを育てるなんて……冗談じゃねぇ。
しかも、あんなのを引き取れば、俺の人生が狂う。
本当に……デメリットしかない。
「……あの、医師からの報告では、赤ん坊の気管から大量の水道水が検出され、強引に飲まされた形跡があると聞いています。もし保護の要請を拒否されるとなると、警察側も虐待や遺棄の可能性を本格的に疑うことになります。そうなれば、3日後の退院を待たず、本日中にもあなたのご自宅へ警察による事情聴取や家宅捜索が入る可能性がございますが…よろしいのですね?」
……警察、事情聴取、家宅捜索。
そして、三日だけの猶予。
静かに圧をかけ返され、思わず唇をきゅっと噛んだ。
焦燥感で心臓が激しく脈打つ。
怒りで震えそうになりながら、スマホのスピーカーに声を拾わせた。
「……………分かりましたよ、引き取ります。」
それを言い終わる頃には、視界が小さく揺れ始めていた。
コメント
1件
**はる。だわ〜** いやもう、冒頭の「舌打ちしそうになるくらいどうでもいい」って心の声、めっちゃわかるわ。笑うとこじゃないけど、主人公の冷めきった温度感がリアルで刺さった。 で、あの押し問答の緊張感よ。「他人のガキなんて冗談じゃねぇ」→「警察来るけどいいんすか?」って逆転する圧の掛け合い、めちゃくちゃ好き。 しかも最後「視界が揺れ始めた」で終わるの、余韻やばすぎる…。この先どうすんだろ、気になって寝られん。🔥