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棒は脳みそを貫通した。
その瞬間、謎の液体とゾンビの悲鳴が漏れた。
だが数分も経たないうちに俺に向かってくる。
「は、は?」
そう、死んでいなかったのだ。
俺の一撃はゾンビの脳みそを貫通した。
だがそのゾンビは棒につっかえながら俺に手を伸ばし、俺のことを食らおうとする。
「まだ死んでねぇのかよ…」
「う、嘘でしょ…淕!!!」
そう朱が叫んだ瞬間に純がそのゾンビを蹴り飛ばした。
「今のうちに逃げるぞ!」
「お、おう!」
純は朱の手を引っ張り、教室から出ようとする。
だか奈々はまだその光景を見て愕然としている。
「奈々!」
俺はそう叫び、奈々の手を引っ張る。
「ご、ごめん…ごめん……」
「謝るんじゃねぇ!今は逃げるのが先だ!」
「だって…だってぇ…」
奈々は泣きながら理由を話そうとする。
そんなのはお構いなしに俺は奈々の手をしっかり握り、純が行った方向へと逃げる。
「淕!こっちだ!」
純が向かった先は「放送室」だ。
「はっ!?そっち行ってもいいのか!?」
「いいから早く来い!」
俺はビビりながらも放送室へ駆け込む。
そこには、見慣れた放送室があった。
血なんてものはない。
「…は?」
「淕!手伝え!」
純はドアを閉め、近くの机をドアの前に置く。
「わ、わかった!」
と言いながら俺もそれを必死に手伝う。
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放送室にあった数個の机をドアの前に置いた。
そして掃除用のモップをドアに絡ませて、入れないようにした。
「あ、あの放送はここでやってなかったのか…?」
「この学校は放送室が二つあるんだ。」
俺がそう聞くと純が指をさし、説明を始める。
「一つはここ、そしてもう一つが職員室にある。」
「…ってことはあの放送は職員室で…?」
朱が少し泣きそうな顔でそう尋ねる。
「…まぁそういうことになる。」
数分沈黙した。
「…でも結構ラッキーだったよな、放送室って防音だからドアも結構頑丈だから。」
「…それを思いついた俺は天才だね。」
「…うっせ……」
俺は頭を下げて謝った。
「本当に助かった。」
「…いいってことよ、頭上げろ…」
「お前可愛いな」
「うっせ!!!」
そんな他愛のない話をしていたら、放送室の端っこで包まってた奈々が悲しそうな声で言う。
「…そんなにいつも見たく話せるあなたたちが羨ましい…。」
数分沈黙が続き、奈々が俺に尋ねる。
「…ねぇ、私たちこれからどうなるの…?」
「…え?」
「…私達…死んじゃうの…?」
「そんなの嫌だ!嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ…!」
みんな嫌なのは知っている。嫌だけど生きなければならない。
そんな状況なのに奈々は続ける。
放送室のドアがゾンビで押し寄せる。
そんな時、純が奈々の肩を力強く叩く。
「うっせぇんだよ!」
「…へ?」
泣いてくしゃくしゃになった顔の奈々が純のほうを見る。
「みんな嫌なのは知ってる!だけど生きなければならないんだよ!」
「死にたくないんだろ!?だから必死に生きるしかないんだ!」
「嫌でもう生きたくないならあそこの窓から飛び降りてゾンビの糧にでもなれよ!」
「純!言い過ぎだ…。」
「そ、そうだよ…。だけど純くんの言ってることは正しい…。」
俺と朱が必死に止める。
「奈々ちゃん、嫌なのはみんな同じ気持ちだよ…?だけど、生きたいって思ってるから一生懸命生きてるんだ…。」
俺は朱に「スタジオに奈々を連れて一回頭冷やしてこい。朱も休め。」と言い、スタジオに行かせた。
俺はスタジオのドアを閉め、純にこういった。
「これからどうしようか…?」
純は何も言わずに下を向いている。
朱と奈々がいるスタジオからは泣き声が響いている。
その音と同時にゾンビがドアを叩く音が聞こえた。