夜景に映えるはあなたの頬
「ちょ、るなさん離れてって!」
「んー?なにがー?」
「なにがって…………。」
るなはなおきりを抱きしめて離さない。まるで気に入ったおもちゃを見つけた子供みたいに。
だからといってここでお別れしない訳にもいかないし……なおきりは困り果てていた。
――今日二人は遊園地で仲良くデートをしていた。それは本当に楽しくて、夜まであっという間に過ぎていった。
「今日楽しかったね!なおきりさん!」
「うん、めっちゃ楽しかったよね」
笑いながら遊園地の出口まで向かう。
なおきりの方が歩くスピードは速い。でも、るなに合わせているから今はとってもゆったりだ。
なおきりはさりげなく恋人繋ぎをしようとして、るなの手にちょん、と触れた。
彼女なんだから、もちろん意識はする。びっくりしてるなはなおきりの顔をまじまじと見た。
耳元まで真っ赤になってるほっぺはりんごみたいで、それにつられてなおきりも照れる。
……無言の時間が流れていく。きまずい、でも……。
『あのさ……!』
二人同時に言っちゃったもんで、思わず二人して笑ってしまった。
ふふ、ふふふと顔を合わせて見つめ合う。
その時に無意識に、手を繋いでしまっていて、気づいた時にはもう遅い。
「あ……!ごめ……」
「やだ!このままが良い」
恋人繋ぎをしたまま、るなはなおきりの手をいじる。開いたり、閉じたり。
「あ……えっと、」
にひひ、と笑うるなを見て、なおきりは困ったように眉を下げる。
――あ、出口に着いてしまった。
「また、今度、デートしない?」
「んー……」
そう言って、なおきりに思いっきり抱きついてしまった。これが今の出来事だ。
「わ……わー!」
行き場のない手をあわあわしながらるなをみつめる。瞳と瞳があってしまった。
るなの瞳はダイヤモンドみたいに輝いていて、夜景によく似合っていた。
思わずなおきりは見とれる。……綺麗、なんて感想も思い浮かんだ。
「えへ、そんな見つめたら照れちゃうよ」
顔を真っ赤にしながらなおきりから目をそらす。
「ねね、」
「どうしたのー?」
「なにがいちばん楽しかった?」
るながそんなことを聞くと、なおきりはにや、と意地悪そうに笑う。
「ジェットコースターかな」
「んもぅ〜〜!!!」
ぷんすか、と効果音がつきそうなくらい怒ったるなはなおきりの胸をぽこぽこと叩く。
――しばらく帰れなさそうだ。
――――――――――――――
ちゅ、とリップ音が部屋に響いた。
ほっぺに手を滑らせ、目線を合わせる。
「いきなり、なに、えぇ?!」
なおきりは目を見開き、口をパクパクと動かす。何かを言いたげな雰囲気だが、言葉に出来てないから言ってないのと同じだ。
いきなり彼女から熱烈なキスを送られたら誰だって照れるだろう……。
「心臓に悪いよ……ほんと」
るなは太陽のような笑顔をなおきりに浴びせる。
なおきりは一生勝てないな、と頭を悩まされるのであった。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!