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ある日、
天から白いふわふわとした何かが降ってきた。
人々は空を見上げ、中には手を伸ばす者も居た。
そんな時、それに触れたものが大声を上げた。
『冷たい!』ただそれだけだった。
しかし大袈裟に騒ぐものだから、
皆恐る恐るとそれに触れた。
たしかに冷たい。
しかしそれだけで他の弊害は無かった。
そう思っていたのはその日だけだった。
次の日から、世界は変わった。
緑は消え、色鮮やかな世界が消失した。
鳥も鹿も全ての生き物が姿を消した。
昨日、天から降り注いだ白いふわふわとした何かは今では世界を埋めつくしていた。
人はこれを『シェレグ』と呼んだ。
中にはシェレグが生命を持つ生き物だと言う人や世界の終わりを告げる前兆だと言う人が居た。
それから数週間が経った。
シェレグによって世界は色を消され、木も枯れた。
人々の生きる糧は消え、皆失望していた。
その時だった。
天から誰かの声が聞こえた。
『これは1つの季節の始まりなのです』
『祝いなさい』
『ここで得られるものがある』
『留まりなさい』
と。
人々は神だと信じていた。
しかし、
なのにも関わらず、 誰もがその言葉に背いた。
そう。
人々は村を捨て、土地を捨て、全てを捨てて、
その場を後にした。
結局人々はどこに行ったのかは分からない。
生きているのかは分からない。
ただ残るのは白い景色と寒々とした空気だけだった。