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二限目は移動教室だった。教科書類を持って教室を出ると後ろからガシャンと何か割れる音がした。振り向くと柊さんが頭から血を流した状態で倒れていた。付近にはコップの破片が飛び散っていた。「あはは!いいざまだね!柊!」後ろの方でこの前の1軍女子たちが笑う。「君たち……何してるの……?」僕が聞くと女子たちは「ねぇ〜新海君!そんなやつほっといて私達と行こ!」と腕を絡ませてくる。「ねぇ……君たちは人にガラスのコップを投げつけれるの……?」僕は女子たちに聞く。「あはは!なに言ってんの?新海君、そいつウザいんだよ?なんなら私が一回ヤッといてあげようか?」1軍女子たちは笑う。僕はその笑いがとてもムカついたので「黙れ」と一言いい彼女たちを睨みつける。すると彼女達は顔を青ざめてそそくさと逃げていった。柊さんは頭から血が出ているものの意識はあるようだ。「大丈夫?柊さん?」僕は声をかける。「うぅ…」と柊さんはうめく。とりあえずまずは頭の出血をどうにかしないと。僕は部活で使うタオルを裂いて柊さんの頭に巻く。そして髪に引っかかったガラスの破片を取り除く。「大丈夫?立てる?」僕は柊さんに声をかける。だが反応がなかった。ただうめくだけで何も答えてくれない。僕は柊さんを抱いて保健室へ向かった。
「失礼しまーす」と言って中へ入る。「あら?新海君?どうしたの?」保健室の先生が僕の方を見て言う。僕は「先生、この子がガラスで頭を切ってしまったんです」と言う。すると先生は「わかったわ!とりあえずそこのベッドに寝かせといて!」と言って奥から救急箱を持ってきた。僕は柊さんをベッドに寝かせる。そして先生は柊さんの頭に包帯を巻く。「はい!これでOKよ!」と先生が言う。「ありがとうございます」と言うと先生は「いいのよ?それより……その子って……」と少し顔を曇らせながら言う。
その後、柊さんを保健室に残して僕は教室に戻った。「あ!新海君戻ってきた!」1軍女子たちが僕の方へ寄ってくる。「ねぇ?ホントどこ行ってたの〜?」と聞いてきた。「少し黙れ…話しかけるな」僕は冷たくあしらう。「え……でも……」と1軍女子たちは言う。「黙れ」と僕がもう一度言うと彼女達は黙った。
放課後、保健室へ柊さんを迎えにいくと「あら?新海君。さっきはごめんなさいね」先生が言う。そして先生は続けて話す「あの子……結構いろんな問題があって学校でいじめが多いらしくて…それで今回も怪我をしたのかと思ってたの」僕は少し考える。「先生、その事についてなんですけど……今日の放課後ちょっと柊さんと話させてください」僕が言うと先生は「えぇいいわよ?」と言った。僕は柊さんのベットの近くに行く。「あ…私はお邪魔かしらね」先生はそう言って部屋から出ていった。柊さんはゆっくりと目をあける。「あ……あれ?ここは……?」と彼女は僕に聞く。「保健室だよ」僕が言うと「そっ……そうなんだ……」と言って外を見た。外は曇りだった。「ねぇ……?」彼女が何かを言いかけた瞬間、僕の携帯が鳴る。そのメールの内容はこうだ。『今日、夜7時に駅前の公園で待ってるね!』
僕はそれを読み終わると僕は呆れ、携帯をポケットにしまう。すると柊さんがまた口を開く。「あの……さ……今から少し時間ある?」僕が「いいよ?どうしたの?」と聞くと彼女は話し出す。「あ……あのさ……私ってみんなから嫌われてるでしょ……?だからあまり友達とかできなくて……」柊さんは泣き目になりながら話す。僕は静かに聞いている。「そっ……それでね……クラスメイトがこう言うんだ『お前はいらない人間だから』って……うっ……だから私……!」彼女はボロボロと涙をこぼし始めた。「柊さん……」僕は言葉を考えるが何が正しいのかわからず黙り込む。しばらくの沈黙の後、僕は口を開く「柊さんはいらなくなんてないよ?」
「え……?そ……そんなわけ……!」彼女が反論しようとすると僕はそれを止めるように言葉を続ける。「だってさ、僕は柊さんといて楽しかったし……それにもしクラスメイトに柊さんがいらないって言われても僕が柊さんを必要としてる。だから、柊さんはいらなくないよ?」僕が言うと彼女はまた泣き出した。「うっ……うぅ……!ありがとう……!」
その後、僕らは一緒に帰ることになった。校門を出てしばらく歩く。すると彼女が倒れかける「あ……あれ……?体が……」彼女が言う。僕はすかさず彼女の体を支える。彼女は相当疲れていたようで歩くのもかなりしんどそうだった。「ごめん…柊さん、ちょっとしゃがんでくれるかな?おんぶするから。あと今日は僕の家泊まりな。柊さんの家族には電話しておくから」僕が言うと彼女は「う……うん……」と言ってしゃがむ。僕は彼女の体を背中に乗せ、立ち上がる。「うぅ…重いでしょ……?ごめんね?」彼女が申し訳なさそうに言う。「いや、全然重くないよ」と僕は応える。実際、柊さんは軽いし同い年とは思えないほど小柄だ。しばらく歩いて僕の家に着いた。「着いたよ?大丈夫?」僕が言うと彼女はコクリと頷く。とりあえず彼女をおろすため自分の部屋に連れて行く。そしてベットに寝かせる。彼女は相当疲れていたのかすぐに眠ってしまった。僕はそっと布団をかけてあげると一階へ降りてリビングへ行く。すると姉がテレビをボーっと眺めていたので声をかけた「ねぇ……姉ちゃん、ちょっといい?」「ん〜?どったの?」「あのさ……今日、この子を家に泊めてもいいかな?もう夜だし……」僕が柊さんの画像を見せながら言うと姉は目を輝かせる。あ、別に盗撮したわけではなくちゃんとした学級の集合写真だ。「え!?なにこの子!めっちゃ可愛いんだけど!」姉ちゃんが小声で叫ぶ。僕は慌てて口を抑える。すると彼女は口をパクパクさせて言った。「あ……!ご……ごめん!つい興奮しちゃって……」どうやら鼻から漏れていたらしい。ちなみに声は抑え気味だ。そのまま僕はしばらく彼女のことについて話したあと「なぁ…姉ちゃん、そのさ…関わり方わからないから柊さんの面倒見てもらってもいいかな……?」と僕は聞く。すると姉は「もちろん!喜んで!」と言う。僕はホッと一安心した後、キッチンへ向かう。まぁ……ご飯どうしようかな……? 夜10時30分を回った頃、柊さんがリビングへ降りてきた。家の中を手探りで進み僕の前にくると何故か僕の膝に座る。まぁわざとでは無いしそのままでいることにした。