赤葦も譲らずに玄関先で揉めている。
「赤葦?〇〇なら大丈夫だと思うぞ?おれが戸締りわすれるからいつも〇〇が出て戸締りするし…」
木兎が赤葦に伝えるが
「木兎さん…それじゃ、〇〇さんが危ないですよ?」
玄関先での話が長くなりそうだったので結局、
「わかった。じゃ、赤葦くんに今日は送ってもらうね」
と、〇〇が折れて木兎は
「じゃ、赤葦…中に入ったら鍵閉めてくれよ」
「木兎さん、わかりました」
そういうと赤葦が〇〇の後ろをついてくる。
「赤葦くん…ありがとう…」
〇〇はすぐそこに玄関が見えるのにな…と思いながらも、送ってくれる赤葦にお礼を言う。
「いえ…」
と、赤葦は言葉少ない返事をする。
〇〇は鍵を取り出して鍵を開けて
「赤葦くん、ありがと。またあしたね」
ドアを開けて中に入っていこうとしたとき、急に(ドンッ)と強い衝撃を受ける。〇〇は一瞬何が起こったのかわからなかったが、赤葦に両手首を掴まれて壁に押し付けられていた。室内は電気がまだついてないため表情がわからないものの
「あ…赤葦くん…?」
〇〇は急の出来事で心臓がバクバクしながらなんとか冷静に名を呼んでみる。すると〇〇の耳元で、
「〇〇さん…。油断し過ぎです。ジムで鍛えているようですけど〇〇さんは女性です。男性に押し入られたらこの有様ですよ?」
いつもより少し低い赤葦の声と息遣いが〇〇の耳をくすぐる。〇〇は
「そうだね…。ごめんね…。危機感なかった。でも、そのさ…赤葦くんだから油断してたのもあるんだよ…」
と、恥ずかしくて俯きながら答える。すると、赤葦はすかさず、
「〇〇さん?なにを言ってるんですか?おれも男ですよ…」
と、たたみかけられて、〇〇は
「参りました…」
と降参した。すると、〇〇の手を離しながら
「〇〇さんが自覚してくれるならそれでいいです。ただ、今後は木兎さんに送ってもらうなりしてください。〇〇さんが夜中に出歩かないように…いいですね?」
赤葦に念を押されて…〇〇は
「はい…」
と、返事をするしかなくて…。
「それじゃ、おれは帰りますね。〇〇さんおやすみなさい。」
赤葦は軽く会釈をすると、ドアを開けて出ていく。〇〇も赤葦の後ろ姿に
「赤葦くん、おやすみなさい」
と伝えてドアを閉めて鍵も締めた。〇〇は鍵を締めながら先程の赤葦の事を思い出してヒャーと赤くなるのだった。
翌朝、〇〇が木兎の家に行くと2人とも起きていて
「〇〇さん、おはようございます」
爽やかイケメンが挨拶してくる。木兎も自分から起きて、
「お!〇〇、おはよ!だな!」
と元気よく声を掛けてくる。
〇〇も2人に「おはよう」と挨拶をして、 エプロンをきて朝ごはんの支度を始める。
「なぁ?なぁ?朝ごはんはなんだ?〇〇」
木兎はお腹がすいたようで
「今日はごはん、味噌汁は大根とおあげさん、納豆、だし巻き玉子、焼きジャケ、ほうれん草のお浸し、焼き海苔あとはバナナとりんごとヨーグルト以上です。てか、光太郎…ちょっと…近いし、どいてよ。朝ごはん作りにくい 」
〇〇は木兎を腕で少し押しながら、その光景はお母さんに朝ごはんをねだる小さな子どものようで…赤葦は微笑ましいと思いながら見ていた。
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