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春先の日差しが柔らかいとは言うが、肌ケアにとっては天敵。しっかりと対策をして肌トラブルは避けつつ、おしゃれを楽しみたいところ。
プリーツスカートは膝上、白のインナーの上にはカーディガンを羽織る。
靴は買ったばかりの厚底のスニーカー。
新しい服と春の陽気の心地よさからか、待ち合わせの場所まで歩く足取りも軽い。
私の町は海に面していて漁港が盛んな町。だからか魚関係のものが溢れかえってる。魚が寝そべる車止めの駐車場を横目にして、海の匂いが濃くなると大きな砂浜を背景にしたこじんまりとした駅が見えてくる。
ちなみに砂浜は海水浴場になっていて夏になると多くの人で賑わう。
水着になるのは嫌いじゃないけど、やっぱしっくりこないのは体つきのせいかも。
まっ、日焼け嫌いだから行かないけどね。
駅の前のロータリーにある魚の銅像は確かアンコウだったはず。平べったく、ぎざぎざの歯、丸い目と頭から生えている提灯がブサ可愛い。
その銅像の前で下を向いてソワソワして落ち着かない女の子を見つけると、声を掛ける。
「こんにちは。あなたが恭美さん?」
「はっ、は、はい。そ、そうです」
慌てて頭を振り上げメガネをちょっとずらしながら、焦って答えるのは憧憬恭美。
私のクラスメイトで、先日墨刺と私が通せん坊して困ってた娘。
「はじめまして、麻琴です。連絡してくれてありがとっ」
「えっとはい、あの、きょ今日はっ!」
挨拶をしようとする憧憬の右手を取って握ると、私自身の目を指さして微笑む。
「メガネ、ズレてるよ」
「あわっ! え、あ、ごめんなさい!」
恥ずかしかったのだろう。顔を真っ赤にしながら、慌てて左手でメガネを直すのを見届けて手を引くと更に驚いた表情をする。
「行こっ」
「え?」
「ここ暑いもの。あそこに座ろう?」
駅のホームにある小さなベンチを指差すと、手を引かれ驚く憧憬の手を引きちょっと強引に連れて行く。