甘い喧嘩

甘い喧嘩

瞼の上にのしかかってくる、薄いカーテンから見えるベールのようにぼやけていてハッキリしない朝の光。重くて鈍い体、起こそうとしてもスムーズに起きれない。生活リズムは割と完璧な方。しっかり朝は時間通りにキッパリ起きれるし、朝食だって健康に配慮してしっかり食べる。だけど今日は、今日だけは違う。

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子供の頃は待ち遠しかった。はやくはやく、まだかと待ってた。一年に1度、必ずやってくる。嫌だと思ったことはなかった。もちろん今だって嫌だ、とは思ってない。ただ少し、少しだけ、……気持ちが落ちて憂鬱なだけ。自分の誕生日??もちろん祝われるのはすごく嬉しい。でも期待と気持ちは全く違う。単純に本当にそう。誰かから祝われないかな、誰かから何かしてもらえるかな、とかそんなヤワな期待なんてもう今更この歳ない。むしろ僕ぐらいの歳になるとそーやって浮かれてたり、自分からアピールしたりしてる方がなんかがめつい気がする。別にどうするも人それぞれやけど、、、。

ただ、あんま自分が”ザ・主役！”という立場に立つのがすこーしばかり苦手というか、、苦手では無いのだろうけどあまり似合わないというか。。

まあ何がともあれ一年に一回、また今年も来てしまった数字なのだから。どう足掻こうが自分が生まれてきた時についたナンバーだから、今更変えることも無くすことも不可能。仮に自分が死んでも覚えてる人がいる限りその人の心の中で忘れるまでまた一生祝われ続けられるのかもしれない。

ずっと入っていたい布団から体を起こし外へ出る。やはり寒い。自分の体温の布団へと戻りたい……。。まだ後戻りはできる。振り返って3歩、、、行ける。戻りたい。戻りたい。戻れない。時間が。仕事がある。仕事。そう、、会議。けど行きたくない。でも大事なやつ。会議。有明。第1。鳴海さん。。。。

もっと布団に戻りたくなったが、ポケットで突然として鳴るアラームにびっくりして目が覚めてしまった。

あーーー、もう条件が合わない。。。さっきまで最低条件、”眠い、寒い、めんどくさい”が揃っていたのに…。あとは戻るか戻らないかを決めるだけだった。もしここで戻るを決めていたのなら…ちょっと怖かった。、、。ただもう最低条件の”眠い”が欠けてしまったから、布団には戻っては行けない、ということ。

〜

いろいろ考えて支度しているうちに、無事時間通りには家を出れたが、”時間通りに家を出る”という目標達成の間の時間はとてつもなく切羽詰まっていた。そしてこれから会いたいが会いたくないというとてつもなく矛盾した気持ちを抱える人に自ら会いに行かなければならない。もうここまでくると目を合わせることすら気まづい。一応、できる限りの事は尽くした。電話もした、メールも打った、第1にも一応スーツテストだが行った、そして家にも帰った、でもって今日も行く、！！アクションがほぼ僕からッッ、!!!!!まあ!?別に!?ええですけど!?返事のひとつやふたつくらいは返してくれたってええやんか、……。。ひとりで全部尽くしてばかみたいやん、。実際あの時の自分があほでこーなってもうたけど、、、、さすがにここまで放置されると持たへんよ、、。あんな、別に僕放置ゲームのキャラちゃうねんから放置したってなんもでけへんよ。そんな要領のええ賢いことまで手ぇまわらへんから。

いろいろ考えるうちに疲れてくる。信号は赤。少し気を抜いて窓から見える景色を見る。気づけば第1の基地まではあと10分程度のところ。あと3分程度車を走らせば辺りはここと違い一気に静かで何も無くなるだろう。賑やかなところも好き。ただ静かで落ち着いたところも好きだから、この3分後の急にしんとする空気も嫌いじゃない。ただ今はその急な静けさが、自分と自分の恋人の関係を表しているのかのように思えてきてますます憂鬱になってきた。

ぶおお、と音が聞こえたので再び前を確認してからゆっくりと足を倒す。

〜

いつも通り会議室へ向かい、いつもの指定席へと座る。各部隊の隊長たちはモニターやらなんやらに映し出されている。

また緒方隊長お酒飲んではる、……五十嵐隊長も元気そうやなあ、……

「あっ!!そーしろーや!!」

「なあそーしろー見えとる??」

「お兄ちゃんやでえ」

「あれ聞こえとる??」

あ、亜白隊長、……あっかん、…やっぱモニター越しでもむっっちゃかっこええわあ、…、、。。

「なあそーしろー??」

「え??待って俺の繋がっとるこれ?」

「聞こえとる?テステスマイクテストあー」

「え待ってテスって何?テスター??」

「薬屋????」

「隊長それお試しです」

「ほんでさっき自分でテスト言うてましたよね。そのテスです」

「あ、あとこれ全部繋がっとりますから」

「あれそーなん??」

いっちゃん関わりたくないタイプのやっちゃなあの人。

ほんで会議まであと7分ちょい。。。

せいぜい遅くてもあと4分以内には鳴海さんくるかなあ、……

ねくすと100

またじかい.⋆𝜗𝜚𓈒ㅤ‪⋆