テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
啓祐side
放課後、気まずい気分のままで家に帰ろうと靴箱を覗《のぞ》いたら
手紙が入っていたので取り出して見ると差出人の名はない。
とりあえずその手紙に書いてある
*《≪校舎の裏庭で待ってます≫》*
で呼び出されたのだ。
校舎の裏庭にはクラスメートの身長156の茶毛ツインテールの田辺《たなべ》公美子《くみこ》がいた。
どうやら手紙の主は彼女のようだ。
彼女の背後に近づき、お待たせと声をかけると
その声に気づいた彼女は、オレの方に振り返り
公美子「啓祐くん、好きです。私と付き合って下さい。」
突然、告白され戸惑うオレを見る公美子は徐々に頬が赤く染まる。
「ごめん。なんて言うか、、嫌いじゃないけど、そんな風に付き合えないって言うか、、うまく言えなくてごめん。」
しどろもどろでちゃんと断れたのか自分でも自信なくオレは、答えた。
公美子「そっか、残念。やっぱり、幼なじみの転校生のせいかな?だけどせめてこれだけは受け取って欲しいの」
と言うとピンクの紙袋を差し出した。
「ちげーよ!アイツは関係ない!」
と答えるオレに彼女は、
公美子「心を込めて作ったから絶対に家で食べてね。絶対だよ」
と言って押しつけると素早く去って行った。
「おいおい!そんなに素早いんじゃ返せねぇだろ~まったく、強引なんだから」
と呟きながらうまく受けとれず地面に落ちたそれを拾った。
そして帰宅後
一階の浴室の脱衣室へ向かうとドアを閉め、
サラシ等を身体から外し、即シャワーしたあと
パジャマに着替え、そしてキッチンへ向かいテーブルに着くと夕飯を済まし、自分の部屋へ向かう。
予め、自分の部屋の机の上に置いた彼女から貰ったピンクの紙袋を再び両手で持つと
折角貰ったのに今更返すのも気がひけると思い、オレは、開けてみた。
甘いイチゴの香りがする。
中身を見るとクッキーだった。
その甘い匂いに引き寄せられ、クッキーを一つ、袋から右手で取り出すと、口に運び、一口食べた瞬間
頭が真っ白になり意識が薄れて行く
どのくらい時間が経ったのだろうか?
いつの間にか寝ていたようで、目が覚め、気づいた時には見知らぬ部屋の中だった。
ベッドの上には、テディベアのピンクの抱き枕、カーテンの色はピンク、部屋の中を見回すと明らかにオレの殺風景な部屋と違い、女の子らしい可愛いらしい部屋だった。
床はフローリングになっていてその上にピンクのラグマットが敷かれ、その上には四本の脚が低めの丸いピンクのテーブルが置いてあり、
更にその上には、例の紙袋が
その近くには、食べかけのクッキーが転がっていた。
異変に先ず、気づいたのは、着ている物が、パジャマではなくて、フリルのついたピンクのワンピースみたいなやつだってことで
それに、目線の高さが低いという違和感
まさかな?と思い、先ずは鏡を探すことから始めた。
周囲を歩き回ること数分、実際どのくらいかかったのか、定かではないが、ようやく見つけた鏡はクローゼットの中だった。
恐る恐る鏡をのぞき込むとオレではなくて、公美子の姿だった。
まさかと思った嫌な予感が的中ってことだよな
身体の中身が入れ替わってる、、よな?どうみても、やばい!このままじゃ公美子に女だってバレる!気づかれる前に帰らねーと
オレは、心の中で事の重大さを察すると、急にこわくなり段々青ざめてきた。
身体の震えが止まらない。
慌てなきゃ行けないのに
もし、間に合わなかったら?
オレは、冷静でいられるんだろうか
とりあえず気持ちを落ち着かせる為、深呼吸
兎《と》に角《かく》、行くしかない。
少し落ち着いたところで、部屋から出ると階段があったので駆け下りる。
丁度、台所の勝手口を見つけ、ドアを開け、足元にサンダルがあるのに気づくと履き、しばらくすると自転車も見つけ、それを借りる事にした。
無我夢中だったので、上になにも羽織らないで出て来たことに気づく。
夏が終わったばかりでも肌寒いが、後戻りする気持ちの余裕は、オレにはなくて
ようやく自分の家の前まで着くとオレの地声で叫び声が鳴り響いた。
くそ!やっぱり間に合わなかったか
公美子の家から借りた自転車をオレの家の玄関前に停めると
自分の部屋の窓目掛けて小石を投げる。
#なつこさ
かは@毎日投稿中
1,092
#アイドル
優杏𓂃🎀𓈒𓏸
10,184
64
何とか当たり、その音に気づいたようでオレの姿の中身が公美子が玄関から出てきた。
《《公美子》》「啓祐くん?うそでしょ?これってどういうこと?説明してくれる?女の子、、なの?」
おそれていた質問に言葉を詰まらせるオレ
《《オレ》》「、、、」
手が身体が震えてきて、動揺する、でも話さないと、、、なんて?とにかく公美子を信じて、、、おそれてもバレてしまったら、、言うしか
しばらく沈黙が続く中、オレは、ようやく覚悟を決めた。
《《オレ》》「隠してごめん。騙すつもりなんてなかった。親父が男の子が欲しかったけど、産まれてきたのが女の子で、母さんは医師には二人目は無理だって言われ、それで余計、親父は諦めきれず、それでオレは、男として育てられたんだ。オレ自身も小3まで自分の事、男だと思って疑いもしなかった。小4に進級したばかりの日、母さんが言ったんだ。ホントは啓祐は女の子なんだよって、母さんは親父が男として育てるのははじめは反対だったようだけど、いつかは女の子として育て直す事を条件に応じたんだって。だから突然、母さんに女だって言われ唖然としたけど、、流石に身体も変化してきてたから自分自身も信じざるおえなかった。」
公美子はオレの顔で泣いた。
何故かその姿を見て自分自身と重なって見えたんだ。
《《公美子》》「何だか可哀想、、、だけどいつかは女の子に戻れるんだよね?(泣)」
《《オレ》》「そうだけど、今更、女の子にって言われてもな、、それよりこの状況なんとかしねえと、、もしかしたら公美子が食べたクッキーの欠片をオレが食べ、オレが食べたクッキーの欠片を公美子が食べれば元に戻るってことは?試してみねえ?」
と提案した。
《《公美子》》「うん!きっとそうだね。試してみよう。啓祐、これからは啓祐って呼ばせて!知らなかったとは言え、告白なんかして困らせてごめんね。とりあえずはもう遅いから私の家に戻ってね。私は、啓祐の家で寝る事にするよ。じゃあ明日ね~おやすみなさい。」
そう言うとオレの顔で彼女は手を振りながら思いついたように
《《公美子》》「恋人は無理でも親友にはなれるよね?」
と言うとオレは、公美子の顔で頷いた。
オレは、再び、借りたままの自転車に跨《また》がると軽井沢の生い茂った林の細い一本道を公美子の家を目指して戻る事にした。
すっかり夜も更け、街灯の光が辺り一面を照らしていた。
更に気温が下がったようで益々肌寒くなってきた。
クシュン!風邪引きそう!
あまりの寒さに身体が震え、手もかじかんできた。
ついこのあいだまで夏だったのが嘘のような寒さだ。
オレのせいで公美子が風邪ひいたらなんだか悪いな。
と自己嫌悪になりつつも、ようやく公美子の家に着くと自転車があった場所に戻す。
身体の震えは、いっこうに止まらない。
誰にも気づかれないように忍び足で彼女の部屋に戻ると、食べかけのクッキーを食べた。
すると再び、頭が真っ白になり意識が薄れて行く。
目を覚ますとまだ公美子の可愛らしいピンクの部屋にいた。
失敗したかと思ったが、クローゼットの鏡を見ると元に戻っていた。
まるで自分の身体が公美子の部屋にワープしたみたいだ。
どうせなら身体を瞬間移動じゃなくてそこにとどまって中身たけ戻れば、自分の家に戻るって面倒な事しなくて良いのに、、、
めんどくせー、、家に戻るのか
再び、今度は本来の自分の身体で、公美子の親に気づかれないよう、なんとか、正面から出ようと忍び足していたら、美容室の空間に出た。
昨晩は、無我夢中だったので全然、気づかなかったが、公美子の家って美容院なんだ~
ようやく、外に出ると店の看板が目に入った。
すっかり朝日が出ていて、まだ薄暗いが、いつの間にか翌朝になっていた。
昨晩より、気温が上がっていたので助かった。
そして、幸い、誰にも遭遇せずに歩いて本来の自分の家になんとか戻れた。
オレの部屋には、彼女の姿は既になかった。
公美子、風邪引かずに無事に帰れただろうか
兎に角、散々な目にあったな。
あのクッキーって、結局なんだったんだ?
あとで公美子に問い詰めよう
???side
ある晩、一学期の期末テストが終わり、勉強の疲れで、ようやく、布団の中で眠れた、僕は、ロフトの真下の配置にある机の上の固定電話のベルで起こされるように、目覚めた。
枕元の目覚まし時計を見るとまだ深夜2時。
「こんな時間になんだよ」
渋々と布団を捲《ま》くり、起き上がり立ち上がるとロフトの梯子《はしご》を慎重に下りる。
僕は一人暮らししてから、ずっとロフトの上に直に布団を敷いて寝ているのだ。
まだアタマばかりポーッとしている。
期末テスト期間は、徹夜続きで、机の上に顔を伏せていつの間にか寝る習慣だったが、やっとテストも終わり解放され、ロフトの上で久々に気持ちよく寝てた時に、ベルで起こされたので凄く不機嫌なのだ。
電話の前まで着くと機嫌悪さも限界にまできていたが、
「はい!もしもし?」
仕方なく受話器をとると
「あ?夜分にごめんね。秀くん。寝てたよね?神条だけど、久しぶりだね。」
秀side
「あ?すみません。ご無沙汰してます。おじさん!こんな時間にどうしたんですか?」
神条「電話する時間ではないと頭ではわかっているんだが、いてもたってもいられなくてな。ずっと毎日、そればかり考えるようになってからすっかり不眠症になってしまってね。そこで相談なんだか、何とかして啓祐を女の子に戻してくれないだろうか?勝手な事を言ってるのはわかってる。実は、ずっと後悔してるんだよ。」
「なんで僕なんかに?」
神条「啓祐は、幼稚園の頃、秀くんの事が、好きだったみたいだから、君も啓祐のこと、まだ好きなら再会したらきっと啓祐を女の子に戻せるんじゃないかと思ったんだが」
「おじさん、それは思い過ごしだと思いますよ。啓ちゃんからしてみたら僕は、ただの男友達です。今でも僕は、啓ちゃんを女の子として好きですが、女の子に戻すには僕一人の力では難題です。他にも協力者が必要だと思います。確かに、啓ちゃんの今後の事を考えれば、今のままじゃダメなのはわかります。丁度、学校のテストも終わり、仕事もオフですので、考える時間にゆとりはあります。時間がかかるとは思いますがそれでも良ければ僕に考える時間を下さい。」
神条「秀くん?仕事って?バイトしてるのかい?」
「正直、恥ずかしくて身内しか知らない事ですが、特に啓ちゃんには、恥ずかしいので、黙ってて貰えますか?もしかしたらこの仕事の経験が、啓ちゃんを女の子に戻す作戦に役に立つかもしれません、、、実は俳優をしてます。」
神条「え?秀くん、俳優さんなんだね。」
「はい!恥ずかしながら、まだまだ駆け出しみたいなものですが」
神条「恥ずかしがることじゃないと思うよ。中々夢ってものは叶うものではないから凄い事だとおじさんは思うよ。そっか、俳優さんか、なら尚更、秀くん、君に相談して良かった。プロの俳優さんなら上手く啓祐を導いてくれそうだね。私にも出来ることがあれば言って欲しい。」
「はい!その時がきたらそうさせて頂きます。考えがまとまり次第、時間かかると思いますが必ず連絡します。それでは、失礼します。おやすみなさい。」
と電話での会話を終え、受話器を下ろす。
再び寝るため、ロフトに戻ると横になり部屋の電気をリモコンで消すと深い眠りについた。
そして翌日の日曜日、どおりでお腹空いてると思ったら目覚めたのが正午だった。
さてと、ああ言ったはいいけど色々と作戦、練らなきゃだな
コメント
2件
うわ、第2話で一気に話が動きましたね…!告白シーンから始まって、クッキーでの身体入れ替わり、そして啓祐くん自身が実は女の子だったっていう秘密の開示まで。伏線の張り方が巧みで、読み応えがありました。公美子の「親友になれるよね?」という台詞にほっとすると同時に、ラストで登場した秀くんと神条さんの電話がまた新たな展開を予感させますね。俳優という設定、今後の物語にどう絡んでくるのか気になります!