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財布とナイフを持って、携帯ゲームも鞄に詰めて、いらないものはぜーんぶ壊した。
まともに笑顔が作れなかった集合写真も、3日坊主ならぬ1日坊主で終わった日記も、今となってはもういらない。
………人殺しと、ダメ人間、か…
「さもさん」
「凸さん、それじゃあ…行こっか。」
そして俺たちは逃げ出した。
この狭い狭いこの世界から
家族もクラスの奴らも何もかも全部捨てて君と二人で。
電車に乗り込んで、人1人いない電車の座席にさもさんと隣り合って座る。
「………電車に乗ったは良いけど、どこ行く?」
俺がそう聞くと、さもさんはしばらく考え込んだ。
「………俺、海行きたい」
「海か、いいね」
誰もいない海で、二人で一緒に死のう。
…さもさんの顔色は少し良くなったけど、まだ顔は青白い。
………人殺しなんて、そこら中に湧いてるじゃん
君は何も悪くないよ。君は何も悪くないよ。
結局俺達さ、昔から愛されたことなかったよね
幼い頃出会って、そんな共通点で俺らは簡単に信じあってしまった。
電車が止まって、俺たちは外に出る。
さもさんの手を握った。
………微かな手の震えも既になくなっていた。