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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで
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このお話では二人はまだ同棲していない設定です。直接的な表現はありませんが、🔞を連想させる描写があります。苦手な方はお控えください。


『』叶

「」葛葉


葛葉side


「おーっす」

『あ、おはよ葛葉』

叶と駅で待ちあわせる。叶はおはようと言ったが今はもう午後3時。叶と並んで歩き始める。


『とりあえず葛葉が行きたがってた店行く?』

「あ、いい?さんきゅー。そん次叶の行きたい店行こーぜー」

『うんそうしよう』


・・なんか叶テンション低い?ちらっと横目で見ると叶は黒マスクをしていつもより少し下を向いて歩いている。ただ、叶は今も買いたい服の話をしてるし、別に気のせいか・・?まぁいっか・・


(買い物中)

『いやー良かった買えて!』

「あー。最後のやっぱ買って良かったと思うよ」

『そうだよねー、ありがと葛葉付き合ってくれて』

「いや俺のも付き合ってもらったし・・疲れたぁ、飯食いに行かん?」

『あー。ごはんはちょっと僕・・』

そう言って俯く叶。

「ん?腹減ってないのか、叶は」

『いや、おなかは空いてるんだけど』

「は?え?じゃあ飯行こーよ」

『いや、行きたいんだけど・・』

もごもご言いながら下を向いている叶。俺はわけがわからなくて一瞬考える。

・・そういえば、こいつ今日会ってから1回もマスクを取ってないような、、

途中で俺が飲み物買って飲んだ時もあいつはいらないって言って飲まなかったっけ、、


「・・叶お前、もしかしてマスク外せないかんじ?」

『・・うん、実は唇にヘルペスができちゃって』

「ヘルペスってなに?」

『うーん、ウイルス感染で唇に水ぶくれができるの』

「痛いの?」

『痛痒い感じかな』

「まーじ?お前それ大丈夫なの?」

『へーきだよー、たかがブツブツだもん』

「いや、お前今日水も飲んでねーじゃん、ふつーに喉乾かねーの?」

『それは、、乾いたけど、でもマスク外したくない、めっちゃブスなんだもん、葛葉に見られたくないし、、』


・・こいつ何言ってんだ?俺に顔見られたくないから水も飲まないってか。

「じゃあ水買ってきてやるからトイレで飲んでこいよ」

『・・ありがと葛葉。』


(待ち中)

『はぁーー生き返った!』

「なぁお前病院行ったの?」

『行ってない』

「行けよ、まだ開いてるとこあんだろ、こーゆーのは貰った薬飲んだ方がはやいんだって」

『でもせっかくの葛葉との時間楽しみたいよ』

「バカかお前、俺との買い物はまたいつでも行けんだろ」

『でも、、』

なかなか頷かない叶。

「わーったよ!じゃあ俺も着いてくから、それならいいだろ?」

『えっいや、それはわるいy』

「はい決まりな!!行くぞ病院に」

『えぇ〜』


俺は叶の腕をつかんで歩き出す。確か前行った皮膚科があったはずだ。

(叶診察中)

待合室で叶が出てくるのを待つ。周りからしたら大の男2人が一緒にやってきて、変なやつと思われてるだろう、、

まぁいいだろ、叶が素直に行かないのが悪い。


ガラガラと診察室のドアが開いてマスクをした叶が出てくる。

「叶、どーだった?」

『お薬もらった、1週間くらいで治るって』

「おーよかったな」

『うん』


叶は恥ずかしいのか小さな声で下を向きながら答える。

会計をすませ、薬局で薬をもらい、店を後にする。

『・・葛葉、ごめんね今日は』

「なにがー?」

『なんか僕が振りまわしちゃって・・せっかくデートだったのに』

「いやお前は悪くないだろ、、それにたまにはいいんじゃねーの?病院デートってのも」

そう言って茶化すと叶は眉毛を下げてふふっと笑う。


『葛葉、これから僕の家来ない?』

「え、でもお前体調悪いだろ」

『体調は悪くないんだよ、見た目が悪いだけで』

「いやなにちょっと上手いこと言ってんの?」

思わずそう言って笑うと叶も笑う。

『病院も着いてきてもらったし、ごはん家でなら作るから食べてってよ』

「まじー?さんきゅ!」

(叶宅)

「うーまーそー!!」

テーブルに並ぶ俺の大好物たち。

いただきますをして俺はせわしなく箸を動かす。そんな俺を見て叶は『つまらせないでよ』と言いながら笑う。

叶は『食欲うせるとおもうからあんまり見ないでよ』と言いゆっくりマスクを外す。

思わず見てしまった叶の上唇にぽつぽつとできている水ぶくれ。たしかに唇が腫れている。

『葛葉、あんまり見ないでって言ったじゃん、、』

「あ、わるい。つい、、」

『ブスでしょ、ほんとにやだもう』

「・・んなことねーけどな別に」

俺はまた料理に目を戻し箸を動かす。

そんな俺を見て笑いながら叶はいう。

『・・なんか今日葛葉についてきてもらってよかったわ』

「あ、そ?」

『うん、なんか僕必要以上に気にしすぎてたんだなって』

「・・たまには不調な日もあるだろ、あんま隠すなよそーゆーの」

水を飲みながら言うと叶は『そうだね、ありがとう』といい笑っている。

飯も食い終わり、叶の体調も万全ではないし、少し早いがそろそろ帰るかと思っていた時にふと叶が俺に話しかける。

『ね、ねぇ葛葉。』

「ん?どした?」

『あの、ひとつお願いがあって』

「なに?」

『葛葉、明日早かったりする?』

「いや、別に」

『あのさ、あの、、』

叶はいつになく焦りながら下を向いている。

ははーん。にやっとしながら俺は言う。

「・・お前、泊まってってほしいの?」

驚いたようにマスクをつけた顔を上げ、

『う、うん』という叶。

『でも、僕今日こんなんだし、うつるらしいから、えっちはできないんだけど・・』

「おま・・いーってそんなん」

こいつは何を気にしてるんだと思いながら俺は叶を抱き寄せる。

『えっ葛葉?』

「・・一緒に寝てやる」

そう言うと嬉しそうに俺の背中に手を回す叶。


風呂も上がり、パジャマにマスクをつけた叶がベッドに座る。

先にベッドに入ってた俺は「ん」といい右手を伸ばす。

叶は素直に俺の右腕に頭を乗せ、シャンプーのいい香りがふわっと俺の鼻をくすぐる。

『・・なんか変な感じ。いつも葛葉がこっちなのに。』

「・・余計なことばっか言ってると手外すぞ」

『やだ、ごめんて』

そう言い俺にしがみつく叶。

『葛葉、朝まで一緒にいてくれる?』

「・・逆にここから帰れって言うの?」

『なんか葛葉が素直すぎてこわい』

「なんだそれ」


薄暗い部屋でたわいもない会話をするこんな時間もわるくないなと思う。叶には言ってないが俺は明日フルで休みだ。

明日も叶に付き合ってあげよう、これを知ったら喜ぶんだろーな、こいつ。

明日の叶を想像して鼻で笑いながら目の前の叶をぎゅっと抱きしめる。

『ねぇくーちゃん』

「ん?」

『僕の唇治ったら、いっぱいちゅーしよーね』

「お前はさ、、、体調悪い時くらい大人しくできねーの?」

『だってさ、もったいないなと思って』


なんだこいつと思いながら叶の額にキスをする。

「今日はこれで我慢して」

そう言いながら叶が俺の顔を見ないように右手で叶の頭を自分の胸に押しつける。

『・・おやすみ葛葉』

消え入りそうな声でいう叶。おそらくかなり照れているのだろう。

「おやすみ、叶」

そう言って俺は瞼を閉じた。


おしまい

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