コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「あちぃー」
真夏の1番暑い時間に匡(たすく)は自転車をとばしていた。
夏休みに入って夜型の生活になった匡は、昼前に起きた後、母親に放り出されるように外へ出た。
照りつける日差しはよく焼けた肌に容赦なく突き刺さり、額から落ちる汗が目にしみる。
─やっと着いた、、
自転車をとばすこと大体10分、去年新しくなったばかりの図書館にやってきた。
建て変わる前の少し寂れた図書館には、匡も小さい頃何度か来たことがあった。
中学に入って始めたサッカーは高校でもそのまま続け、その練習は夏休み中続いたので、去年までは家とグラウンドの往復だけだった。
先月の試合で負けた匡は、あっけなく引退となり、本格的に受験生へと突入した。
いきなり勉強をしろと言われてもやる気が出るはずもなく、こうして新しくなった図書館へとやってきた。
実際は勉強をしに来たというよりは、タダで涼みに来たと言う方が正確だ。
真新しい自動ドアが開くと、冷気が流れ出してくる。
「ふぅー」
体中の汗が一気に冷えていくのが分かる。
とりあえず匡は、入ってすぐに目についた自販機で炭酸を買うと、すぐにその場で半分くらい飲んだ。
─生き返った、、
「こんなふうになったんだ。」
ペットボトルのキャップをしめ、匡は周りを見渡した。
昔の図書館の面影はなく、きれいで整えられた内装は少しだけ寂しく思えた。