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⚠BL オメガバース
ずっと手を繋いで
いつまでもそばにいられる
運命って何?
家族と時間を共にできなくても、運命なの?
子供をほおっておいてまで、大切にしたいモノなの?
こんな世界。
無くなっちゃえばいいのに。
俺の家は、初めから壊れかかっていた。
俺の両親は、母がΩ、父がαの同性カップルだった。母方の家族は快く承諾したが、代々αの家庭かつ長男だった父は、会社を継ぐことを条件に婚約が認められ晴れて2人は結婚した。それと同時に番になり新婚生活を楽しみながら、新生活を送っていた。
その頃からだったのだろう。母は父の知らないところで嫌がらせを受けることが多くなった。バース性の理解が低かった時代だ。陰口。差別意識。無自覚の嫌がらせなどなど。挙げていけばキリがない。でも億さずに夫人としてやってきていた。
そんな状況の中子供を授かる。
最初で最後の妊娠。
俺が生まれた。
沢山写真が残っている。初めての離乳食、つかみ立ちをした日、歩いた日。全て2人にとって大切な記録なのだろう。丁寧にアルバムに保管してある。
男を産んだという事実。
男を産めたという事実。
後継者ができた喜び。
そんな感情が2人を圧迫した。
幸せが増え、宝が増えた母は徐々に元の調子を戻していた。
でも、しあわせな時間もあっという間に終わりを迎える。産後体調が直ぐに戻らなかった母をの様子を見るため、父は在宅ワークをしていた。仕事をしている時はリビングにはいるものの、母の方が邪魔をしないようにと2人で静かに部屋にいた。そのことを嗅ぎ付けた父方の祖母。 義母に当たる女は、メッセージアプリを使いひたすら嫌味を言い続け、母はそのメッセージに耐える日々を送っていた。
徐々に自分がΩであるとこの嫌悪感。こんな母親であることの羞恥心。そして、結婚してくれた父への罪悪感が、母を蝕んでいった。
辛い、苦しい、投げ出したいといった感情が爆発したのが、俺が3歳くらいの時だった。父が会社に呼ばれた一瞬をつき、俺を抱いて家を出た。
ごめんなさいと、一言メモを残して。
結局、すぐに見つかり家へ連れ戻されたが、育児はもちろん、食事もままならなかった。細くなっていく母。
変わっていく母の姿はぼんやりと覚えている。
父が俺の世話をしていた時に、なんの前触れもなく母が、
もう疲れた。
と言い倒れた。
限界だった。このままではいずれ、息子に手を出してしまうと思った父は、高校の時からの仲である親友家族に俺の事の育児を任せ、二人でいる時間を増やした。
やむを得ない決断。これからも家族で生活していくために必要な休暇。
わかってる。
全部わかっているけれど。
離れていく両親を見て、俺は
放っておかれたって思ったんだ。
物心がついて暫くしたときから、親元を離れて暮らしていた。
父の同級生の家で、α性の家庭。
同い年の男の子と、3つ上のお姉さん。そして2つ下の弟。最初は一緒に暮らせて嬉しかったし、楽しかった。でも、俺には混ざりきれない家族の距離感があって、居候させてもらってる身だからと、自然と距離を置くようになった。
そんなことを幼いながらに感じながら、俺は小学生になった。初めての大きなコミュニティの中での生活は、気疲れするし、友好関係を築くのもあまり得意ではなかった。幼なじみの彼は対照的に、外向的な彼は直ぐに輪の中に入っていった。
彼の母からの頼みで登下校は一緒にしてはいたが、特に会話をすることも無く、ただ隣にいる存在になっていた。
一方的に距離を置き、差し伸べてくれた手を払った。
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