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リリア💙🤍
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璃音
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#学園
大正
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昨日拾ったスキルスクロールは、オークチーフから【威圧】二枚と【精力絶倫】、そしてレッドキャップから【忍び足】だった。久しぶりに出会った忍び足にうれしさを感じつつ、【精力絶倫】はさておき、それ以外のスキルは覚えてしまう。
精力絶倫は二枚あれば事足りるだろうから、まだ楽しみとして取っておくとして、一枚は売却に回してもいいな。ちょっと午前中にオークチーフへ通って、一回倒せれば倒して、そこから【精力絶倫】出ました、としておくのが合法的というか、周りを納得させられるラインになるかな。
よし、今日は大学ダンジョン一人で歩いてみる、を発動だ。歩いて向かって帰ってくるだけ。往復4時間ほどなのでその間に【精力絶倫】分だけの収入を確保できるなら時給効率はいい。多少待たされる形になったとしても問題ないしな。そうと決まれば、おにぎりと飲み物だけは確保して、帰り道でお腹が空いたまま帰らなくていいようにしておこう。
ふりかけを混ぜたごはんの中心にチーズを仕込み、そのままおにぎりの熱でほどほどに溶けてもらうことにした後飲み物は……途中で買っていくか。おにぎりだけ買っていかずに自分で作っていくのは、単純にコンビニのおにぎりも最近高いからだ。
まだ彩花のご実家からの支援物資が残っているのでそれを使わせてもらっている間はご飯食で終わらせることにしよう。あと二週間ぐらいはご飯食で済みそうだな。本当はご飯も高いのでたまにはパスタに戻したいところではあるが、お金には困っていないので食べたいものを食べる、ということでご飯食で済ませている。
準備ができたところでケンタウロス三セットと上着だけ前の防具を使って最近は槍の俺スタイルの防具を装備し、武器には烏丸。今のところ欠けも曲がりも反れもなく、きちんと使えているのもたぶん【剣術】スキルで補正されているおかげだろう。
ド素人がいきなり刀なんか使い始めても、きちんとした使い方を覚えるまでは自分を切るのが関の山、そうならないのはひとえにベーススキルと呼ばれる、数も出て安くてみんなが使うといったところから、ギルドの中でも回転の速い格安スキルが出回っているおかげだ。
俺ももっと金に物を言わせてより確実な動作やより確実な倒し方、狙ったところに刃がすっと入るような、そういったところまで【剣術】や【体捌き】の補助によって可能になるのだろう。レベルはいくつまであるんだろうな。100までかな、1000までかな。
ちょっとネットで調べてみると、100は優に超えるらしいので、1000まではあるような気がしてきた。100を超えたら後は誤差みたいなものらしいが、達人の域に達するにはそのぐらいの……逆に言えば、100枚ほど手に入るならだれでも達人になれる、ということでもあるんだろうな。
ちなみにこの【槍術】を100以上に上げてる御仁は【体捌き】もレベル100以上にしているため、そちらの補正も大きそうだ。そこまでよくもまあ飽きずに集められるな……とは思うところ。
さて、出かけてくるか。アカネは……寝てるな。そのまま寝かせておいてそっと出ていくことにしよう。背中のかばんには昨日の成果と【精力絶倫】が一枚。それだけ入っているので、残りの稼ぎは実際にダンジョンへもぐってダンジョン内部で稼いで帰ることにしよう。
まずは最短で五層までアルパインスタイルで駆けつけて、ボス待ち休憩をしつつ、ボスを倒して【精力絶倫】を入手したように見せかけて、それからかえって換金だ。日常的にやっていることではあるので、いい加減慣れてしまわないといけないんだが、高額交換品を背中に背負っているという自覚があると、少々体がこわばるのは慣れていかなければいけないだろう。
いつも通り装備をまとって大学ダンジョンに到着。自転車をダンジョンの駐輪場に停めると、入場手続きをして中に入る。いつも通り三層までたどり着き、オークを数匹退治してからそのまま奥へ向かい、四層、五層とたどり着き、レッサートレントを適度に倒しながら中ボスの間であるオークチーフのいるところまでたどり着く。前にはパーティーが一つ。休憩って感じだから、戦い終わった後かもしれないな。
「オークチーフ待ちですか? 」
満面の笑みで話しかける。向こうは一人なのか? という疑問を持っているような様子だったが、俺のまじめな質問に真摯に答えてくれた。
「いえ、今倒し終わったところなので……あと20分ほど待てばリポップすると思います」
「そうですか、ありがとうございます。ちなみに、ほかにリポップ待ちをしているパーティーっているかどうかわかりますか? 」
「私たちが戦う前も含めて、いなかったと思います。ですから20分ほどであなたの番、ということにはなると思います」
「そうですか、ありがとうございます」
にっこりとほほ笑むと、向こうのパーティーの女性陣から声が上がりそうになるのが見える。俺もだんだんこのイケメンらしいフェイスをうまく使う方法を覚えてきたらしいぞ。彩花にそれをやると逆に怪しくみられるかもしれないが、今のところはばれてないし黙っておこうかな。
おとなしく二十分ほど休憩をして、しばらくして中ボス部屋の扉を開けると、中にはオークチーフがいてくれた。わーい、こっちでは久しぶりーといわんばかりに近寄り、オークチーフがいつも通り吠え散らかす。
「グモオオォォォォ! 」
もはや定番となった鳴き声とともに、俺に威圧を仕掛けてくるが、逆に威圧を返すことでオークチーフの吠える声が急速に小さくなる。
「グモ……グモォ……グモオォォォ……」
決してサイズは変わらないはずなんだが、どことなく小さく見えるオークチーフが、吠える声も絶え絶えになり、地面に縫い止められたように立ち上がれなくなった。ここまで威圧をかけてしまえばオークチーフも知れたもの、ということか。
時間が惜しいのでさっさと烏丸で首を跳ね飛ばし、オークチーフを倒すと黒い霧になった後、確定ドロップの魔石だけを残していった。魔石を拾い、部屋を後にする。
部屋を出たところで、次のパーティーが待機していた。俺が一人で出てきたのを見て驚いた様子。どうやら普通は中ボスは複数人で倒すものらしい。
「倒したんですか? それも一人で……」
「ええ、たった今。なので30分後になると思います。それでは自分はこれで」
「え、あの、あ、え? 本当に? 」
混乱しているパーティーが後ろで扉を開け、「本当にいない……」とつぶやいているところまでは聞き耳で聞こえた。さて、帰り道を急ぐか。これ以上長居してても価値はないし、金が稼ぎたければ自宅に潜ればいいのだ。
足早に一層まで歩き抜けると、そのまま退場手続き。そして換金所で手持ちのスキルと魔石を売り払う。
「だいぶ稼いできたね。三層で……かな? オーク肉はないようですけど、持ち帰るんですか? 」
一つぐらい仕入れておいてもよかったかな? しかし、時間がかかるしそれだけの手間を考えるとここは短時間で済ますために一つ言い訳を考えておくことにしよう。今回は……
「本当は出てほしかったんですけどね。出たら持ち帰って食べたかったですし。でも、今日はさっぱりでした」
「そうですか……まあ、そんな日もあるでしょうね。あとはオークチーフの魔石と……スクロールは何か見当はついてますか? 」
「オークチーフから出ましたので【威圧】か【精力絶倫】かあたりだろうとは思ってます。【精力絶倫】だとうれしいですね」
「そうか、見当はついてるんですか。じゃあまず、魔石の鑑定からしましょうか」
「結構引っ張りますね」
「そのほうが、当たりだった時のありがたみが増すでしょう? 」
結構いい性格をしている職員らしい。こっちとしては答えはもう知っているのだから、ささっとやってもらいたいものだが……
「これで良し……と。魔石のほうは確認できましたので、スキルスクロールの鑑定に行ってきます。もうしばらくお待ちください」
そういわれてその場に置き去りにされる俺。時間も中途半端ではあるので他にもそこそこ探索者はいるものの、換金しに来たというよりは換金が終わってくつろいでいる様子の探索者が多い。ここで休憩するより、大学構内にあるコンビニで休んでいるほうがよほど休憩になるとは思うんだが、そこまで歩くのもおっくうなんだろうな。
しばらくして、職員が戻ってきて静かに告げる。
「おめでとう、【精力絶倫】だったよ。さっそく装備していかれますか? 」
「いえ、今のところ困ってないので換金でお願いします」
「そうですか。今のところ市場の【精力絶倫】の在庫が欠乏気味でして、ほぼ上限価格の200万円での取引になります。手数料を引いて160万円になりますがいいですか? 」
「はい、それでお願いします」
上限目いっぱいか。なかなかいい収入になったな。これで夕飯は一人すき焼きとかできちゃうぞ。うむ……肉はオーク肉と地元の松阪肉、どちらにするか悩むところだな。
「で、魔石の引き取り価格と合計しまして、1778000円になります。金額が金額なので、明日以降の日付で振り込みになると思いますが、口座番号がわかるものはお持ちですか? 」
「はい……こちらにお願いします」
口座情報を渡し、入力してもらう。念のため確認され、銀行、支店、口座番号と名前があっているかどうかを確認されてそのまま振り込み作業をされる。ここまで丁寧に振り込みを指示してもらうのは初めてかな。多分金額が金額だから、きちんと仕事をしているという風に見せるためだろう。
「それじゃあ、明日以降まで振り込みはちょっと待っててね。今日は銀行も休みだから今日中に振り込まれる可能性は低いからね」
「はい、じゃあそう言うことで失礼します」
手続きを終えて大学ダンジョンを出ると、家に帰って着替え、そして装備の洗濯の代わりに消臭スプレーをかけて、続いて刀の手入れ。モンスターを倒すだけでは滅多なことでは欠けたりはしないが、手入れのために油を塗ったりすることは推奨されているので、時々こうやって刀身をぬぐっては油を塗りなおしたりしてやっている。
できるだけ長く使いたいからな。それに中古に出すときが来たとしても、綺麗に扱ってやっているほうが買い取り価格も高くなるはずだ。そう思ってまじめにネットのサイトに載っている方法で手入れをする。手入れが終わったら買い物に行こう。今日はすき焼きだ。アカネにも美味しく食べてもらおう。
コメント
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日曜日だし、のんびりした雰囲気の中にダンジョン生活のリアルが詰まってて好きでした。おにぎりにチーズ仕込むところとか、生活感あってほっこり。精力絶倫スキルを換金してすき焼き食べようって締めも、主人公の「普通の日常」を大切にする感じが伝わってきてじんわりしました。連載271話ともなると、こういう地に足ついた回がしみますね。