テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
10月26日 AM13:00 長野県 ペンション司馬猫駐車場
四郎の危機の為、白雪に誘導された山田は車を止め、2人がいるペンションに向かっていた。
「送られてきた住所はここ…、だけど…?あ…」
スマホ画面を睨みながら歩いていると、山田は視線を感顔を上げる。
とある一室の窓ガラスから微笑んでいる白雪の姿が見え、思わず山田は頬を赤らめてしまう。
白雪は山田に向かって手招きすると、操り人形のよう
に山田は白雪達が居る一室の扉に手を伸ばす。
ガチャッ。
「思ってたよりも、早く来てくれて良かった」
「あ、あのっ。四郎さんは大丈夫なんですか?」
「大丈夫じゃ…、ないかも。私の事を庇って…」
「え!?それって、ヤバイじゃないですか!!!上がらせてもらいますよ!!?」
白雪の言葉を聞いた山田は、慌てて靴を脱ぎ部屋の中に入った。
ガチャッ!!!
「四郎さん!?大丈夫ッスか!?しっかりして下さい!!!」
動揺した山田は、意識を失って倒れている四郎の体を起こし、激しく揺らそうとする。
山田の行動を止めるように、白雪は優しく山田の腕を掴む。
「待って、揺らさない方が良いわ。意識を失ってるのに、脳を揺らしたらよくないわ」
「あっ、は、はいっ。すいませ…、へ!?あ、あの、何を…?」
グイッと山田の顔に自信の顔を近付け、イエロースキャポライトを覗かせた。
「私の目を見て。そう、静かに黙って見つめてくれれば良いの」
「…、はい」
イエロースキャポライトの瞳を見つめていた山田の瞳から光がなくなり、自分の意思を持たない人形化と化して行く。
自身のJewelryPupilに魅了された山田に抱き付き、ソッと囁くように命令をする。
「私達を東京に戻して、お義父さんに新しい旦那様を紹介しないと」
「はいッス…、急ぐッス」
「私達の邪魔をする奴等から逃げないと、彼を担いで車に向かいましょう?」
白雪の言葉を聞いた山田は四郎を担ぎ、足早に白雪と共に部屋を出て車に向かう。
四郎を後部座席に乗せ、白雪は助手席に乗り込む。
ペンション司馬猫の駐車場に、2台の車が続けて入って来るのが見えた。
「早く出して」
「了解ッス」
命令通りに山田はエンジンを掛掛け、パーキングからドライブに変えて、アクセルを踏み込んだ。
白雪達を乗せた車と三郎達の車は運良く、僅かな時間差で擦れ違う事なく駐車場に出る事に成功した。
***
だが、山田達の車を妙な車だと思い、視線を向けていた人物2人居たのだった。
駐車所に適当に車を駐車し、走り去る車に三郎と晶は視線を向けている。
「おい、2人共どうしたんだ?駐車場を出て行った車が気になるのか?」
「なんか、気持ち悪りぃ感じがすんだよな…。説明出来る言葉がねーな。だろ、三郎」
八代和樹の問いに答えた晶は、駐車場とペンションを交互に見つめる。
「気持ち悪いって言うか、妙な感じ…って、モモちゃん!!!勝手に行かないでって」
タタタタタタタタッ!!!
晶に声を掛けられた三郎だったが、走り出すモモを追い掛ける為に走り出す。
モモは1つのペンションの扉の前に立ち、勝手に扉を開けようとしていた。
「ちょっと、モモちゃん。俺より先に行かないで、頭撃たれても知らないからね」
「撃たれるって…、可能性の話だよね?」
「いちいち反応しなくて良いから、ほら後ろに下がって。この部屋から、何か感じたんでしょ」
「うん、私達と同じ気配する」
スッとモモを後ろに下がらせてから、ズボンのポケットに入れていたCz75を取り出す。
八代和樹と晶も銃を取り出し、三郎を先頭に扉を開けて部屋の中に入って行く。
キィィ…。
部屋の中に入ると鉄臭い血液の匂いが充満しており、三郎達は思わず顔を顰めてしまう程だった。
「ヴッ…、これはかなり血液臭いな…。廊下には血痕はないし、匂いの発信源はリビングか…」
「だろうな、人の気配がする。お前は、そこの子供と離れてろ」
「子供って、私の事?」
八代和樹と晶の会話を聞いていたモモは、晶を睨み付けながら呟く。
モモの言葉を聞いた晶だが、「そう言う反応が子供だな」と静かに答えた。
更に晶は、モモを見ずに言葉を続ける。
「俺の言葉じゃなくて、存在が気に入らないんだろ。四郎と一緒に寝る事が気に入らない、そんな所だろ」
「…」
「あいにく、俺は子供の相手は専門外だ。可愛がってもらいたいなら、六郎にあたれ」
「六郎の方が良い人…、だもん」
下を向くモモを見て、晶は何も言わずに視線を落とすだけだった。
三郎は先に1人でリビングの扉を開き、中の様子を確
認していたのだが、倒れている佐助の姿を見ながら舌打ちをする。
「チッ、おい起きな」
ペチッ、ペチッ。
意識のない佐助の胸ぐらを掴み、体を起き上がらせながら頬を叩く。
「寝てる場合じゃないでしょ、早く起きろって」
目を覚さない佐助に苛つき、三郎は頬を叩く手に力を入れる。
「ウッ…、ハッ!!!はぁ、はぁ…っ、アンタ、なんでここ…」
「四郎はどこ」
目を覚ました佐助の言葉を遮るように、三郎が言葉を被せた。
「椿がここに四郎を連れて来た事は、調べがついてるから来たんだよね。いざ来てみたら…、四郎がいないじゃん」
「拘束用の手錠が2つ、荒らされている家具…。この状態を見たら、手錠をなんらかの方法で取り、誰かと争った…、と言う事になるな。君の最中に包丁が刺さっているのを見たら、一目瞭然だ」
部屋の観察をしていた八代和樹は仕事柄、脳内で考察と推理を組み立てて行く。
「四郎以外にも捕まってた奴でもいたんじゃね」
八代和樹の隣にいた晶が、頭を掻きながら面倒臭そうに呟いた。
「へぇ…、ソイツが四郎の事を連れて行ったって事ね。誰がいたの」
「サイコパス野郎よ、白雪って女」
「「白雪!!!?」」
三郎の問い掛けに答えた佐助の口から出た名前を聞き、三郎と晶の驚きの声が重なった。
「白雪って、椿がわざわざ連れて来たって言うの?意味が分からないんだけど」
「誘拐されたのに、何でって?嘉助と糞女は、2人して椿様を騙していたんだから。本当にムカつく、全部、アイツ等の所為よ」
「ムカつくって、騙されても仕方がないんじゃないの?だって、兵頭拓也を殺したのは、椿じゃん」
「貴方も騙せれてるんだ、あの女に」
佐助の棘のある言葉を聞き、三郎と晶は顔を見合わす。
「さっきすれ違った車に、四郎と白雪さんが乗っていた可能性があんな」
「おい、晶っ、待てって!!!」
晶はすぐに玄関に向かい、八代和樹も後を追うように走り出した。
「私のお母さんが、四郎の事を連れて行ったって事?」
「貴方、あの女の子供?通りで似てると思った。そうだよ、糞女が連れて行ったのよ。私の事を好きに刺してからね。その目付きもあの女と似てる。四郎って人の事も、そんな目で見てたよ」
モモの目を見ながら、佐助は思い腰を上げる。
ズッズズズズッ…、ズポッ。
自分の背中に刺さっている包に手を伸ばし、眉間に皺を寄せながら抜いた。
「あぁ、ごめんね?抜いてあげれなくて」
「別に、初めから抜いてもらおうとか思ってない」
「君、白雪の行き先に心当たりあるでしょ?何となくだけど、俺達よりも白雪の考えている事が分かるでしょ」
「東京に戻ったんだと思う、理由までは知らない」
佐助の言葉を聞いた三郎は、モモの手を引いて歩き出そうとした時だった。
「私も東京に帰りたい、だから一緒に連れて行って」
「はぁ?何で、一緒に連れて帰らないと行けないの?俺の邪魔になりそうじゃん、君」
「椿様が命令したから、貴方達を殺そうとした。けど、糞女は椿様の敵になる。絶対に、糞女は何か企んでる」
「私のお母さんは、四郎に何かしてた?」
三郎と佐助の会話に、モモが割って入る。
「え?私、良い事言わないよ。それでも聞きたいの?」
「うん、車でお話しして。だから三郎、この人も連れて行こう」
そう言って、モモは佐助の手を引きながら三郎に近寄った。
「え、ええぇ…。モモちゃん、本当に連れてくの?」
「うん」
「はぁ…、仕方ないなぁ…。早く車に戻るよ」
モモの提案を仕方なく受け入れた三郎は、すぐに駐車場に向かう為に玄関まで歩き出した。
三郎のJewelry Wordsの能力で、晶達が白のワンボックス車の後を追っている映像が、静かに脳内に流れている。
ジジジッ。
映像ノイズ音と共に荒くなり、切り替わった映像には晶達が乗っている車が、激しく回転する瞬間だった。
高速道路の左車線を走っていたワンボックスの助手席の窓が開き、ボブカットのアルビノ女性が銃を構え、
晶達の車に向かって引き金を引く瞬間。
三郎はスマホを取り出し、晶に通話を掛け始めた。
***
ペンションをいち早く出た晶達は、駐車した車に乗り込んでいた。
「おい、晶。まさか、追い掛ける気なのか?」
「当たり前の事を聞いてくんじゃねーよ」
「白のワンボックス、車番は〇〇-△△東京。俺達とさっき、駐車場ですれ違った車だ」
「まさか、あの一瞬で車種と車番を覚えていたのか?」
八代和樹は驚きながら、車のエンジンをかける。
「んな、驚く事じゃねーだろ。人より記憶力が良いだけ」
「いや、それにしても大したものだ」
「褒めてる暇あったら、さっさと動かせ」
「あの車の行き先に検討は?」
そう言いながら八代和樹は、晶の指示通りに車を動かす。
「椿恭弥がいないうちに、東京に戻りたいって所じゃね?」
「とりあえず、晶の推理を信じるしかないな。分かった、東京に戻ろう。三郎君達を待つ…、時間はなさそうだ」
三郎達を待たずに白雪達を追い掛ける為に車を走らせていた。
「君の事を信じているから、どうしてそう思ったのか聞きたいんだが…」
八代和樹の言葉を聞いた晶は、嘲笑いながら煙草を咥え答える。
「お前、信じてもねーのに信じてるって言葉を使うな。学の無い奴の言葉なんかんじられねーわな」
「そう言うつもりで言った訳じゃ…、ないんだが…。気を悪くさせる言葉だったな、すまない」
「ちゃんと真面目に学校行ってた奴なら、簡単に考え付く理由だ。今まで監禁してた椿が軽井沢に戻って来る前に、東京に戻っておきたいって考えをするだろ。
入れ違いにでもなれば、十分な時間稼ぎにもなる」
「…、晶に言われるまで気が付かなかった。当たり前の事だったんだ、彼女が東京んい戻りたいと思うのは…。今まで、自分の事を監禁していた相手から逃げたいと思うのは、当然の事だ」
高速道路のETCに入った所で、晶のスマホに着信が入る。
「何だ、お前等も追い掛けて来てんだろ。どの車種か気く為…」
「白のワンボックスでしょ、僕の能力で見えたから分かるよ。晶に忠告しておく、君達の車が撃たれる未来が見えた。恐らく、白雪が撃ってくるんじゃないかな」
「白雪さんが?分かった。早いとこ勝負決めるわ」
「ちょっと、四郎に怪我させないでよ」
三郎の言葉を聞かずに、晶は通話を終わらせた。
カチャ、カチャッ。
「装弾なんか始めて、どうしたんだ?」
「お前はハンドルから手を離すなよ」
「え?」
戸惑う八代和樹を無視して、晶は窓を全開に開けて体を乗り出す。
上半身を前のめりになりながら、左車線白雪達が乗ってるワンボックスのタイヤに向かって、引き金を引く。
パシュッ、パシュッ!!!
八代和樹の視界には、放たれた弾丸がスローモーションに見えていた。
キキキキキーッ!!!
白雪に操られている山田のハンドル操作により、放たれた弾丸は避けられてしまう。
プップー!!!
キキキキキーッ!!!
山田は晶達と距離を取る為、スピードを上げながら前方を走っている車を抜かし始める。
けたたましく鳴り止まないブレーキ音とクラクションが鳴り止まない。
「おい、警官!!!早く、あの車を追い掛けろ!!!距離が開くだろうが!!!」
「仕方ないなっ…、事情が事情だ!!!」
晶の怒鳴られた八代和樹はアクセルを踏み込み、スピードを上げて行く。
車線を変えながら距離を詰めて行くが、山田は更にスピードを上げ、車と車の間に入り込むように滑り込む。
ドンッ!!!
山田は他の車の車体に当たりながらも、晶達と距離を空けようとするが、八代和樹も負けじとハンドルを華麗に操作し後を追う。
晶は体を乗り出した状態のまま、山田が運転するワンボックスに向かって引き金を引く。
パシュッ、パシュッ!!!
「晶、一般市民に弾を当てるなよ!?」
「あ!?俺が素人みたいなヘマする訳ねーだろうが!!!テメェは黙って、運転んい集中してれば良いんだよ!!!」
八代和樹の問い掛けに答えながら、銃口の向きを整える。
晶は八代和樹に言われる前から、他の車に銃弾が当たらないように引いた。
弾丸がタイヤに当たり、パンクでもしてしまえば、後方にいる晶達の足止めになってしまう。
ただ相手の動きだけを予測して撃つだけなら、どれだけ楽かと晶は考えていた。
「チッ、蝿《ハエ》みたいに動き回りやがって…。多少、危険な方法を取るしかないか」
カチャッ、カチャッ。
弾丸を装填しながら、晶はワンボックスの車体の右側
に銃口を向ける。
CASE 晶
人より恵まれている部分があるとすれば、記憶力の良さと視力の良さの2つだ。
ペンションの駐車場ですれ違った車、あれは兵頭会の組員が乗っていた車だった。
数回程度しか会った事がない、言わば下っ端の組員の男。
確か、四郎に懐いていた…、山田とか言う男だった筈。
そして、助手席に座っていたのは白雪さんで間違いなかった。
何で、山田が軽井沢に居て、しかも白雪さんと合流しているのか分からない。
山田は白雪さんが椿に誘拐された後に、山田は兵頭会に入ったから、白雪さんの連絡先どころか顔も知らない筈だ。
若が生きていた頃よりも痩せていたが、JewelryPupilを見て確証できた。
一瞬、すれ違っただけだったが間違いない。
山田の事を撃つのに躊躇がない、撃った後に起きる事の対象をどうするべきか…だ。
四郎が運良く目覚めてくれれば…、どうにかなる筈なんだがな。
今まで引き金を引く事に躊躇した事はない。
今回ばかりは、引き金を引く指を止めてしまう。
助手席の窓が開き、肩につかないくらいまで短く切られている白雪さんが顔を出した。
正気のない青白い肌、痩せ細った細い体、明らかに酷い扱いをされてきたのが分かる見た目。
あの目付きは何だ?
幸福に満ち足りた眼差しを何故、俺に向けてくるんだ。
カチャッ。
『私達の幸せの邪魔をしに来たの?晶』
白雪さんの声が何故か、俺の頭の中に流れ込んできた。
遠距離から白雪さんに銃口を向けられた時には、俺は車内に戻るべきだったのに。
「しまっ…!!!」
パァァンッ!!!
ブシャッ!!!
気を取られた一瞬の出来事が、今起きてしまった。
左目の視界が赤く染まり、眼球が焼けるような感覚が広がって行く。
「晶っ!!!」
警官が顔を青くさせながら、俺の名前を呼ぶ。
白雪さんが体を乗り出して来た時点で、警戒を怠るべきじゃなかった。
「おい、大丈夫か!?左目を撃たれたのか!?」
「んなの、見りゃわかんだろ。クソッ、左目完全に逝ったわ」
左目は確実に失明した、もろに左目を完璧に狙って撃って来てんだからな。
ズキズキと脈を打つ度に、全身に鳥肌が立つような痛みが走る。
『貴方の事も気に入らなかったのよ、晶。だって、男社会の中に女は私だけで良かったもの』
さっきと同じように、白雪さんの声が脳内に響き渡った。
何なんだ、さっきから。
『取り返しにきたんでしょ?駄目よ、彼は私のものになったんだから』
「さっきから、何言ってんだよアンタ」
『貴方はヨウを手に入れたじゃない。彼ったら、私が何度も力を使って誘惑しても恋愛感情を持つ事はなかったわ。彼、貴方の事をとても愛しいているのね。貴方みたいな女のどこが良かったのかしら』
その言葉が脳内に響き渡った瞬間、白雪さんはゴミを見るような視線を向けてきた。
この女は…、何を考えて言葉を発しているんだ。
これじゃあ、まるでヨウの落とせなかった事に怒って
いるようじゃないか。
困惑と同時に怒りが込み上げてくるのが分かる。
「若、アンタは本当に女運がねーなぁ…」
閉ざされた左目から流れ落ちてくる血を拭い、躊躇なく山田が座る運転席の方に銃口を向け、照準を整えてから引き金を引いた。
パシュッ!!!
パリーンッ!!!
放たれた弾丸は俺の予想通り車の間をすり抜け、ワン
ボックスのバックドアガラスの突き抜て行く。
ビチャァァ!!!
割れたバックドアガラスに噴き出したであろう血液が付着する。
運転席に座る山田の頭に弾丸が貫いた事は、すぐに分かった。
キキキキキーッ!!!
白雪さん達が乗っている車体が、クルクルと回りながら走行を止められないでいる。
確実に山田の頭に弾丸は直撃したんだ、そのまま車は走行している車に激突する筈だ。
だが、俺の考えとは予想外の事が目の前で起きた。
ドンッ!!!
ドサッ!!!
運転席のドアが乱暴に開かれ、頭を撃ち抜かれた山田が男の足で蹴り落とされる。
「お前が撃った男が、車から蹴り落とされたぞ!?白雪って、人がやったのか?!」
警官の言葉に答えずに、俺は目の前で起きた事の状況の整理を脳内でしていた。
鍛えてない女の力で死後硬直が始まっている男を、蹴り落とす事はかなり難しいだろう。
車内に居るのは白雪さんと四郎の2人だけ…の筈…。
割れたバックドアガラスの隙間から見えたのは、綺麗
なシルバーアッシュの髪を靡かせた四郎だった。
意識を失っていた四郎が意識を取り戻したみたいだな。
カチャッ。
パシュッ、パシュッ!!!
「!!!」
見慣れた四郎の愛銃のトカレフTT-33の銃口が向けられ、俺に向かって引き金を引く。
カンカンカンッ!!!
すぐに乗り出していた体を車内に戻し、弾丸は乗っている車のボディに当たる。
「大丈夫か!?晶、どこも撃たれてないか!?」
「あぁ、すぐ車に戻ったからな」
俺の言葉を聞いた警官は、安堵の表情を浮かべた。
四郎の髪色は綺麗な水色だった、短時間で髪を染めたのか?
いや、違う。
白雪さんが俺に言ってきた言葉の意味が、今になって理解で出来た。
震える手で煙草を1本取り出し、口に咥え、ライターで火をつける。
「そんな状態で、煙草を吸うのか?撃たれた目から出血が止まらないじゃないか。ハンカチしかないが、使ってくれ」
「そんな布切れ一枚で、血が止まる訳ねーだろ。必要ねー、そんな事よりもまずい事になった」
「どう言う事だ?」
「白雪さん等が乗ってる車を運転してたのは、兵頭会の組員の山田って男だった。俺が殺した等、車の自由を奪う事に成功したと思ったんだがな…。どうやら、白雪さんが先に手を回して来やがった」
俺の言葉を聞いた警官は、先程の出来事を思い出しているようだった。
「車から落とされた男の事だよな?山田って男は。じゃあ、今運転してるのは四郎君って事か?」
「あぁ、白雪さんが四郎に何かした。さっき、俺の事を撃とうとしてきたからな」
「何かしたって…、もしかしてJewelry Wordsって、やつを使ってか…?」
「それしかないな」
ブゥゥゥゥンッ!!!
警官と話していると、俺達の車を猛スピードで1台の車が追い越した。
「あれ、今の車って…、三郎君が乗っていた車じゃ…。晶!!!車体の上に乗ってるのって…っ!?」
「んな大声出さなくても、見りゃ分かるわ」
通り過ぎた車の上に、鉄パイプを握り締めながら立っている三郎の姿が目に入る。
「そろそろ返してもらうよ、四郎の事」
ダンッ!!!
三郎はそう呟きながら、ワンボックスの車体の上に飛び移った。