アメリカさんは変だ。
私はデスクに散乱する資料を見やり、そう思う。
いや…どちらかと言えば、変な趣味を持っていると例えた方が正しいだろう。
『日本!お前大丈夫か?またこんなに仕事任されたのかよ?』
『ああ〜はい、大丈夫ですよ,気になさらず』
見慣れた顔が、突然私を覗き込むかのようにニュッと現れる。私はすかさず彼にニコッと笑みを浮かべた。
『本当かよ?無理は許さないからな?』
『もう…大丈夫ですってばアメリカさん』
そう返す私に、アメリカさんはどこか不満顔を浮かべ、フーンとだけ言い私の横に座った。
カチッカチッ…
…今、私とアメリカさんの2人しかいない部屋。
そんな部屋は沈黙で溢れかえっており、代わりに時計の針が動く音だけが聞こえる。
そんな沈黙を破ったのは、アメリカさんだった。
『…今日も、してほしいんだけど』
そう言い、アメリカさんは着ていたワイシャツの第一ボタンを外す。
そこには遠目でも分かるように、赤黒い痕がクッキリと付いていた。
『…今日もですか?』
私の問い掛けに、アメリカさんはゆっくりと頷く。
『…分かりました、苦しかったら言ってくださいね』
アメリカさんは変な趣味を持っている。
信じたくは無い。
でも、私もその趣味に関わっているから否定が出来ない。
『う”ッ…かっかはっ…ヒュッ…ヒュー…』
『はっ…はっ…大丈夫ですか…』
私の問い掛けに、アメリカさんは答える代わりに笑みを浮かべる。
それはアメリカさんの『もっと』という合図だ。
私はその合図に応じるかのように、アメリカさんの首を絞める力がギチギチと増す。
『フッ…ふっ…う”…』
こんなに首を絞められているのに、何故アメリカさんは幸せそうな顔をするのだろう。
何故こんなものが趣味なのか。
『ッ…もっ…離しますから…』
それは私には分からない。
『はっ…はぁ”…またしてくれ…』
でも一つ分かるのは、昔、私の父と何かがあった事が原因に違いないという事だ。
end
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