テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
24
ユキ
30
ダダダッ
「右!右から来てるよ!」
「あ、っえっと!?」
「あーあー、奏羽弱いよなぁ、」
僕は航人と一緒に兄さん………いや、僕の部屋でゲームをしていた。
「なぁ、…」
「ん?」
「僕で、良かったのか?」
「なんでそんなメンヘラ彼女みたいなこと言うんだよ」
航人は顔をひきつらせた。
「だって……あぁもう!」
「それこっちのセリフなんだけど、」
やれやれと言った顔で、
「まぁ、兄さんには怪しまれてるかな」
「…な、なんかすまん」
「元々わかってて君といるんだよ。だって…不自然ではあるだろう。死んだ友達のお兄さんとずっと遊んでいるなんて」
「なぁ、航人」
「?」
「……突拍子もないんだが。こうなった原因を知りたい」
……自分のやった事と向き合いたい。
「……そうだな、オカルト系の知り合いがいるよ」
「オカルト、?」
「そういうことに詳しいやつがいる。」
「紹介してくれないか?」
「しても、いいけれどできないんだ。そいつは兄さん…高麗の友人なんだ」
「…高麗くんの、?」
「だから……というか、伝えた方が、伝えなきゃだめだと思う」
…わかっていた。友達ならば航人みたいに仲良くなるなら。ちゃんと自分を知ってもらわなきゃダメだってわかっていたはずなのに。
…なんで隠そうと思ったんだろう。
隠してしまったんだろう
隠したって気味が悪いだけだろう
急に…人が変わって、ただでさえ周りからも気味悪がられはじめたのに
「どうする、?」
本当の友人が欲しい、航人も大切な友人だけど。……寂しい。もっともっともっと
「やる、話す」
……………
航人が帰ってから部屋が静まり返った頃に
兄さんの彼女から電話が来た
本当にただの他愛もない話だった
多分僕の様子がおかしくて気になったんだろう。すごく優しい。でもこの優しさは、
兄さんのため、なんだろう
(羨ましい)
……最初から、僕はなんにも変わっていないな
成長もしていない。
人を、羨ましがって、
…………
「なぁ、奏斗話あるんだろ?航人から聞いた。いつも仲良くしてくれてありっ」
言い終わる前に思い切り手を引いて屋上に行くまでの立ち入り禁止のカラーコーンを飛び越えて。
「は、はぁっはぁっ」
「な、なんなんだよ!てか息切れすぎ!お前ってそんなに体力なかったか、!?」
「お前に、お前に言わなきゃいけないことが。」
「は?」
「お前、僕の前の明るい僕をしってる、?」
「ぼ、ぼく、?」
「僕は、奏斗じゃない。奏羽だ。齋藤奏羽」
「は、?な、何言って」
「ごめん。騙すつもりはなかった」
「じゃあ、お前、い、入れ替わってたのか?今奏斗はどこにてか奏羽って病院に、いやでも奏羽は死んで、」
………
頭を抱え項垂れている高麗
「い、意味、わかんね、」
きっと、これでいい、これで、
嫌われたって構わない。
「ごめん、そこで、お願いなんだけど、オカルト系に詳しい人がいるんだろう、?その人を紹介してくれないかな」
「…?あぁ、数見か、」
「多分、その人」
「いいぜ、…」
………
「連絡ついた。放課後、2階の空き教室だってよ」
「ありがとう」
スタスタと去っていった高麗。
きっともう、関わりなんか無くなる。きっと怖いだろうし、気味が悪いし、何より…騙して
「おい!……まだ、友達だから、てかこれからも友達だ。……なんかあったらまた頼れ」
…!!
「うん!」
…………
「ここか、」
ガラガラ
「し、失礼しまぁーす…」
怖い怖い怖い電気どこだよここにあるもんだろスイッチが、
「だ、誰かいますかぁー、?」
ドガッ
床に押さえつけられた
「君はおかしい。」
「はっ、はぁ!?」
痛い痛い痛い
「君は定員オーバー」
「いってぇ!はなせぇ!意味わかんねぇけど!お前数式数見だよな?!話するから!」
………
「痛てぇのなんのって、」
「君はなんで二人いる」
「話するから」
…………
「理解した。」
「なら良かった。」
「君はふたりいる。君が探して、無くして、頭を悩ませているお兄さんは君の身体に残っている。君が出ていけば表に出てくる」
「体に?」
表、?
「君が上から押さえつけている。これは君の心構えが変わったらとかそういう次元の話じゃない。」
「兄さんを、戻してやるにはどうしたら!」
「君が出ていく、体から」
「…出ていったら、どうなりますか」
「しぬ、体がないまま浮遊し続けるものなんていない。いずれ死ぬ」
「……出ていかなかったら」
「おそらく君のお兄さんが先に力尽きて、その体は君のものになる」
………体、あいつに、返すべきだよな、
「…!僕!」
数見は立ち上がり
「話は明日聞く。今すぐ決めていいことじゃない。明日放課後、同じ時間に空き教室に来るといい。」
ガラガラ、バタン。
………出ていってしまった。
体に手を当て
「…兄さん。兄さんはなんで、」
「…帰ろ、」
………
家に戻ってベットに転がる
(兄さんはなんで、)
どうすべきだろうか。
常識とか、良識とか、筋とかそういうもので考えたら身体を返すべきだろう。
何を悩んでいるんだろう。
返してやるべきだ。
何もかも、僕より優れている、兄さんが生きるべきだ。
返さなかったら兄さんは死ぬ。
「だから…何考えてんだよ」
「返すべきだろ!」
………
「来たか。結論はでたか?」
「僕は、兄さんに身体を返しません。」
(何、言ってる!?)
「返したくなんかない。僕は幸せになりたい。はっきり言って兄さんには腹が立っている。彼女がいて勉強ができて外を走り回れて友達がいて、自分を見てくれる人がいて、ずるい、僕も幸せになりたい」
「…」
数見は引く様子も見せなかった
まるでわかっていたかのような
「……っ、僕は!誰を犠牲にしても幸せになりたい!たとえ自分を責めようとも、苦しもうとも、幸せになりたい!」
数見は僕の目をずっと見ていた。
「お前はここにいてはいけない。何も知らずにこうなってしまった奏斗くんならまだしも、奏羽君はここにいてはいけない。ここにいるべきではない。」
「…は、?」
「君には学校を紹介しよう。この中学を卒業したら、この高校に行くといい。」
「こ、高校、?」
「奏斗くんは行く高校を決めていたようだけれど、君の頭じゃ行けないだろう。それに君には夢もない。ならば君にはここがピッタリだ。」
「この高校って、?」
「意味の分からないような力で人生も、命も捻じ曲げられた人間が行く高校さ」
数見が笑うところを、初めて見た気がした