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bebe おただいま
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<しにがみside>
リアム看守が泣き付くぺいんとさんが落ちないように、抱き寄せてため息を吐く。
ra「スティーブ」
スティーブが体制を崩した時に落ちた官帽を拾い上げると、 強く押し付けるように被せる。
sty「イ”てて、リアム看守長痛いです、!」
ra「そろそろ官帽ぐらい自分で正しく被れるようになれ。まったく……。」
その呆れた様子を見るに、これが一回目じゃないんだろうな……と察する。
pn「、!?ビックリしたぁ、何これ!!…ここ二階じゃん!」
ra「あぁ、これか。」
驚くぺいんとさんの横を通って牢の扉を解錠すると、フェンスに片手をついて告げる。
「お前には一度説明したが、お前を死刑執行した後に大規模な改装が行われたんだ」
……矛盾点にぺいんとさんがギクッとした顔をしてるけど、もうそれ前にやったよ?
「その際に牢屋を増やすことになってな。」
sty「それで上下二段の牢屋を、俺が提案したんだよ♪」
確かに左から繋がるような配置は、見渡しやすい。
ra「お前たちの番号は今まで通りだが、前の奴の牢屋の後片付けが済んでなくてな。」
いつも通りに、深々と被った官帽から覗く顔は、何だかいつもより楽しそうに見える。
「その為……今のお前達は11、12、13番という訳だ。」
リアム看守の警棒を持つ手を横目に、アカシアの吊り看板にある[第一倉庫]を横切った。
kr「というかスティーブ看守は無事だったんですね、。リアム看守も……」
看守が階段を降りながら 「あぁ、その話9番はまだだったね。」と思い返すように見上げる。
「転ばないでくださいね?ポンコツだから。」
─僕の口は勝手に動いていた。
看守がポカンとした後、吹き出すように「おんなじだ。」と笑った。
「仮眠室で殺されかけたのは知ってるでしょ?あの日……」
<スティーブside>
ゴルゴン様から、兄貴の治療の為に10万Gの治療費が必要だと告げられた。
そんな大金俺にはない……でも、俺の直感が唸っている。
治療費の件と8番の免除については、これから話を持ち掛けるつもりだ。
ペンを手持ち無沙汰に回しながら、文字を埋める。
扉から三度のノックと、 最近は部屋に籠りっきりの看守長の声が控えめに聞こえた。
ra「……スティーブ。ゴルゴン様がお呼びだ。急げ、……転ばない程度に。」
俺、そこまでドジじゃないけどなぁ……
日記を仕舞うためにチェストを開いた途端、違和感が目に止まった。
「……ん、?これって……」
(リーのコレクションの、人形?)
何故こんな場所に…と浮かんだ疑問を打ち消すように、看守長ではない強いノック音が響いた。
焦って手から滑り落としてしまった人形を、 急いでポケットにねじ込む。
「はい、!」
扉が開いて、 心底不機嫌そうなゴルゴン様が現れた。
gr「……ったく、 お前には『迷子防止用』のGPSが必要だったか?」
いつもより酷く苛立ってるようだ。
「それで看守が務まるのかは、今後の結果次第だがな。」
成功すれば迷子紐で繋がれた「子供」、失敗すれば完全な「無能」ということだろう。
屈辱的な言葉に聞こえるが、慣れればどうってことない。筈だ。
「それで…治療費のことだg 「あの、!俺やっぱり自分で治療費を払います!」
爪先まで震えて吐いてしまいそうな圧に、目を合わせれない。
「俺……頼ってばかりだったから、兄貴に恩返ししたいんです、!! 」
俺は基本的に冗談交じりに話す人間だと自覚してる。
だから、本音を真剣に話すのは恐いし、心臓の音がうるさい。
でも……あの時とは違って、今度はちゃんと言えた。
gr「あぁ、そうか。」
ゴルゴン様の靴が視界に入り、顔を上げようとした、その瞬間─
dk「なら死んでもらおう……お前にもう用は無い。」
─ガツンっと頭に鈍い衝撃が走る。
sty「……っ”、ァが!」
焼けるような痛みが冷たい床に叩きつけられる。
遠のく意識が映し出したのは、奇妙な仮面を被った『俺』の姿。
チェスト、そうだ。
トーテムを返そうとポケットに手をかけるが、 寸でのところで意識が途絶えた。
目を覚ますと不快な鉄の臭いと、顔に貼り付いたような赤い液体。
俺は頭から首下まで血まみれになっていた。
ポケットに入ってた筈の不死のトーテムは消えていることに気付いて、頭をクシャっと掻く。
「ッイテ、はぁぁぁ……」
顔を手で覆い、周囲の音に耳を澄まして 「……どぉしよ」と小さく溢す。
『その時、足音が部屋の前で止まった。』
俺は看守長のことはすっかり頭から抜けていて、急いで目を閉じて死んだフリをした。
扉は不吉を助長するようにギィ…と鳴り、そこから漏れた光を、大きな影が遮る。
dk「チッ、コイツも知らないのか……」
チェストを執拗に確認する物音が収まると、上着が強引に脱がされていく。
「はぁ……これは煙突裏に持ってけば分からんだろう。」
鍵を引ったくられた後は、もう用済みとばかりに、暗闇に閉じ込められた。
sty「……って感じで、仮眠室は使わないように封鎖ってことにされちゃったんだよね~」
<ぺいんとside>
ホント参った~と明るく笑う様子から、死の縁を歩いたような陰りは、微塵も感じない。
「あの後、リアム看守長だけに気付いて貰うために頑張ったんだよ♪︎」
sn「いや、軽過ぎない??」
呆れた顔をしている自覚はあるが、しにがみはそれ以上に酷い顔をしている。
pn「絶対テンションおかしいって、 ガチで殺されかけてんのに、自分。w」
kr「看守としての自覚が足りん!!ってリアム看守に怒られそうな発言……」と苦い顔で言うその肩に、ポンと手が乗った。
毛を逆立てる勢いで肩をすくめ、振り返れば純粋な瞳とかち合って……
「流石だな、九番。まさに今そう思ってた。」
曇り無き眼で彼はそう言った。
「「www」」
広場に出ると、中心部に監視塔が伸びて半円アーチで囲うことで逃げ道はゼロだ。
冷たいコンクリートの壁が笑い声を反響させた。
ra「溜めていた書類を片付けさせていたのに、上から降ってきた時は驚いたな」
リアム看守の独り言に、 後ろから嬉しそうに弾ませた声が届く。
sty「まぁでも、ラッキーカラーに染まってたから無事だったのかも!!」
ベシッ
「いてっ…w」
pn「唐突なブラックジョークw」
しにがみがスティーブ看守をこずくのを見ると、リアム看守は呆れたように話を続けた。
ra「……まぁ、俺は先程スティーブが言った通り、何者かに非殺傷弾にすり替えられていた。」
看守が記憶の中から探るように遠くを見た。
「撃たれた瞬間に煙に覆われて……、睡眠薬か何かの薬品特有の匂いがしていたな。」
「血も出てなかったろ?お前ら全く気付かなかったのか?」
pn「いや、動揺してて……あの時は!それどころじゃ無かったんですよ!」
呆れた顔がこっちを標的にするのに、慌てて否定する。
sn「看守って元から顔色悪いから、違いがあんま分からんですよね」
「...。」
コイツ~!俺を盾にしやがって!
「……~”…俺じゃないっすよ?」
まずい、俺が看守と睨み合う感じになってる……。
看守がため息をついて、冷酷に睨みをきかせる。
ra「お前達が顔見知りだからと言って、贔屓するつもりはない。私語は慎め」
いつものリアム看守に戻って、冷たく言い放った。
「まぁ、そう身構えなくてもちゃんと俺が見送ってやるよ……今度こそ脱獄なんて無駄なことを考える前にな。」
日常に戻ってきたそんな雰囲気が、スティーブ看守が放った一つの発言で凍りついた。
sty「ぁ、そうそう、!実はさ再生のスプラッシュポーションが向かい側の牢屋の中に入ってたんだよね。」
kr「……え、。」
sn「ヤベ」
リアム看守の警棒がギラリと光った気がした。
▽
これから明かされる別視点の脱獄3、そして……
「シリーズを跨いでようやく見つかってしまった悪事!」
「ぇ、警棒を持っていたのはこの為だったの?!」
物語の結末まで押し込んでいた リアム看守長の心境に変化が……!?
次回「鶏。爆風を、飛びます。」
~俺の手を取ってshall we dance!~
NV:スティーブ