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「……もう、動けない……」
ユージンは荒い息を吐きながら、その場に膝をついた。
視界は霞み、脇腹は鈍い痛みに支配されている。
腕の感覚も、もうほとんど残っていなかった。
隣ではロイドが血を吐き、セリナも肩を震わせながら必死に立っている。
「まずい……もう、防ぎ切れない……」
ロイドが歯を食いしばる。
セリナは通信機へ向かって叫んだ。
「畑中……! 何か手はないの!? このままじゃ……!」
基地では畑中がモニターを睨みつけていた。
「……クソッ!」
「ジュリー! 強化エネルギーの発信源はまだ特定できないのか!?」
ジュリーは必死に端末を操作する。
『……ダメ! まだ特定できない!』
焦りだけが募っていく。
その間にも――
ロキ、カイゼル、ヴィクター。
三人は獲物を追い詰める猛獣のように、ゆっくりと歩み寄ってくる。
ロキが冷たく笑う。
「おいおい、もう終わりか?」
「もっと楽しませろよ。せっかく強化されてるんだからさ。」
カイゼルは剣身を指でなぞりながら微笑む。
「フフ……その程度とは。」
「期待外れですね。」
ヴィクターは何も語らない。
ただ、その圧倒的な殺気だけで戦場を支配していた。
ユージンは震える身体で立ち上がろうとする。
その瞬間――
ロキの拳が振り下ろされた。
しかし。
「……そこまでだ。」
静かな一言。
その声が響いた瞬間、空気そのものが凍りついた。
ロキの拳が止まる。
「……なんだ、この気配は?」
霧のような殺気が戦場を包み込む。
その奥から、三つの影がゆっくりと姿を現した。
「……お、お前ら……!」
ユージンが目を見開く。
現れたのは――
公太。
唯我。
一祟。
かつて敗北した三人ではない。
その瞳には迷いがなく、全身から放たれるオーラは別人のように鋭かった。
公太が一歩前へ出る。
「よぉ……待たせたな。」
唯我は静かに刀へ手を添える。
「無様な姿は、ここで終わりにしよう。」
一祟は穏やかに微笑んだ。
「ここからは、僕たちが引き受けます。」
その言葉を聞いた瞬間――
ユージンたちは安堵したように力を抜き、その場へ倒れ込む。
ロイドがかすれた声で呟く。
「……頼んだぞ。」
「後継者たち……。」
その様子を見つめている者がいた。
ORVASではない。
アビス本部――。
巨大なモニターには、炎に包まれた戦場と、公太たちの姿が映し出されている。
革張りの椅子に腰掛けた男は、肘掛けを指先で軽く叩きながら微笑んだ。
その男の名は――
鷹野修司。
「フフ……。」
「見事だねぇ、公太くんたち。」
「傷だらけでも立ち上がるなんて……。」
「本当に、僕の最高傑作になりそうじゃないかぁ?」
眼鏡を押し上げると、その視線は部屋の奥へ向く。
そこには巨大な培養カプセル。
淡い液体の中で、一人の人影が静かに眠っていた。
鷹野は楽しそうに微笑む。
「さぁ……。」
「次のステージへ進もうか。」
「彼らの絶望を、もっと綺麗に仕上げるためにねぇ。」
その時、一人の白衣の科学者が恐る恐る口を開いた。
「鷹野様……。」
「ロキたちからのエネルギー抽出は順調です。」
「ですが、このまま続ければ……彼らの身体に異変が――」
「……ああ、もう。」
鷹野は面倒そうに手を振る。
「そんなこと、どうでもいいじゃないか♪」
軽い口調とは裏腹に、その瞳は氷のように冷たい。
科学者は思わず息を呑んだ。
鷹野は笑みを浮かべたまま言う。
「彼らは僕の駒だ。」
「使えるうちは使い潰す。」
「最後は僕のために壊れてくれれば、それでいいんだよ。」
再びモニターへ視線を戻す。
そこには世界各国の主要都市。
軍事施設。
兵器配置。
そして――
世界を滅ぼすための”破壊シナリオ”が映し出されていた。
鷹野は静かに立ち上がり、両腕を大きく広げる。
「この世界は僕を踏みにじった。」
「笑い者にした。」
「だったら――」
「作り直すしかないだろう?」
「僕を頂点とする、新しい世界を。」
狂気に満ちた笑みが広がる。
「ロキたちの力も……。」
「すべて僕のものになる。」
「世界征服まで、あとわずかだ。」
「フフフ……。」
「ハーッハッハッハッハ!!」
狂気の笑い声が研究室いっぱいに響き渡る。
しかし――
その背後。
影のように静かに立つ一人の人物がいた。
拳を強く握り締めながら、誰にも聞こえないほど小さく呟く。
「……この男の狂気は。」
「必ず、俺が終わらせる。」
その瞳には、静かな反逆の炎が宿っていた――。
コメント
1件
いやぁ…マジで震えた😭💕 絶望の中に差し込んだ希望、公太たちの「待たせたな」がかっこよすぎて鳥肌立ったよ!! 鷹野の狂気も不気味でゾクゾクしたし、最後の影のつぶやきで「あっ次が来る…!」ってなった📖✨ 続きマジで待ってます、たけっちさんのバトル展開エモすぎる😌🔥