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【笑うあの子裏事情】
Episode.11 権利
《🎼🍵side》
昼休み。
チャイムが鳴った瞬間、教室の空気は一気に変わる。
椅子が引かれる音。弁当箱を開ける音。笑い声。
でも俺は給食を持たずに席を立った。
廊下に出る。
向かうのは───1年1組。
歩きながら、少しだけ考える。
……聞くべきかな。
いや、聞かなきゃいけない気がする。
でも。
あの子の名前を出すのは、なんとなく気が重い。
教室の前まで来て、少しだけ中を覗く。
🎼👑「あ、すっちー!」
先に気づいたのは、みこちゃんだった。
手を振ってくる。
俺は軽く手を上げて教室に入った。
🎼👑「珍しいね!すっちーがこっち来るの」
みことちゃんが笑う。
🎼👑「なにか用?」
🎼🍵「……ちょっとね」
そう言いながら、いるまちゃんを見る。
いるまちゃんは窓側の席で給食を食べていた。
視線が合う。
🎼📢「……なんだよ」
いつもの声。
でも少しだけ、警戒してる感じ。
俺は机の横に立つ。
少しだけ迷って───
口を開いた。
🎼🍵「……こさめちゃんのことなんだけど」
その瞬間。
いるまちゃんの表情が変わった。
ほんの一瞬。
でもはっきり分かるくらい、顔が強ばった。
みこちゃんも気づいたのか、少しだけ黙る。
……やっぱり。
聞きたくないのかな。
でも。
俺は、やめなかった。
🎼🍵「最近さ」
言葉を選びながら続ける。
🎼🍵「学校、来てないじゃん」
最近、というか。
ずっと。
いるまちゃんは何も言わない。
ただ、箸を止めている。
🎼🍵「だからさ」
俺は少し視線を落とす。
🎼🍵「……家で、どうなのかなって」
沈黙。
教室のざわざわが遠くに聞こえる。
いるまちゃんは、少ししてから言った。
🎼📢「……知らねぇ」
短い言葉。
🎼📢「帰ってきてるかも、分かんねぇし」
みこちゃんが驚いた顔をする。
🎼👑「え?」
🎼🍵「どういうこと?」
いるまちゃんはご飯を一口食べる。
でも味なんてしてない顔だった。
🎼📢「…帰ってきてる日もある」
🎼📢「でも」
少しだけ目を細める。
🎼📢「……朝にはいない」
俺は拳を握る。
やっぱり。
そうなんだ。
🎼📢「どこ行ってるかも」
いるまちゃんは続ける。
🎼📢「知らねぇ」
みこちゃんが小さく言う。
🎼👑「それって……」
でも言葉を飲み込んだ。
俺はゆっくり息を吐く。
本当は聞きたいことがある。
家でどうなのか。
親はどうなのか。
でも。
それは聞かなくても───
なんとなく分かる。
それでも。
俺は言った。
🎼🍵「……知りたいんだよ、俺」
いるまちゃんが少し顔を上げる。
🎼🍵「俺さ」
少しだけ声が低くなる。
🎼🍵「こさめちゃんのこと、もっと知りたい」
沈黙。
教室の窓から、冬の光が入る。
🎼🍵「知る権利くらい」
俺は言った。
🎼🍵「あると思うんだよ」
いるまちゃんは、しばらく何も言わなかった。
ただ、箸を置く。
そして、小さく言う。
🎼📢「……好きにしろよ」
🎼🍵「え?」
🎼📢「探すなら」
少しだけ目を伏せる。
🎼📢「……勝手に探せ」
その声は、少しだけ───
疲れていた。
みこちゃんが空気を変えるように言う。
🎼👑「じゃあさ!」
急に明るい声。
🎼👑「今度、三人で探してみる?」
俺はみことちゃんを見る。
いるまちゃんも、少しだけ眉を動かす。
🎼📢「……見つかるわけねぇよ。」
いるまちゃんはそう言った。
でも。
完全には否定しなかった。
それだけで、少しだけ希望がある気がした。
《🎼☔️side》
冬の夜。
街の明かりが少しずつ消えていく時間。
こさめは、公園のベンチに座っていた。
吐く息が白い。
手袋をしていない手は、少し冷たい。
でも。
気にしていない。
空を見上げる。
冬の空は、高い。
空気が澄んでいて、遠くまで見える。
星が、たくさんある。
小さく笑う。
🎼☔️「……今日もいっぱい」
手を伸ばす。
空を掴むみたいに。
もちろん、届かない。
でも。
それでいい。
静かな夜。
車の音も遠い。
こさめはベンチの上で膝を抱える。
時間はまだ、夜の10時くらい。
家には帰らない。
帰るのは───日付が変わってから。
父さんも母さんも、寝ている時間。
そうじゃないと。
また、怒鳴り声が聞こえるから。
だから。
それまで、外にいる。
俺は空を見ながら呟く。
🎼☔️「……寒いなぁ」
でも。
少し笑う。
🎼☔️「でも、きれい」
星は、何も言わない。
でも。
ずっとそこにある。
変わらない。
ベンチから立つ。
少し歩く。
また空を見る。
時間はゆっくり過ぎる。
夜11時。
コンビニの前の光。
少しだけ暖かい空気。
でも、入らない。
また歩く。
また空を見る。
夜12時。
日付が変わる。
こさめは小さく息を吐く。
🎼☔️「……そろそろかーえろ!」
歩く。
静かな住宅街。
自分の家の前まで来る。
電気は全部消えている。
窓も暗い。
俺は少しだけ安心する。
🎼☔️「……寝てる」
小さく呟く。
玄関のドアを、ゆっくり開ける。
音を立てないように。
靴を脱ぐ。
静かに廊下を歩く。
階段を上る。
二階。
部屋の前。
扉を開ける。
二段ベッド。
上には───まニキ。
下は、空。
こさめは少しだけ見る。
でも何も言わない。
毛布に潜る。
冷たい布団。
でも。
すぐに目を閉じる。
そして小さく呟く。
🎼☔️「……ただいま。おやすみ」
その声は、
誰にも聞こえなかった。
next.1000
コメント
7件
☔️ちゃん...学校だけじゃなく外でも明るく接してるんだ..... 2人の怒号が☔️ちゃんのことだって自分でわかってるから聞きたくないのかな....?
辛い😭😭 最後ら辺かな?瑞ちゃんが「茈ニキ」って呼んでるあたり…昔は仲が良かったとか…なのかな 2人とも、相手のために自分なりに気を遣ってるんだよね…
🍵くんも👑くんもそりゃ心配になるよねぇ、、、、、 ☔くんが帰ってきてないっていう状況に慣れちゃってる📢くんも結構まずいと思うし、日付が変わってから家に帰らないと、怒鳴り声、、、、っていうのがわかってしまっている☔くんも、、誰かが救ってあげられたらいいけど、現状は誰も助けてあげられないっていうのがすごく切ない、、、