レナトスとオーターの二人は、無言で壁に出現した文字を見つめた。
見つめたままレナトスが口を開く。
「どうやらこれがこの部屋を出るための条件らしいな。」
「・・・そのようですね。」
レナトスがチラッと一瞬オーターに視線を向け、またすぐに視線を戻し頬を指でかきながら続ける。
「あー、とりあえずお互い体を張るような条件じゃなくて良かったな。」
「・・・そうですね。」
視線を壁の文字に向けたまま、オーターが返事をした。すると、条件の文字の下に続けてまた文字が浮かび上がってきた。
“お互いの好きな所を言わないと出られない部屋”
全部というのは無しです。具体的に言って下さい。数はいくつでもOKです。さあ、お互いの好きな所を言い合って愛を深めましょう。
まずはワイルドな銀髪のお兄さんからどうぞ!
「・・・なんか指名されたんだけど。つか、この 部屋って意思を持ってんのか?」
「分かりません。とりあえずここは言う通りにした方がいいのではないでしょうか。」
「そうだな。」
レナトスとオーターは壁から視線を外し、お互いに向き合う。
「じゃあ、俺からいくな。」
「はい。」
レナトスがオーターを真っ直ぐ見つめて口を開き、オーターの好きなところを一つ一つあげていく。
「真面目なところ。」
「常に冷静なところ。」
「所作が綺麗なところ。」
「敵と認識した奴には容赦ねえけど、自分の懐に入れた奴には優しいところ。」
「意外と不器用なところ。」
「たまに口が悪くなるところ。」
「照れ屋なところ。」
「抱きしめると控えめにギュッってしてくる可愛いところ。」
「時々猫みたいに甘えてくる可愛いところ。」
レナトスが一つ一つ好きなところをあげていく
と、後半になるにつれてオーターの頬が赤く染まっていく。
(よくそんなにポンポン出てきますね。)
オーターは赤くなっている頬に手を当てながら
そのままレナトスの言葉に耳を傾けていると、
「それと、ヤってる時の潤んだ瞳とねだってモゴッ。」
「黙れ。」
言葉が加速し、とんでもない事まで言い出したレナトスの口をオーターがドスのきいた低い声を出しながら手で塞いだ。
それでもレナトスは一切怯える事も咎める事もなく、ただ優しい瞳でオーターを見つめる。
「・・・・ッ。」
そのレナトスの優しい瞳に耳まで赤く染め、
オーターはパッと手を離し顔を背けた。
そのオーターの仕草にレナトスは微笑みながら、顔を背けたままのオーターに声をかける。
「オーター、こっち向いて。」
「・・・嫌です。」
「オーター。」
「・・・・。」
「オーター。」
何度も自身の名前を呼ぶレナトスの優しい声に、オーターはゆっくりと顔をレナトスの方へと向けた。
「ん、いい子。」
優しい声で言いながら、レナトスがオーターの頬に手を伸ばし優しく頬を撫でながらこう続ける。
「あと、俺の前では余裕をなくしちまう可愛くて愛しいところ。」
「あ、なた、よくそんなにポンポンと恥ずかしがらずに言えますね。」
「だって事実だからな。」
「・・・・ッ。」
「やっぱお前って可愛いよ。」
「うるさいです。」
「はは、照れんなよ。」
「照れてません。」
いつの間にか二人が甘い雰囲気を出していると、
ピンポーン!
と先程文字が出ていた壁の方から音がした。
二人がそちらへ視線を向けると、またまた文字が浮き出ていた。
ワイルドな銀髪のお兄さん合格です!
貴方の好きという気持ちがよく伝わってきました。文句なしです!!
「なぁ。やっぱこの部屋、意思を持ってんじゃねえの?」
「ですから知りませんよ。とりあえず合格のようですね。」
「ああ。」
二人が壁の文字を見つめたままでいると、更に新しい文字が浮き出てきた。
さあ、次は眼鏡のお兄さんの番です。
貴方のワイルドな銀髪のお兄さんの好きなところを言って下さい!
「おっ、次はお前の番だな。」
「・・・・・そうですね。」
レナトスの言葉に、オーターは珍しく緊張した様子で頷いた。
コメント
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可愛い💕オーターは受けが一番!♡250まで押しときました!