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あぁやばい可愛い。すっごい可愛い。 オーターのツンデレはもうほんっとに癒しだ。
オーターが壁の文字から視線をはずし、レナトスの方へと向きなおり視線を合わせる。
「では、言いますね。」
「おう。」
ドッ、ドッ、ドッ、ドッ。
視線を合わせたはいいものの、オーターの心臓が緊張で激しい音を立てていた。
(落ち着け、私。ただこの男の好きなところを言うだけだろう。)
そう自身に言い聞かせ、オーターは口を開き声を発しようとするが、なかなか言葉が出ない。
「・・・・っ。」
(早く言わなければ。)
だんだんとオーターが焦りを感じ始めたその時、
ふわ。
「・・・!」
レナトスがオーターを優しく抱きしめた。
「レ、ナトス?」
「オーター。」
戸惑うオーターを抱きしめたまま、レナトスが続ける。
「焦らなくていい。ゆっくりでいいから。な?」
レナトスはそう言いながら、ポン、ポンと抱きしめたままのオーターの背中を優しく叩いた。
「・・・・・。」
トクン、トクン、トクン、トクン。
(不思議だ。先程まであんなに騒いでいたというのに。・・・落ち着いていく。)
「落ち着いたか?」
「・・・はい。」
「よし。」
落ち着きを取り戻したオーターをレナトスがそっと離す。
「じゃあ・・・聞かせてくれ。」
「はい。」
そして、オーターはレナトスを見つめながら彼の好きなところを一つ一つ言葉にしていく。
「常に私の事を気遣ってくれる優しいところ。」
「一途なところ。」
「私を見つめる優しい眼差しと声。」
「普段と戦闘時のギャップ。」
「時々見せる人懐っこい笑顔。」
「私を、優しく、力強く抱きしめる腕。」
「どんな私でも、愛して、くれる、ところ。」
一つ一つ言葉にしていくにつれて、またオーターの頬が赤く染まっていく。そして、オーターの言葉を聞いていたレナトスの頬もまた、オーターの頰の赤みが移ったようにうっすらと赤みを帯びていき、レナトスは思わず口元を手で覆った。
(オーターがそんな事思ってたなんてな。やばい、すげぇ嬉しい。)
口元を手で覆ったままレナトスがオーターから視線をそらす。すると、オーターが中断してレナトスに話しかけた。
「レナトス、どうしました?」
「いや、お前が俺の事、そんな風に思ってたのかと思ってな。その・・・お前は好きでもない奴に気を許したりしねえし、俺の事それなりに好いてくれてるんだろうなとは思ってはいたけど、こうしていざ言葉にされると嬉しくてな。」
そう言いながら、レナトスは照れくさそうに頬をうっすらと赤く染めたままクシャッと笑った。
(あ。)
「今の。」
「ん?」
「今の笑った顔も・・・好きです。」
「あー、たくっ。お前可愛すぎるだろ。」
素直なオーターにたまらなくなり、レナトスが
オーターをギュッと抱きしめる。
するとオーターもレナトスの背中に腕を回してベストをキュッと握った。
二人がそのまま抱きしめ合っていると、
ピンポーン!
とまた壁の方から聞き慣れた音がした。
抱き合ったまま二人が顔を向けると、新しい黒い太い文字が浮き出ていた。
眼鏡のお兄さん一生懸命に言うのが大変可愛らしかったです!文句なし、合格です!
銀髪のワイルドなお兄さん良かったですね〜。
二人共お疲れ様でした。
ドアはもう開いてるので部屋から出られますよ。
末永くお幸せに〜。
「あー、どうやらお前も合格みたいだぞ。」
「そのようですね。」
色々言いたい事はあるが、壁の太い黒い文字のメッセージをあえてスルーしてレナトスがオーターに言い、オーターもただコクリと頷いた。
「んじゃ、今度こそさっさと出ようぜ。」
「はい。」
二人はドアまで並んで歩き、レナトスがドアノブに手をかけて開けた。
ガチャ。キイ。
開けた先は、見慣れたオーターの執務室であった。
「おー!お前の執務室だな。どういう仕組みになってんだ?面白え。」
「はあ、面白くなんてありませんよ。どっと疲れました。」
「そうか?俺は、お前の思いを聞けて嬉しかったしこの部屋には感謝だけどな。」
そう言って、レナトスはオーターに向かって嬉しそうにニカッと笑う。
「・・・・。」
(まあ、確かに。この男の笑顔も見られたし、それに・・・いつもは言いたくても言えない気持ちを言えた。そういう意味ではレナトスの言う通り、この部屋に閉じ込められてよかったのかもしれませんね。)
「おーいオーター?どうした?ボーッとして。」
自身の方を向いたまま黙ってしまったオーターを不思議に思ったレナトスがオーターの顔の前で手を振りながら呼びかけた。
オーターはハッとして呼びかけに応える。
「何でもありません。・・・そうですね、貴方の言う通りかもしれません。」
「え?」
「ですから、私も思っている事を言えたからこの部屋には感謝してると言ってるんです。」
オーターの言葉を聞いてレナトスがギュッと抱きしめた。
「レナトス?」
「なぁ、オーター。」
「何ですか?」
「今度は・・・この部屋じゃない所で聞かせてくれな。」
「・・・・・努力はします。」
「そうか。」
(その言い方、お前らしいな。)
レナトスが苦笑しながら抱きしめていると、オーターがトントンとレナトスの背中を軽く叩いた。
「いつまでここでくっついているつもりですか?するなら・・・執務室でしましょう。」
「え、いいのか?仕事は?」
「明日に回すのでいいです。今は、貴方と一緒にいたいです。ほら・・・早く出ましょう?」
「あ、ああ。」
(オーターがデレてる!)
心の中で呟き、レナトスはオーターを離して彼の手をとりながら言った。
「じゃあ行くか。」
「はい。」
そして二人は手をとりあいながら、◯◯◯しないと出られない部屋をあとにするのだった。