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技術室の前にあった爆弾を解除し終えた、歩美は、松村、福浦ペア、そして、雪を探しに出ていた。
その頃。
雪は、ある男にスマホを取られていた。
「お前らしくないな。ブラックスノー」
「な、何のつもりだ?お前はこの事件に関係ないだろ‼」
雪が珍しく険しい顔で、男を睨みつける。
「ああ、そうさ関係ない。けれども、ちょっとばかり心配でな」
「何が?」
「お前、死のうとしてないか」
「……」
その言葉に、雪は言葉を詰まらせた。
「図星かよ」
彼は鼻で笑うと、雪のスマホの電源ボタンを長押しし、電源を切った。彼は雪の手を取ると、スマホを雪の手に握らせた。
「なあ秀人、お前、あたしを止めに来たのか?らしくねーな」
雪はそれに答えるように鼻で笑った。
「そんな事より、お前、この計画から降りろ」
「は、はあ⁉なんで……なんでだよ‼」
雪が声を荒げる。
「お前、言ったろ?協力しろって。お前にとってあたしは、最高の駒だろ⁉あたしを手放せば、お前の立場も……」
雪が大声で言うが、秀人はそれを遮る。そして人差し指を一本立てると、言った。
「一つ、お前は計画に必要なくなった。有能な人間が、お前のほかにも4人いる」
「あの探偵共か?アイツらに片棒を担がせるのは止せ。最も、一人は公安に引き抜かれてる」
「知ってる。けれども、君の前の部下が、有能だとね」
彼は指をもう一本立てた。
「そして二つ、サジェスの仲間であるお前をこれ以上協力者として近くに置くことはできない。排除する」
「なっ……それは、どうして、それを……」
彼は手をポケットに入れると、笑顔になった。
「ハハッ。忘れたか?俺の事」
「え?」
「俺はCIAの伝言役。これは俺が手に入れた情報じゃない」
雪は彼の言葉に意識が飛びそうになっていた。くらくらと、後ろに倒れそうになったが、左足を後ろにし、身体を支えた。
「ボスか?」
「正解」
秀人はこの上ないくらいの笑顔を見せた。
「以上だ」
彼はくるりと背を向けた。
「待て。まだ他に言う事があるはずだ」
「伝言はもう無いが?」
秀人は振り向き気味に言う。雪がそれに対して返す。
「違う!個人の話だ。爆弾の場所知ってるんだろ?」
「何故分かった?」
秀人は雪の方を向くと、そう返した。
雪は、少し笑って「勘」と言った。
「確かに知ってるさ。技術室の前に一つ。それと、CIAの本部に5つほど小型の爆弾が見つかった」
「技術室の方は恐らくもう解除されてる」
2人は平静を保って話していた。
「もう良い。分かってる。お前とはここで契約解除だ」
「本部は、何棟だっけ?」
「本棟の一階」
「はあ?技術室の近くじゃねえか‼」
雪は珍しく驚いていた。
「爆弾処理班が爆弾を処理しているのだが、間に合わないかもしれない。それと、さっき見つけたんだが、景音が倒れていたぞ」
「何⁉」
「貧血で倒れていたみたいだ。周りに人はいない。メモが1枚残されていただけだった」
「歩美か。……!もし解除できなければ、景音は」
「ああ。爆死する。助けるなら早く行った方がいい」
「分かった」
雪はジャケットを脱いで、すぐに本棟の一階へと走って行った。
その頃。
「うっ……」
ベルは、フォリーとの死闘に苦戦していた。
剣のようになったナイフの柄の部分を強く握りしめると、フォリーの胸元へ突き刺そうとした。
「おっそ」
フォリーはそれを、すぐに避けると、ナイフを振り上げた。
ベルは振り返ると、頭を後ろの方に避けた。
あっぶなー……、あのまま振り返ってたら、体が真っ二つだわ。
ベルは、フォリーのナイフを見て分析した。
しかしフォリーの攻撃は休むことがない。
顔を元の位置に戻すと、目の前にはナイフの刃先が、本能的にそのナイフを持っているフォリーの手首を掴むと、彼は勢いよく手首を下におろした。
クソッ……。ナイフを奪い取るチャンスだったのに……。
「敵の武器を盗ろうなんてご法度だろう?ベル!」
フォリーは今まで見たことないくらいの最高の笑顔を見せつけた。
「癪に障るなぁ‼」
ベルは剣の柄をテニスラケットのように持つと、横に振ったが、フォリーはその刃に彼の持っているナイフを押し当てた。
フォリーの顔は未だ笑ったままだ。
ああああああ、腹が立つ。ほんっとうに、イライラする。
いつもは殺しの仕事は何をしている時よりも集中できるのに、今日ばかりはそれができない。
ナイフが擦れ合う音、足音、息遣い……すべての生活音がフォリーの味方をしている。彼女は両手の力を抜くと、ナイフを避けるように、しゃがみこんだ。
ベルは左足を伸ばすと、隙のフォリーの足元にローキックを繰り出した。
しかし、フォリーは華麗にジャンプしてそれをかわす。
しまった……これは態勢が立て直せない……!
ベルは剣を床に突き刺すと、素早く立ちあがった。
フォリーはジャンプして着地したが、バランスを崩し倒れそうになる、しかし、彼は右足を上げて、後ろに回し蹴りをして、何とか、立て直した。
ベルを肩で息をしている、けれども、休む暇はない。
こいつの体力は一体どうなってんのよ⁉ここまでやってまだ戦う気力があるとは、一体どこからそんな体力が出てくるんだ?
ベルにはそんな疑問があったが、考えている暇はない。
目の前にはナイフを振り上げた殺人鬼がいる。
ナイフを振り下ろすが、ベルはそれを剣でガードした。
しかし、さっきナイフを押し当てられた時より力が弱い、ベルはすごい力で押し返した。
これは勝てる見込みがあるかもしれない!
そう彼女は油断していた。
「チェックメイトだ。ベル」
息切れ一つしていない、声が下から聞こえてきた。