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「こやぁ」
「あぇ⁈‥‥叶さん?」
深夜
アジトに残り雑務をこなしていると、下の階から叶さんの声がした
「どうかしましたか?」
「‥‥‥‥どうかしたじゃないよ。今日もまた帰らないつもり?」
「いえ、これが終わったら帰りますから先に戻って下さい」
「なに‥‥また僕一人で寝かすつもりなの?」
「これが終わったら帰るって言いましたよね?だから先に‥‥」
「一緒に帰ろうよ。すぐに終わるんでしょ?」
「それは‥‥はい‥‥すぐに‥‥」
俺は机に広げた地図とメモ書きした紙を眺める
新しい配置を考えていた
何故なら俺達『Lycoris』は今は非常に厳しい現実を見せられている
犯罪に手慣れた人達が数人
次々とこのアジトから去っていった
それに伴い、犯罪の成功率が格段に下がった
このまま負け込むと残された子達の士気が落ちてしまわないか心配だった
だから何通りか新たな配置を考え、どうにか成功率を上げられないかと今までここにいた訳だ
そんな俺を見透かすように叶さんが優しく俺を見ている
叶さんだって疲れているはずなのに、いつまでもここには置いておけない
「じゃあ‥‥帰りますか」
「うん、帰ろう」
「先に降りてて下さい。ここ片付けてから‥‥」
「そんなの明日でいいよ」
「すぐですから」
「もう‥‥早く帰ろうってば」
ドアの扉を開けたまま叶さんが俺を見ている
机のもの片付け、引き出しの中にしまう
その時ふと今日の成功した犯罪の取り分のお金をまだ分けていなかった事を思い出した
「あっ‥‥!ちょっと待って‥‥」
俺は急いで机の上のメモ紙にペンを取り、金額とその犯罪に参加したメンバーのメモを取り始めた
朝イチに振り込んであげないと
そんな事を考えていると急に体が後ろに引っ張られた
「うわっ!えっ‥‥叶さん⁈」
入り口に立っていたはずの叶さんが、扉を閉めて俺の後ろにいる
俺の体を抱きしめて‥‥
「かっ‥‥叶さん?」
「たまにはちゃんと僕のお世話してくれないとこうなるよ」
「お世話って‥‥ちょっと!」
「今のはこやが悪いよ。だから早く帰ろうって言ったよね」
「だから帰るって‥‥っ‥‥」
ボスが‥‥俺が使っている1人掛けの椅子に座らされると背もたれに叶さんが両手を着き、仁王立のまま前屈みに俺の顔に近づいた
「もう遅いよ」
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うぐいす
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