テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
銃声が反響する。
狭い通路の中で、音が逃げ場を失って跳ね返った。
おんりーは壁を蹴り、身を滑り込ませる。
おんりー「……っ、しつこい」
弾丸が頭上を掠め、火花が散る。
敵は数を減らしているはずなのに、圧が落ちない。
おんりー(……統率が取れすぎてる)
一人じゃない。
明確な指示が、敵全体に行き渡っている。
おんりーは息を整え、次の動きを読もうとする。
だが――
足元が、わずかに軋んだ。
おんりー「……っ」
反応が遅れた。
床が開き、視界が反転する。
おんりー「――くっ!」
受け身を取るが、衝撃が全身に走る。
暗い下層。逃げ場の少ない構造。
おんりー「……落とし穴、二段構えかよ」
立ち上がろうとして、膝が震えた。
おんりー「……っ」
敵の足音が、上から近づいてくる。
おんりー(……やばいな)
通信機に手を伸ばす。
おんりー「MEN、聞こえる?」
『――』
返事はない。
おんりーは一瞬、目を閉じる。
おんりー(……今、ここにいない)
胸の奥が、ぎゅっと締め付けられる。
背中にあったはずの温度が、ない。
おんりー「……でも」
顔を上げ、歯を食いしばる。
おんりー「俺は、まだ倒れてない」
上から、照準が降りてくる。
敵兵「――動くな」
おんりーはゆっくりと両手を上げた。
おんりー「……悪いけど、それは無理だ」
次の瞬間、閃光。
おんりーは敵の死角へ飛び込み、至近距離で打ち返す。
だが、数が多い。
肩に、鋭い痛み。
おんりー「……っ!」
血が滲む。
動きが、確実に鈍る。
おんりー(……ここで、詰みか?)
脳裏に浮かぶのは、分岐点で見た背中。
おんりー(……MEN)
喉が、かすれる。
おんりー(まだ……一緒に戻ってない)
その時。
通路の奥から、別の銃声が響いた。
敵兵「な――」
悲鳴。
混乱。
おんりーは目を見開く。
おんりー「……?」
敵の一人が、無線に叫ぶ。
敵兵「侵入者だ! もう一人――」
その言葉が、途中で途切れた。
おんりーの胸が、大きく脈打つ。
おんりー(……来るな)
願いと、期待が入り混じる。
おんりー(……来るなよ、相棒)
だが。
遠くで、聞き慣れた足音がした。
重く、迷いのない足音。
おんりーは苦笑する。
おんりー「……ほんと、言うこと聞かないな」
敵の気配は、まだ消えていない。
おんりーの体力も、限界に近い。
それでも。
背中合わせに戻る瞬間は――
確実に、近づいていた。