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目が覚めると、視界が真っ暗だった。
何故だ、?失明したのか?
いや、違う。腕が拘束されている。誰かに閉じ込められたのか。
…ここは何処だ?昨日はクレーと寝たはずだ。
…待て、クレーは、クレーはどこだ…!?
クレーもこんな状態なのか?なら、今すぐに助けなければ。
「クレー、どこだい?」
何も返事は返ってこない。
「クレー? 」
クレーはいない?まさか、別室に連れて行かれたか?
いや、まだ一緒に連れてこられたとは断言できない。
大丈夫。きっと大丈夫だ。
駄目だ、嫌な想像が止まらない。落ち着け。大丈夫だ。
『アルベド。』
「!、旅人!?」
『うん。』
「旅人も拘束されているのかい?」
『…ううん。されてないよ。』
「そうか…ここにクレーは居る?」
『ううん。居ないよ。』
「そうか…ありがとう。」
ああ、心底安心した。
クレーは怖い目に遭っていないのか。
「そうだ、旅人。拘束を外してくれる?」
『…それは…出来ない。』
「…どうして?」
『だって…アルベドは、私と一緒に、ずっとここにいるから。』
彼女は今、何と言った?一緒にずっとここにいる?
…それは
「出来ない。」
『どうして?』
「…きっと、その口ぶりからして、ボクを拘束したのは君だろう?
ボクは君の所有物でも、ペットでもない。
こんな方法をする君とでは、一緒に居られないし、居たくない。
その上、ボクにはクレーがいる。
ボクは妹を放置するような兄にはなりたくないからね。」
『そっか…そういうのは想定内だったよ。』
途端、暖かい物が、僕の首に触れる。
「ッ、ぁ゙…がッ」
首が、痛い。息が、苦しい。
『ねぇ、賭けをしない?
今から1分、アルベドが気を失わなかったらアルベドの勝ち 。一緒に居るのは諦める。
アルベドが気を失ったら、私の勝ち。これからずっと一緒に居る。どう? 』
「ッぅ゙、」
声が出ない。返事なんてできない。
『いいよってことでいいんだよね?それじゃあスタート。いーち、にーい、さーん。』
段々と首を絞める力が強くなっていく。
駄目だ、気を失ったら、
クレーが、寂しい思いをする。
スクロースに、ティマイオスに、誰か錬金術を教えるんだ?
『じゅさーん、じゅうしー』
あ、これ、むりだ。
『あれ、アルベド、もう逝っちゃったの?』
旅人の言葉を最後に、ボクの意識は途絶えた。