初めてのキスのあと、繋いだ手をそのままに、僕たちは静かに見つめ合っていた。
滉斗の目は、どこか照れていて、でも逃げてなくて。
その視線が、元貴の胸の奥をじんわりあたためていく。
「……もう一回、していい?」
囁くように滉斗が言った。
「……うん」
ふたりの顔が再び近づく。
唇が、そっと重なった。
最初のキスよりも、少し長くて、
少しだけ深い。
そして、そのキスが終わるか終わらないかのうちに——
三度目のキス。
今度のキスは、さっきよりも深くて長くて、
まるで心の奥があふれ出すような、感情の爆発だった。
「……んっ」
「……元貴……」
吐息が、漏れる。
お互いを求めるように唇がぶつかり、何度も何度も重なる。
不器用で、でもまっすぐで。
“好き”のすべてを込めた、爆発するようなキス。
鼓動が早すぎて、呼吸さえうまくできないのに、 それでも、もっと近づきたくてたまらなかった。
「……元貴」
「……ん、なに……」
滉斗は、元貴の頬に手を添えながら、少しだけ息を整えて言った。
「……キス、したことあった?」
元貴は首を横に振って、滉斗の手の上にそっと自分の手を重ねた。
「……ないよ。滉斗が、初めて」
「……俺も」
目と目が合う。
それだけでまた、胸の奥がきゅっと締め付けられた。
滉斗の腕が、元貴の背中にまわってくる。
引き寄せられて、胸が重なる距離。
どちらともなく、何度も唇を重ねる。
止まらない。
もう、止めたくなかった。
「……元貴……実は俺、お前のこと……めちゃくちゃ好き……」
吐息混じりに、耳元でそう囁かれた瞬間、
元貴の目の奥が一気に熱くなった。
「……俺も、だよ……っ……滉斗……」
声にならない“好き”が、何度も重なって溶けていく。
呼吸がうまくできない。
でもそれ以上に、もっと、もっと近づきたくなる。
「……元貴……」
「……ん、滉斗……」
ふたりの名前が、唇からほどけるたびに、
新しい“好き”がひとつずつ増えていった。
まだ“恋人”という言葉を口にするには、ちょっと不器用なふたりだけど、
このキスが、確かに気持ちを結びつけていた。
“好きだよ”って。
“君じゃなきゃだめなんだ”って。
コメント
2件
なは!😭 なんですかこの尊い2人は!😭💞 疲れが吹っ飛びました…🥹 ありがとうございます!🥹✨