騒がしい広場。
そこに統領が登場した瞬間、時が止まった様な感じがした。
真剣な眼差しをした統領が口を開いた。
「諸君、戦争に興味があるかい?」
再び騒がしくなる広場。
書記長に軽く叩かれる統領。
あの頃と変わらないなと思った。普通だったら、俺もあの中に入っていたのに。
「えー、統領と代わり私トントンが話します」
「え”っ」
「これから、近距離、遠距離、筆記という順番で試験を受けてもらう」
「その試験に合格した者だけ面接を受け、正式に兵としてこの国に過ごしてもらう」
「不正した者、スパイは直ちに辞めてもらう」
しっかりと説明をしているトントン。そんなトントンを見て不貞腐れている統領。
親子やんと思いつつ、これで大丈夫なんかと不安になった。
「近距離の試験はこの広場でやる。移動はしなくてええで」
「それじゃあ、近距離部隊任せた」
「おう!任せておけ!!!」
「ちゃんと時間通りにな〜」
そう言ってトントンはグルッペンを引きずって広場から去って行くのと同時にコネシマとゾム、レパロウが現れた。
「まずは自己紹介」
「これいるか?」
「トントン言うてたしやるやろ」
「んじゃ、俺からやな!」
「近距離部隊隊長のコネシマや!」
「よろしくな!」
「暗殺部隊隊長のゾムでーす!」
「近距離部隊副隊長のレパロウです!」
「うし、それじゃあ近距離の試験を受けてもらうで!」
「ルールは〜〜」
俺が務めていた近距離の第一部隊は消え、近距離部隊は1つになった。隊長はコネシマ。そして、副隊長はレパロウに。
もう俺の部隊はないんだと居場所がどんどん無くなる感じがしてきて、虚しさが心を襲う。
「それじゃあ、よ〜い、スタート!!!」
ボーッとしていたら突然、大声でスタートの合図が出された。一斉に動き出す。
辺りから剣の音が聞こえる。
「すきやりッ!」
「危ねッ!」
ルールがわからなく、周りを見回していると急に襲ってきた。動きが良く、今年の兵士は豊富だろう。
見た感じ何時もの模擬戦なんだろう。懐かしい。
「お前の方が隙が多いんだよッw」
「はやッ?!」
調子にのっていつもどうりにやったら一発で相手をダウンさせてしまった。
これを幹部に見られたらそく目を付けられてしまう。最悪幹部に。
「お前すげぇな!!」
「あッ、え、はぃ」
どうやら見ていたらしく、コネシマに声をかけられた。一番面倒な奴だ。
「お前そのスピード何処で取得したん?」
「いや〜、まぁ」
「シッマ!ちゃんと周りの奴も見ろよ!」
「それよりコイツ凄いで!!」
「スピードも動きもええし!」
「マジ?!」
「ちょ、俺も見てぇ!」
どうしようと焦る気持ちが襲ってくる。
これでバレたらそく終わり。目的が出来ないまま終わってしまう。
「2人共ちゃんと仕事して下さい!」
「ええやんレパロウ!」
「ちょっと、ちょ〜と見るだけや!」
「いや、その人困ってますよ」
「急に幹部に話しかけられて、見せろとか戸惑いますよ?」
「あー、確かにな」
「すまんな、うちのコネシマが」
「いや、お前も気になってたやんけ!!」
「は、ははは…」
どう反応すればいいかわからない為苦笑い。
ゾムたちには目をつけられるは、目立つはと最悪だ。
この先は何もない事を祈る。
「うし、終了ーー!!!」
「みんなよう頑張った!」
「次は長距離やで〜!」
「次の会場に行くので着いてきてください!」
少しは休憩入れろと心の中でツッコんだ。
次は長距離。今は大先生は居ないからショッピだけだろう。アイツ一人で大丈夫なんかと疑問になった。
そんな事を考えていると、面倒くさそうにショッピが来た。
「はーい、これから長距離の試験を受けてもらうで」
「ルールはあの的にこの銃で当てるだけや」
「それだけや、各自始めてな」
明らかに手抜きな説明。そのせいでざわめく試験者たち。
そして、的の距離は遠い。ど真ん中に当たるか当たらないかぐらいだ。
パーンッ
早速誰か打ったらしい。的には当たるがど真ん中ではない。
俺もやらなきゃと前に出る。
銃なんて何年ぶりだろう。短剣やスコップをよく使う為、銃なんて慣れていない。
的には当たりますように、そう願って引き金を引いた。
パーンッ
ど真ん中ではないが的には当たった。
無事に当たり、あとは周りが終わるのを待つだけ。
「全員終わったな」
「ほな、さっさと次の会場に行ってな」
「あの、次の会場の場所教えられてないんですけど…」
「ああ、せやったな、エミさんが来るわ」
「来る間休憩でもしておけ」
「ほな、」
そう言ってそさくさと退場して行った。