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MAKO
🌸曰く、🌼は生後8ヶ月らしい。
離乳食はあげる余裕がなかったらしく、パレスで初めての離乳食を食べさせることになった。
🌼は🌸やロノ達の心配が無駄になるほどもりもりと粥を食べた。
最近ではパン粥が気に入ったらしく、ロノを見かけると口をモグモグさせて食事を催促するようになってきた。
🌸は食欲旺盛な🌼の様子を見て嬉しそうにしているので、ロノは離乳食を作るのがまったく苦ではない。
しかし、最近ラトがあーんを覚えて🌼に食べさせたがるため、🌼とラトが年の離れた兄妹のように見えてしまう。
それはそれで微笑ましくて良いのだが、ロノが間近で親娘の笑顔を見るタイミングが減ってしまったのは辛い。
そんな中、離乳食の食材を増やしてみてはどうかとハナマルとルカスから提案があった。
離乳食の初期に食べさせて良い食材を調べてリストアップしてくれたフェネスに感謝しつつ、深夜の厨房でロノは一口大の野菜で試作をしてみていた。
最初に思いついた調理法は茹でることだが、どうしても湯の中に栄養が溶け出てしまうため蒸してみたりして少しでも栄養がとれる方法で、かつ簡単に潰せる固さまで加熱できる時間を探していたのだ。
「あ〜・・・やっぱ蒸すとちょっと時間かかるのかな・・・
あ、でも甘くて美味い・・・」
試作のすりつぶし人参を食べてみてロノはうんうんと頷いた。
これならきっと、🌼も食べてくれるだろう。
「という訳で、今日は人参を食べさせたいと思います!」
🌼を抱っこしていたベレンの顔が引き攣る。
🌸はニコニコしながら、楽しみだねぇ、と🌼に話しかけているのでベレンの様子がおかしいことには気づかなかったようだ。
🌼はハウレス作のベビーチェアに座らされ、横には🌸が笑顔で座り、新たな離乳食を楽しみに待っていた。
ロノは小皿にすりつぶした人参とパン粥を盛り付けて運び、主達の前に置いた。
その瞬間、横から人参の入った皿が誰かに取られてしまった。
「え!?」
ロノと🌸が横を見ると、ラトが皿を持ち上げて匂いを嗅いでいた。
「・・・ロノ君が変なものを出すとは思いませんが・・・念の為毒見させてもらいます」
そう言うとラトは赤ちゃん用の小さいスプーンでちょっとしかないすりつぶし人参4分の1程を掬い取り、口に入れた。
「・・・あまり美味しくはないですね・・・でも大丈夫そうです」
ラトはそのまま人参を🌼に食べさせようとするのでロノが慌ててスプーンを取り替えた。
あーん、と🌼に人参を食べさせるラトを見て、ロノは離乳食の毒見ならラトもパセリ以外を食べてくれるのでは、と気づき次からは多めに作ることにした。
🌼は人参を気に入ったらしく、興奮した様子で腕を振っている。
「くふふ・・・美味しいですか?」
🌸『ふふ・・・美味しそうに食べるねぇ・・・』
「そう・・・ちゃんとごっくんして・・・あーん・・・」
🌸『ラト君、あーんが上手になったね。こないだまで結構零してたのに・・・』
「そうですね・・・でも、🌼様の食べるのが上手になっているから零れなくなったんですよ」
🌸『そうなんだ・・・』
🌸は我が子の成長を感じて、嬉しそうな表情をしていた。
一方で食堂の隅でボスキ、ベレン、テディ、フルーレが気まずそうにサラダとにらめっこしていた。
「・・・おい、お前ら・・・🌼様でも野菜食ってんだぞ。残すなよ?」
そうロノに言われたため、食べるしか無くなってしまったのである。
「ううっ・・・」
「おえっ・・・」
フルーレとテディは覚悟を決めてサラダを食べ始めた。
しかし、やはり口には合わず若干えずいて涙目になっている。
ボスキとベレンは絶対に食べない姿勢を崩さず、まだにらめっこしていた。
フルーレとテディは泣きそうになりながら何とか完食し、食堂から出ていってしまった。
ボスキとベレンは顔を見合わせ、無言でじゃんけんを始めた。
ベレンが負け、ボスキは何度も小さくガッツポーズをしながら食堂を出ていく。
ベレンは死を悟ったような表情で2人分のサラダに震えるフォークを刺した。
ベレンは必死の思いでサラダを完食すると、テーブルに突っ伏してしまい魂が抜けたように動かなくなってしまった。
🌸はそんなベレンを心配して声を掛けた。
🌸『大丈夫ですか?具合悪くなっちゃいました?』
ベレンはゆっくりと首を持ち上げて力無く笑った。
「あはは・・・たかが野菜でって思うよね・・・」
🌸『いえ、そんなことは・・・』
「良いんだよ・・・自分でも情けないって思ってるから・・・
今度は絶対ボスキ君に俺の分を押し付けて仕返ししてやる・・・」
🌸がクスクスと笑い出すと、ようやくベレンにも笑顔が戻った。
🌸はその晩、久しぶりに生まれた家の夢を見ていた。
幼い🌸の分の食事は食べ残しを1つの皿に纏めたものを床に放り投げられていた。
🌸はそれしか食べるものがなかったため、必死に魚の骨にもむしゃぶりついた。
それを見た父親は飲み残しのお茶を頭から掛け、「意地汚い」と吐き捨てた。
母親は「〇〇ちゃんと同じように出来ないかそうなっているのよ!?どうして〇〇ちゃんみたいに出来ないの!?」とヒステリックに叫んでグラスを投げつけてきた。
食べ残しの中にガラスの破片が混じった。
兄はこの光景が日常であるため、全く気にせずに勉強をしている。
母親はそんな兄に冷蔵庫からケーキを出してやり、兄は無言でそれを食べていた。
(・・・いいなぁ・・・わたしもアレ食べてみたい・・・おいしいのかな?)
じっと兄を見ていると、また母親がヒステリックに叫びだした。
「何を見てるの!!アンタみたいな出来損ないが!〇〇ちゃんと同じモノを食べたいだなんて!卑しいにも程があるでしょ!?もう出ていって!!」
母親は🌸の首根っこを掴み、台所の勝手口から外に放りだした。
この日はそれきり家に入れてもらえず、冷え込む秋の夜を震えながら明かした。
🌸『ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・ごめんなさいっ・・・』
寝言で謝り続ける🌸の手を握り、ベリアンは悲しそうに🌸に寄り添っていた。
この屋敷に来てすぐは疲労が溜まっていたことと怪我をしていたことで、夢を見ることはなかった。
しかし、身体が回復してくると悪夢に魘されて、泣きながら謝り続けるようになった。
これでは眠っても疲れが取れるはずもない。
最近は特に魘される頻度も高くなり、疲れたような表情をしている🌸に何もしてあげられないのが歯痒くてたまらない。
ベリアンは🌸の手を両手で包み、額に当てた。
どうか、主が夢の中でも幸せになれますように。
今夜もベリアンは切なる願いを夜空に捧げるのだった。
コメント
1件
いやもう…離乳食のシーンめっちゃほっこりしたんだけど、最後の🌸さんの過去が重すぎてやられたわ…😭 人参を美味しそうに食べる🌼と、それを見守る🌸の笑顔が眩しい分、思い出したくない過去が胸に刺さる。ロノの優しさも、ベレンたちの野菜嫌いの必死っぷりも好きだけど、夜毎謝る🌸に寄り添うベリアンの存在が本当に沁みる…。