テラーノベル
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「なんなのよ!!あんな出来損ない要らないから捨ててこいって言ったのは貴男じゃない!!」
「だからって本当に捨てる奴があるか!!こんなことが知られたら、世間からなんて言われると思っているんだ!?」
「知らないわよ!!私はあんな穀潰し家に置いておくなんて嫌だったのよ!!」
「そんな事は分かっている!!
私は娘を何処かに捨てたことを言っているんだ!!いい加減にしろ!!」
「うるさいうるさいうるさい!!!
大体貴方がもう一人欲しいなんて言わなければこんなことにはーーー」
一人息子となった青年は耳を塞いだ。
特に興味もなかった出来損ないの妹が失踪してから、両親は目に見えておかしくなった。
昔から何でもできた青年は、特に何にも興味も面白みも感じていなかった。
妹は自分が言われずともできたことができなくて、いつも失敗ばかりして泣いていた。
親に見放されて、床で残り物を貪って、薄着で寒空の下放り出される妹を見て失敗とはこういう事を言うのだろうと思っていた。
しかし、何も失敗していなかったはずの青年は今両親の喧嘩に巻き込まれ、母の機嫌を取らなくては食事もままならなくなった。
自分は一体何を間違ったのだろう?
自問自答しても答えなど出てこない。
青年は居なくなった妹のことをぼんやりと思い出し、扱いはまだマシだろうが変わらないな、と自嘲した。
妹は一体どこに行ったのだろう。
心当たりなど何も無いが、きっと二度とこの家には帰ってこないだろうという確信だけはあった。
青年は痩せていて自分の着なくなったお下がりばかり着せられていた、哀れな妹のことをぼんやりと思い返していた。
どうしてあの時母を止めなかった?
ー下手したら自分も同じ目に遭わされていまうから?
どうして食事を多めに残そうとしなかった?
ー母親に気づかれたら妹と同じように扱われるかも知れないから?
どうして妹を憐れんで助けてやらなかった?
ー母親に気づかれたら家に居られなくなるから?
・・・なんだ、自分は母親に従っているだけではないか。
青年は笑い出した。
中身が無い人間だとは思っていたが、外側さえ母が作ったハリボテだったとは。
笑える。
笑える。
・・・わらえる、わらえる
わらえ、あの子よりはマシなのだから
青年はそれから部屋に籠もって母親の目を盗んで黒魔術を学び、大きな魔法陣を描き上げた。
「・・・まさか、最初で最後の兄としてやることがこんなこととはね」
最後の仕上げのために台所へ向かう。
包丁を持ち出し、リビングで酒を飲んで泣いている母親に近づいていく。
「〇〇ちゃん・・・?勉強してる時間でしょ?なにしてるの?早くもどって!!早く!!どうしてママの言うことが聞けないの!!!アレと同じになりたいの!?」
母親はヒステリックに叫び出した。
「・・・黙れ、お前なんか母親じゃない」
瞬間、女の首の血管から血が吹き出し、女はその場に崩れ落ちた。
兄は母親だったものを引き摺って部屋に入り、魔法陣の真ん中に置いた。
「・・・悪魔でも、魔物でも、神様でも、妖精でも・・・何でもいい・・・お願いだ、妹を助けて・・・
我、この陣に誓いてこの命と生贄を捧げ、我が悲願を成就させん・・・」
その日の夕方、仕事から戻った父親は家の惨状を見て首を吊った。
奇しくもその日は🌸が指輪を見つけたあの日だったことは、もう誰も知ることがない事実である。
MAKO
コメント
1件
うわあ…重くてせつなすぎる…😭💔 兄の視点から見た家族の崩壊と、妹への複雑な想いが胸に刺さるよ…「なんだ、自分は母親に従っているだけではないか」って気づいた瞬間の自嘲、めっちゃ切なかった。ラストの「助けて」のシーン、込み上げるものがありました…🌚のあの日とリンクする終わり方も余韻がヤバい。こんなエピソード描けるMAKOさんすごい…でも心が痛いです😢💕