テラーノベル
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モートは次に、西へ行ったところのロマネスク様式の建築物が建ち並ぶ。呻き声が木霊する住宅地へと走った。赤い魂が一瞬だけ見えたからだ。住宅と住宅の接点である交差点に垣間見えて、その後すぐに忽然と消えてしまった。辺りは依然としておびただしい赤黒い雹が地へと落ち、道路で四方へと弾けていた。住宅地には、なだれ込むかのように漆黒の魂のゾンビの数も更に増えている。
急いで、交差点へとたどり着くと同時に、モートは周囲のゾンビを狩り始めた。腐敗した肉体の部位を刈り込んでいくと、ゾンビの集団は数秒でまったく動かなくなった。赤黒い雹で、住宅地の地面は真っ黒だったが、それをゾンビの腐敗した身体が埋め尽くしていく。
交差点を右に曲がると、辺りには生きた人間はいないので、赤色の魂の持ち主はどうやらここの地下。マンホール内などにいるのではとモートは考えた。
なので、別の生きた人間が関わっているのだろう。
だが、呆気なく赤色の魂の持ち主の居所がわかった。住宅地のロマネスク様式の一軒家の地下室らしき場所に魂が六つあったのだ。
一つは赤色の魂。もう五つは、真っ黒な魂だ。
―――
マリンシス・ラオデキアはまさか自分の家の隣に、これほど異常な兄弟がいるとは夢にも思わなかった。
周辺を埋め尽くしていくゾンビから避難している最中に、交差点に差し掛かった時。一番親しかったお兄さんに声を掛けられた。安全かとついていくと、何かで頭を殴られ途中で気を失ったようだ。
下卑た笑い声が、木霊する狭い地下室で、5人兄弟が手もみをしながら、、最初は誰か? と話し合っている。
しかし、マリンシスにはその最初というのがよくわからなかった。
彼らの後ろには、今まで見たことのない大型機械があったのだ。ミンチマシーン? そうとも言えるような意図で作られた機械だった。
そうとわかると、マリンシスはガタガタと震えだした。幸い。身体は自由に動けた。ズキズキとする頭を抑えなければならないが、至って走って逃げることはできそうだ。だが、どこへ?
ゾンビが徘徊する外へと出て。それから一体どうなるのだろうか?
と、いきなり。黒い物体が天井から降ってきた。そのままコンクリートの地面に着地すると、目にも止まらぬ速さで、五人兄弟に向かって、右手を一周するように横に振った。
「なんだ?!」
「こいつ!!」
「……あれれ?」
「……」
「……」
次第に彼らの発声する声が、途絶えてきて五人兄弟の首が静かにずり落ちていく。黒い物体は、黒いロングコートを着ている美しい銀髪の男だった。こちらに振り向くと、ニッコリ笑った。
そこで、何故かホッとしたマリンシスはしばらく銀髪の男を見つめていた。
「君は身体のどこかに聖痕はあるかい? あるいは、傷や文字のようなものが最近になって、腕や足などに浮き出てこなかったかい?」
なんとも優しい声に、安心感を抱いたマリンシスは正直に話そうとした。
「……聖痕……」
「ああ、なければいいんだ。さあ、安全なところまで君を送ろう」
銀髪の男がこの地下室の出口へ歩いて行く。
「え! あの!」
「なんだい?」
「一週間前に、教会の帰りで空を覆うような光を見たわ。最初幻覚だと思ったのだけど、その時から掌にこういう模様がついたの。まるで、杭を打たれたような傷にも見えるのよ。きっと、これが聖痕かもしれない」
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