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この物語を書き終えたとき、私はしばらく、言葉が出てきませんでした。何を書いたのか、ではなく、「何を吐き出してしまったのか」という感覚に近かったのかもしれません。
人から見れば些細な関係。
でも、当事者にとっては一つ一つが重たく、確かで、残酷な現実でした。
パンケーキや苺、カビやガトーショコラ。
甘くてやわらかい言葉に包んでも、隠しきれない痛みがありました。
「混ぜられる」という表現は、自分を明け渡してしまったあの日のこと。
「焼かれた」という言葉には、もう戻れないという絶望が込められています。
それでも、カビたままでもいいから、生地としてまた立ち上がろうとすること。
それが、きっとこの物語の最後の温度だと思っています。
誰かにわかってほしいわけじゃない。
誰かに裁いてほしいわけでもない。
ただ、ここに「私がいた」と書き残しておきたかった。
そんな気持ちで書きました。
この作品を読んでくれて、本当にありがとう。
もし今、あなたの中にも消えない痛みや、誰にも言えない苦しみがあったとしても、
言葉にならないままで、そこに存在していていいのだと、私は思います。
あなたがあなたの手順で、歩けますように。