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『もしあと1回だけ生まれ変われるなら』解説
この世界線でのユウマの夢は、本編のユウマのようにマキを取り返すことでも憑从影を殲滅することでもありません。ただ「自分」という存在が憎くて死ぬことだけを考えていた人でした。
ユウマは自分自身の最期の願いである「ハカと共に心中すること」を叶えるために、ハカが作りかけだった仮想現実シュミレーションの部屋を完成させ、ミッションをプレイしました。
そのミッションはユウマのオリジナルで、タイトルは「君のためのミッション」といいます。そのミッションの内容は都市伝説もSCPも何も関係せず、ただただ自分は普通の人間でいつもの景色を家族と過ごすというものでした。しかし本来なら必須のクリア条件を設定しておらず、ルアのように都合よくログアウトしてくれる存在もいません(ユウマの技術では作れなかった)。言うならばユウマの作ったシュミレーション自体がバグだったので、1度ログインしたら永遠にこのゲームから出ることはできませんでした。
そして最期の憑从影ハカと遭遇した時は思いを吐き出した後、互いに脳を潰して海の中へ落ち、ミッションの中で死んでしまいます。しかし、その時ユウマはハカの為、この時の為だけに2つの異能力を解放し、使っていました。
1つは囮影牢です。この世界線でユウマは囮影牢だけを極めてきたので本編よりも精度がはるか上です。朧火ほど高性能なわけではありませんが、潰すことだけじゃなく自由自在に硬さなども変えることが可能でした。これでユウマはハカと自分の脳を貫通させ潰しました。
2つ目は朧火です。盟約とかそういう機能はなくて、ただ幻影を見せる為だけの進化前?のものとなってます。これはユウマの「憑从影から人に戻るわけないけど、もしかしたら俺のことを思い出してくれるかもしれない」というすずめの涙以下の希望を表してます。なのでユウマは朧火で今までのできごとや、これからハカと描きたかったはずの未来のことをハカの脳内に映し出し、精神を操作しました。
もちろんそれだけでハカの記憶が戻ることはありません。ですが思い出というものはなかなか消えないものです。拉致されるまでユウマと過ごしてきた思い出はいい意味でハカの体を刺激して衝動を起こし、涙を流しました。体が覚えているという感じですね。
話が変わるのですがここで「なぜ現実のハカの元へ会いに行かなかったのか」や「なぜ快く心中してくれる都合のいい人間のハカじゃなくて、憑从影のハカをプログラムしたのか」といった疑問が出る人もいるんじゃないでしょうか。
1つ目の問いには色々な理由があるのですが、代表的な理由を4つあげるとするなら
「実際に戦う度胸がなかったから」
「ハカを傷つけたくなかったから」
「帰る家がまだ残っていて、帰ってくる可能性がゼロではないから」
「憑从影の在り処や行動範囲を絞ることが誰も出来なかったから」
という感じです。
2つ目の問いに関しては、「現在のハカと再会したかった」という望みを反映させたつもりです。また、ハカは本編でユウマがベランダから飛び降りようとしたのを止めるくらいなので、一緒に死んでくれるわけがないですよね。だから快く心中してくれる人なんてハカじゃない。と思ったのでしょう。
ユウマがシュミレーションで脳を潰し死んだ後現実ではどうなったのか、この出来事の後、ハカが人として…もしくは憑从影としてどうやってその生涯を終えたのかは描いていません。ご想像にお任せします。
しかし解釈のヒントを与えるとするなら「ユウマはミッション内の憑从影ハカの脳を潰した」という事実と「プレイしたミッションはバグではあるが、現実とのリンクの強さは何も変わらない」という設定です。ミッション内に出てきたハカはプログラムなんですが、現実のハカとのリンクは強いという訳です。
つまりハカの人生の道のりはユウマと同じくらいの長さで死というゴールを迎えているのか、それより長く続いているのかは皆様の解釈次第なんです。
そしてこの話はユウマとハカが惚れっぽい幽霊回(仮)で言ってた「10回生まれ変わっても…」というセリフに着目しました。
本編を「10回目の生まれ変わりの人生」だとしたらこの世界線は「9回の生まれ変わりの人生」です。なのでこの世界線で死んでしまったユウマは生まれ変わって本編の人生を歩んでいくこととなります。最後と最初が全く同じセリフなのはそういうことです。
はっきりとは考えていないのですが、ここでの「生まれ変わり」というのは別の誰かに生まれ変わるのではなく、同じ人としてたくさんの人生の選択肢を経験していくような感じです。
1番分かりやすく言うと、ホラゲのようなものです。ホラゲは「アイテムを使うか使わないか」や「最初この人に話しかけてヒントを得るか得ないか」など選択によってエンドが変わったり、展開が変わったりしますよね。それと同じでユウハカはそれぞれいろんな選択肢を選んで死んで失敗して(つまりバットエンドを歩んで)いきました。それが本編でユウハカの言っていた「9回死んで、今が10回目の生まれ変わり」というやつです。ハカの妄想に過ぎないのですが、今回はそれが事実となっています。
俺クロの本編がバットエンドになるのかハッピーエンドになるのか、それともメリーバッドエンドになるのかは分かりません。でも10回目の展開は今まで繰り返して来た人生よりも2人を救っていく展開となっていくでしょう。
解説まで見てくださった皆さん本当にありがとうございます🙇♀️🙇♀️
コメント
1件
ああ、解説編だったんですね…! なるほど、そういう世界線の重ね方だったのかと、読んでいてじわっと来ました。 ユウマが「自分が憎くて死ぬことだけ考えていた」ってところ、ハカのために作ったミッションの内容がただの平和な日常だったっていうのが、もう…切なくて。最後に朧火で思い出を映したのも、記憶は戻らなくても体が覚えて涙を流したっていうのも、すごく好きな描写です。 生まれ変わりが「同じ人が違う選択肢を経験する」っていう解釈、とても響きました。本編が10回目の人生なら、どうか今度こそ2人が救われますように…。丁寧な解説をありがとうございました🌷