この作品はいかがでしたか?
872
この作品はいかがでしたか?
872
コメント
13件
ひなちゃん無邪気ね
──────ガンマス視点──────
辺りに塵が残った雲の上で、目的のものが来るまでその場に留まり続ける。目的はこんな底辺の天使狩りなんかでは無いのだ。ちらりと遠くを見ればひなさんは恐れを成したようでその場から離れようてしない。いや、正確には脳の処理が追いついていないのだろう。逃げる、という選択肢が出てこないのか、はたまたなにかに気づいたのか。私には判別することは出来なかった。
「逃げないんですか?」
少し、昔の記憶が脳内によぎり、ひなさんに歩みよる。放っておけなかったし、暇つぶし感覚で話すことにしたのだ。
「…逃げたとしても無駄だと判断しただけだよ。」
ひなさんはそう言って、そのまま私を見つめる。その目には感情が写っていないように感じた。今の私を怖がらないのは少し癪だったので、ちょっとばかし、『───』をする。
「ひなさん。私の目を見てください。」
そう言って、私は自身の顔を覆い隠す仮面のような布をそっと外す。ひなさんは言われた通り私を見つめてくるが、だんだんと吸い込まれるように私の目をじっと見つめ続ける。それは、少し狂気じみた表情で、だんだんとひなさんの目に光が灯る。
「あ……れ…──────ぇ?」
そう言って、瞬きもせずに私の目を見続ける。ひなさんの赤い瞳に私の姿が映るが、ぼやけていて、はっきりと見えることは無い。
「ふふwひなさん、笑ってみてください?」
しばらくたち、そう言えば、ひなさんは不思議そうな顔でにっと笑顔を作りだす。その途端、ひなさんは勢いよく立ち上がり、自身の顔をぺたぺたと触れながら、歓喜の声を漏らす。
「あ、あれ!?笑えてる!?それに、驚けてる…!?」
ひなさんはコロコロと様々な表情を浮かべ、体全体でその喜びを表す。ここまで感情表現豊かだとは思っていなくて、少し私も驚くが、元気になってよかった、とひと安心する。私は、そっとその場を立ち去ろうとしたが、感情を取り戻したひなさんは慌てて私を引き止める。
「ねぇ!どうやったの?教えて!すっごい!!あ…でも…天使……。」
先程まで目をキラキラと輝かせていたのに、突然顔に影が落ち、暗がりに満ちた表情へと変わる。おそらく、私が先程まで天使を虐殺していたのを見て、自身も殺されると思ったのだろう。しかし、そのつもりは無いのだが、そう言っても無意味だと思ったので、再度、目を見させる。
「ひなさん、もう一度、私の目を見てください?」
「…?わかりました。」
そう言って、もう一度見させれば、彼女は途端に無表情になり、目をぐるぐると回す。そうして、トタン、と軽い音を立てて、彼女は雲の上に落ちる。普段使えなかった感情を出しすぎたことによって疲れたのだろう。すぐに気を失った。
「…来世は、お幸せに。」
その一言を添えて、私は、ひなさんから距離をとる。
「なんの用?わざわざこちら側に来るなんて…物好きだね〜。」
そう言いながら、ばさりと翼を広げ、鋭い眼光で私を睨みつけるのはメテヲさんだった。声は笑っているが、目が全く笑っていなく、そのギャップに少々理解できない。
「そうですかね?いやはや。また会えましたね?メテヲさん。」
そう言い、恭しく一礼すれば、それは返されることなく、話が続く。無視をしなくても、とは思ったが、そんな冗談を言える状況ではなかった。メテヲさんは明らかに私と距離を取っている。つまり、私を警戒しているのだ。当たり前と言えば当たり前だが、完璧なメテヲさんがそこまでの警戒をしてくれたことに少しばかりの特別感を感じる。
「ここで争うのはやめましょう。もちろん、戦わない訳では無いです。しかし、この場所はあまりよろしくない。」
メテヲさんがそう言って、人差し指で下を指す。それは、地上、という意味ではない。そう──────
ポカッ
そんな軽快な音共に、雲が消え失せ、それに伴い、足場が消える。そのまま重力にそって下へと落ちる。翼を出して飛んでも良かったが、何となく、そのまま流れに身を預ける。メテヲさんも私が下に落ちたのを確認すると、あとからゆっくりと下降してくる。
まだ、慌てるときではない。
地に近ずいて来るのを確認してから、足を地に向け、トタンッという音と共に、地面に足をつける。痛みはないが、足に振動が起こり、心地良さを感じた。地面は石でできており灰色の石レンガが壁を創造し、私が思う足場には滑らかな灰色で出来ている。上には美しい光が、下には禍々しい闇が広がる無事な空間で、そこは形成されていた。色は、上に広がる光のみで、それ以外は灰色や、白、黒などといった、色のないもので創造されていた。
「あらためて、挨拶をしよう。私の名は、メテヲ。天使と悪魔の架け橋であり、種族長であり、リーダーである。」
そして、と言いながらメテヲさんは地に足をつける。くるくると槍が空を裂きながらある角度でビシッと止まる。
「そして、お前を殺すものでもある。」
ここで切ります!間に合った〜!!正直もうダメだと思ってたので良かったです!
それでは!おつはる!