この作品はいかがでしたか?
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──────ガンマス視点──────
メテヲさんがそう宣言すれば、あたりの風はメテヲさんに恐れを成したかのように強くなびいている。
「天使様ってさ…」
私がそう、疑問を口にすればメテヲさんは静かに耳を傾けてくれる。そんな所が完璧な天使なのだろうな、なんて皮肉めいたことを思う。いや、もしかしたら私が天使に様付けしていることに驚いてるのかもしれない。
「『完璧』なんですか?」
その言葉に波紋が生まれる。
「もちろん、神様の『最高傑作』…ですもんね?」
そう詰めよれば、メテヲさんは冷めた目でこちらを見つめる。…少し、私と知っている情報と差異があるようでもう少しばかり、深堀りをしてみる。
「…答えてくれないんですか?」
「…答える必要性を感じない。」
メテヲさんは不用意にこの話題に触れようとしないようだ。…ならば、こちら側から情報を開示することにする。情報を先に言われると、自身も言わなければならない使命感にかられるからだ。
「そうですか…なら、メテヲさんが私の疑問に答えてくれるならば、私もメテヲさんの疑問に答えましょう。」
そう言うと、メテヲさんは黙りこみ、考える仕草をとる。私の真意を探ろうとしているのだろうが、そんなものは存在しないので、考えるだけ無駄なのだ。
「能力…ガンマスさんの能力を教えて。」
それを聞くならば、と私はニヤリと笑う。
「救済を与える能力…でした。」
「…は?」
メテヲさんは驚き、声を漏らす。そりゃあそうだろう。そうそうなことが無い限り、能力は変化しないのだから。メテヲさんは奥歯を噛み締め、ギロリと眼光をこちらに向けてくる。
「よく回る舌をお持ちですね?」
「別に、現在の能力なんて聞かれてませんから。」
メテヲさんの煽りを混ぜた怒りの言葉にいたずらっ子のような笑みで返す。さて、と私は切り出す。
「もちろん、私は質問に正直に答えましたから…。次は、メテヲさんが答える番ですよ?」
そう言って、黒く塗りつぶされたかのような翼を広ろげ、メテヲさんに近ずく。メテヲさんは明らかに嫌そうな顔をしていたが、そんなものを気にしている場合では無いのだ。
「メテヲさん?あなたに血縁者は何人いますか?」
「え…?それでいいの?」
メテヲさんは戸惑いを見せる。当然と言えば当然で、今から戦う、というのに敵の血縁者の存在の有無を知る必要なんてないからだ。しかし、メテヲさんには関係なくても、私にはあるのだ。
「これでいいです。少しばかり聞きたくて。」
「…そんなにどうでもいいことを聞くほど余裕なんですか?」
メテヲさんは嫌そうな顔を浮かべている。舐められている、と思っているのだろう。メテヲさんが私の意図を知ることは無いし、知って欲しいとももう思わない。
「いますよ。詳しく言うならば妹と父、母がいますよ。」
と、簡単に教えてもらう。言い伝えが本当だったらしく、多少のショックを受けるが、分かりきっていたので、どうでも良くなってきてしまった。
「なるほど、ありがとうございます。」
「先に言うけど血縁者を人質にするのは無理だからね?ここから逃走させないから。」
「きゃー、束縛強ーい」
メテヲさんの真剣な言葉に棒読みでふざけてみる。戦闘前はせめて明るく行きたいから、という自分自身の願望でしかないが、この場でメテヲさんが乗ることは無かった。
「ふざけないで。ここから先は死か、生か。どちらかが確実に死ぬんだから。」
そう言って、私の心臓部を軽く人差し指で押す。その動作だけで緊張感がうまれるは、メテヲさんが長年の戦争で身につけた圧なのだろう。
「わかってますよ。そんなこと。せめて死ぬ前は明るく行きたくないですか?」
そう言いながら笑みを浮かべても、私の顔は布で隠されているため、メテヲさんに伝わるかは不明だった。
「…こんな雑談をしている間に、一体何人が死んでいると思いますか?」
私がこのように問えばメテヲさんは言葉を詰まらせる。メテヲさんは戦士である前に天使であり、悪魔であるのだ。魂や命を大切にしている、という意味ではメテヲさんに勝る人はそうそういないだろう。
「知らない。そもそも、この世界はもうすぐ壊されるんだから。」
…なるほど、と少し納得してしまう。だから戦争を始めて、手っ取り早くこの世界を壊そうとしたのか、と納得する。
「命や魂を大切にしてた人がそんなことを言うとか…皮肉ですか?」
私がそう言うと、メテヲさんはきょとん、とした表情を浮かべた後、当たり前、と言わんばかりに言う。
「神様がそう命じたらそれに従う…それが我々天使、悪魔の使命でしょ?」
そう言った瞬間、理解する。これは、ダメだと。これは、メテヲさんの姿をしたなにかなのか、そう信じたい。あんなにも、自身の正義感に従っていたメテヲさんの面影はなく、ただの狂信者に成り下がっていた。
私が、止めないといけないのかもしれない。
ここで切ります!時間もないのでそうそうに切り上げましょう!
おつはる!
コメント
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メテヲさんはメテヲさんで変わってるのか