第2話おまたせ致しました〜!!!
息抜きで初めて書いた物が沢山の方に見てもらえて光栄でございます!!!!
⚠公式とは表現や展開が多々違う場合があります。あくまでも個人の解釈ですので、地雷や苦手意識のある方は、閉じてもらって結構です。
長くなりましたがどうぞ…
叶『』 葛葉【】
叶side
『叶、私の名前は叶といいます。”夢叶わない”と書いて叶です。よろしくお願いしますねサーシャ。』
“夢叶わない”これはロトと一緒に旅をするようになってから考えた、自己紹介の言葉だった。
【叶わない?叶えるの方じゃないのか普通?】
まぁ、この自己紹介を聞いた人が最初に思う感想がこれだろう。
『夢は叶わない方が”夢”っぽくないですか?すぐに叶ってしまう夢なんてつまらない。そう思いません?』
にっこりと笑う私の顔を不思議そうに見る貴方は、今になったら、この言葉の意味が分かるでしょうか?貴方は人では無いから無理も無い…
【ふーん。まぁそんな事俺には関係ないが。】
ヒューッと少し冷たい風が吹いた。
サーシャは肩を震わせる。
『少し肌寒くなってきましたね。そろそろ教会に戻りましょう。貴方も早く帰りなさいね、』
そう言って教会に入ろうとしている時も彼は帰ろうとしていなかった。いや、帰る場所が無いのだ。少し寂しそうに見えた顔を見て、
『…夜は暗く危ないですし、此処はさっきまで雨が降って居ました。今日は教会に泊まって行きなさい。』
暗く影があった彼の顔は少し明るくなった気がした。
この行為がこれから彼を苦しめる事になるなど、まだ私は気にも止めていなかった。
ジジッ…
朝食を食べ、神に祈り、昼を済ませ、夕食を食べ、ベッドについて寝る。毎日がそんな退屈な物だったのに、人が増えるだけでこんなにも変わるものだろうか。
彼は寝泊まりする場所が無いらしく、このまま彼の用が済むまで教会に泊まらせる事にした。
初めは祈りになんて興味が無かったはずの彼はいつしか祈りの最中にちょっかいを掛ける様になるまで、彼との仲はさほど悪くは無かった。
【……わっ!!!】
祈りが終わり。目を開ける私に大きな声で脅かすサーシャ。毎度毎度飽きずに新しいちょっかいを考えて実行するのが、祈り中のサーシャの楽しみらしい。
『もう…びっくりするじゃないですか!昨日は祈り中の僕の頭に、崩れないように聖書を積んで……。本当によく飽きないですねサーシャ。』
【ははっ!だって叶の反応が毎回面白くて、辞めるにもやめらんねぇよ。】
クスクスと音も立てずに笑う彼を見て何だか、無邪気で無垢な小さな子供を見ているみたいだった。
『ふふっ…まぁ良いです。さぁ、祈りも終わりましたし。お昼ご飯を食べましょうか、サーシャ。』
【昼メシ!!はぁー丁度腹が減ってた所だよ。叶の祈り時間長げーんだもん。】
ムスッとした彼の顔はますます子供みたいだった。長いといっても、たったの15分ではないか。外の百合の花を見ていたらすぐに過ぎてしまう時間だろうに…。何故かサーシャは教会内に居たがる。
『分かりましたよ。明日からは少し削って10分で終わらせましょう。これだったらサーシャでも待てますよね?』
少し期待の目を向けつつ、でも笑顔で明るく。サーシャは僕のコレにとことん弱かった。
【うーん…もーちょい短くなんない??お腹空いて死にそうだよ??死んじゃうよ俺??】
サーシャは少し屈んで僕を見る。
『はぁ、仕方ないですね、5分で良いですか?』
【やったーー!!メシー!!】
かと言う私も彼のコレにはめっぽう弱かった。人間なら誰でも人の笑顔が見たいものだろう。
サーシャと過ごす時間はすぐに過ぎていく。チェスをして、トランプで遊んで、百合の花を見て。楽しい時間はこんなにも過ぎてゆくのが早いのか…。生涯、ロトと二人きりで生きていくと思っていた私にとっては、これはかけがえのないものだったのだろう。
サーシャが魔族というのはつい最近知った事だった。私の祈りが終わり、いつもの悪戯が来ると、ゆっくりと目を開けた私に、真剣そうに見つめるサーシャ。
【叶は悪魔とか魔女とか”吸血鬼”とかって信じるか?】
今にして思うと、サーシャは少し不安そうだった。
『何です突然?本で読んだのですか??』
『まぁ…私も一様記憶の欠片で色んな場所に行けたりもしますし、私は神父。この世は不思議なことも在りますし、居てもおかしくは無いのではないですか?』
私は記憶の欠片を使って。ランダムだが、色々な場所、時間、時期に飛べる事ができた。記憶は抜け落ちるが、自分の名前とロトの事は必ず覚えていた。
こんなにも不思議な世界だ、悪魔や吸血鬼など居たとしても、不思議では無いだろう。この時の僕は一応神父として仕事をこなしている僕だから、神が居るのなら悪魔だって居るだろう。
【俺、実は”吸血鬼”なんだ。大きな括りで言うと”魔族”。これは嘘じゃない、俺はある逃げ出した大罪人を追って、この世界に来たんだ。羽だって、牙だって、尖った耳だってある。叶だったら言っても良いと思ったんだ、俺…。】
大丈夫”この時の僕も”、サーシャに嫌悪感なんて抱かないから。安心してよ。
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