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【笑うあの子の裏事情】
Episode.18 教えてくれたから
《🎼☔️side》
寒い。
でも───
嫌いじゃない。
屋根の上。
白く積もった雪が、まだ少し残ってる。
踏むと、きゅっ、と音がする。
吐いた息は白くて、すぐに消えていく。
こさめは、そっと空を見上げた。
🎼☔️「……」
広い。
どこまでも、広い。
夜空。
冬の空は、澄んでいて。
ひとつひとつの星が、くっきり見える。
まるで、近くにあるみたいに。
手を伸ばせば、届きそうで。
🎼☔️「……」
ゆっくりと、腕を伸ばす。
空に向かって。
指先を、少し開いて。
掴むみたいに。
でも───
当然、届かない。
分かってる、 そんなこと。
それでも。
🎼☔️「……とどかないや」
小さく、笑う。
***
🎼☔️「ねぇねぇ、まニキ!あれなに?!」
記憶の中の声。
明るくて。
うるさくて。
でも、楽しかった声。
🎼📢「オリオン座」
🎼☔️「へぇー!」
🎼📢「その三つ並んでるのがベルトな」
🎼☔️「ベルト!」
🎼📢「で、その上がベテルギウス」
🎼☔️「なんか名前かっこいい!」
🎼📢「赤い星な」
🎼☔️「ほんとだー!」
……あの時。
ずっと、隣にいた。
同じ空を見てた。
同じ星を見てた。
***
🎼☔️「……」
今は。
隣に、いない。
🎼☔️「……」
もう一度、空を見る。
🎼☔️「あれ……」
小さく呟く。
三つ並んだ星。
オリオンのベルト。
その下。
ひときわ明るい。
🎼☔️「……シリウス」
自然と、言葉が出る。
🎼☔️「……一番、明るい星」
覚えてる。
ちゃんと。
全部。
🎼☔️「……」
視線を、少しずらす。
🎼☔️「……あれが……」
二つ並んだ星。
少しだけ、間があく。
胸の奥が、ちくっとする。
🎼☔️「……双子座」
ぽつりと、こぼす。
カストルと、ポルックス。
兄と、弟。
🎼☔️「……」
少しだけ、言葉が詰まる。
🎼☔️「……おなじ、だねって」
昔の自分の声が、頭に響く。
無邪気で。
何も知らなくて。
ただ、嬉しかっただけの言葉。
🎼☔️「……」
今は、 言えない。
同じなんて。
思えない。
🎼☔️「……」
手を、ぎゅっと握る。
包帯が、少しきしむ。
痛い。
でも、それよりも。
もっと奥が、痛い。
🎼☔️「……すごい人、だもんね」
ぽつりと呟く。
空に向かって。
誰に聞かせるでもなく。
🎼☔️「なんでもできて」
🎼☔️「ちゃんとしてて」
🎼☔️「……怒られなくて」
当たり前みたいに出てくる言葉。
それが、余計に苦しい。
🎼☔️「……こさめとは、違う」
小さく、笑う。
でも、うまく笑えない。
🎼☔️「……」
風が吹く。
冷たい。
頬が、少し痛む。
傷が、ひりつく。
でも。
それでも。
空から目は離せない。
🎼☔️「……でも」
小さく、続ける。
🎼☔️「教えてくれたの、まニキだし」
星の名前も。
星座も。
全部。
最初に教えてくれたのは。
🎼☔️「……だから」
もう一度、手を伸ばす。
夜空に向かって。
🎼☔️「……すきだよ、星」
ぽつりと。
本音がこぼれる。
🎼☔️「……」
指先の向こう。
無数の光。
遠くて。
届かなくて。
でも。
確かに、そこにある。
🎼☔️「……」
少しだけ、目を細める。
🎼☔️「……宇宙、いきたいな」
あの夢。
まだ、消えてない。
🎼☔️「……そしたらさ」
小さく、笑う。
🎼☔️「もっと、近くで見れるかな」
🎼☔️「……全部」
星も。
あの頃も。
🎼☔️「……」
静かな夜。
誰もいない屋根の上で。
こさめは、ただ一人。
空に手を伸ばし続けていた。
《🎼📢side》
玄関の扉を、強く開ける。
冷たい空気が、一気に流れ込む。
🎼📢「……」
息が白い。
でも、それよりも先に───
「いるま?!よかった、無事だったのね」
「心配したんだぞ」
両親の声。
玄関先まで、慌てて出てくる。
……は?
心配?
誰を?
🎼📢「……」
気持ち悪。
胸の奥が、ぐちゃっとする。
なんで俺ばっかり。
なんで、俺だけ。
「早く上がりなさい、ご飯用意してるから」
母親の声。
柔らかくて。
優しくて。
……全部、嘘くさい。
🎼📢「……」
靴を脱ごうとして。
ふと、止まる。
視線、 感じる。
玄関の奥。
廊下。
電気の届かない、暗いところ。
🎼📢「……」
目を凝らす。
そこに─── いた。
小さくて。
細くて。
見慣れたシルエット。
🎼📢「……こさめ?」
ぼそっと、名前がこぼれる。
次の瞬間。
ササッ、と音。
影が、消える。
🎼📢「……っ」
反射的に、靴を乱暴に脱ぎ捨てる。
「いるま?!」
親の声なんて、どうでもいい。
邪魔だ。
廊下を、走る。
🎼📢「こさめ!」
叫ぶ。
さっき、確かにいた。
いたんだ。
今度こそ、逃がさない。
🎼📢「こさめ”!」
曲がり角を曲がる。
部屋の前。
勢いよく開ける。
🎼📢「……は?」
いない。
どこにも。
🎼📢「……は?」
さっき、いた。
絶対に。
見間違いじゃない。
🎼📢「……どこだよ」
部屋の中を見る。
机。
ベッド。
クローゼット。
……下。
空の、下段のベッド。
毛布が、少し動いた跡。
🎼📢「……」
帰ってきてる。
確かに。
でも─── いない。
🎼📢「……なんでだよ」
拳を、握る。
🎼📢「なんで逃げんだよ」
イラつく。
腹立つ。
見つけたのに。
やっと。
🎼📢「……」
静かな部屋。
自分の呼吸だけが響く。
🎼📢「……こさめ」
小さく、呼ぶ。
返事は、ない。
当たり前だ。
でも。
どこかに、いる気がする。
すぐ近くに。
でも、見えない。
🎼📢「……くそ」
壁に拳を当てる。
鈍い音。
痛み。
でも、どうでもいい。
🎼📢「……なんでだよ」
低く、繰り返す。
《🎼🌸side》
夜。
保健室の電気は、まだついている。
カタカタ、とキーボードの音。
でも、さっきより遅い。
考えながら、打っているから。
🎼🌸「……」
手が止まる。
画面を見つめたまま。
思い出すのは───
血だらけの、あの姿。
震えないで、痛みに耐えてた顔。
そして。
何も言わないまま、消えたこと。
🎼🌸「……はぁ」
小さく息を吐く。
椅子にもたれかかる。
🎼🌸「どこ行ったんだよ、ほんと」
ぽつりと呟く。
あの状態で。
まともに歩けるはずもない。
なのに、 あいつは行く。
自分で、 どこかへ。
🎼🌸「……」
窓の外を見る。
雪はもう、止んでる。
夜の静けさ。
街灯の光。
白い地面。
🎼🌸「……」
ふと、思う。
もしかしたら。
あいつ、また───
🎼🌸「……空、見てんのか」
小さく、呟く。
星。
好きだって、言ってた。
夢だって、言ってた。
🎼🌸「……」
椅子から立ち上がる。
コートを手に取る。
🎼🍍「らん?」
扉の方から声。
なつだ。
🎼🍍「帰んのか?」
🎼🌸「いや」
首を振る。
🎼🌸「ちょっと外」
🎼🍍「……探すのか」
🎼🌸「まぁな」
短く答える。
なつは少し黙ってから。
🎼🍍「……無茶すんなよ」
そう言った。
🎼🌸「お互い様だろ」
少しだけ笑う。
でも、すぐに真顔に戻る。
🎼🌸「……見つける」
静かに言う。
🎼🌸「今度は、ちゃんと」
なつは何も言わなかった。
ただ、少しだけ頷いた。
*
外に出る。
冷たい空気。
頬が、すぐに冷える。
🎼🌸「……」
空を見上げる。
星が、少しだけ見える。
雲の隙間に。
🎼🌸「……こさめ」
名前を呼ぶ。
届くはずもないのに。
それでも。
🎼🌸「……どこにいる?」
小さく呟く。
夜の中へ。
その声は、静かに溶けていった。
next.♡1000
コメント
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📢くんが言った言葉だから星が好きなんだね🥲🥲 🌸くんが言うこと全てが感動する😭✨ …あ、とりあえず親さんはこr(?)☆☆ 続き楽しみ!!
☔️くんも、📢くんを避けたいから逃げるんじゃなくて、 きっと怒られるのが嫌で、トラウマになっているからなんだろうな😭 続き、楽しみにしてるねん🫶🏻💕︎︎🙂🎐 無理せず、頑張って💪🔥
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