テラーノベル
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通路は、やけに長かった。
白い壁。白い床。
どこまで行っても同じ景色。
「……出口とかないのかよ」
黄色い髪色の人が呟く。
それから少し間をあけて
「ねぇ、、自己紹介しない?」
そう提案したのは赤い髪の人だった。
「名前が分からないと色々不便そうだからさ」
紫髪の人が言った。
「そうだね、、、あっ、じゃあ…」
「俺はコンタミ」
続けて赤い髪の人が言った。
「俺はレウクラウド、レウでいいよ」
黄色い髪色の人が言う。
「金豚きょー」
次に俺が言う
「みどり…」
最後に青い髪色の人が言った。
「俺はらっだぁ、よろしくね」
「迷路みたいだな」
コンタミが周囲を見ながら言う。
確かに
方向感覚が狂いそうになる。
「でも」
レウが静かに言った。
「この施設、区画が分かれてる気がする」
「区画?」
俺が聞き返す。
レウは壁に触れながら続けた。
「微妙に構造が違う」
「ここ、さっきより古い」
言われてみれば
壁にうっすら傷がある。
使われてる感じ。
「……誰かいるってことか」
その言葉で全員が少し警戒した。
その時だった。
──ガンッ!!
遠くで大きな音が響いた。
全員が止まる。
「……今の音」
コンタミが小さく言う。
もう一度。
ガンッ!!
明らかに何かを叩きつける音。
「……行くか?」
きょーさんが振り返る。
一瞬の沈黙。
でも、答えは同じだった。
五人で音の方へ向かう。
近づくにつれて音がはっきりしてくる。
荒い呼吸音。
何かがぶつかる音。
そして──
声。
「……やめろ……!」
かすれた声だった。
「……もう、やめてくれ……」
足が止まる。
その先に一つの部屋があった。
扉は半開きだった。
中から光が漏れている。
「……行くぞ」
きょーさんが低く言う。
誰も止めなかった。
扉を押す。
ギィ、と音が鳴る。
中に入った瞬間
全員が言葉を失った。
そこにいたのは、一人の男だった。
床に倒れている。
体中に傷。
血が滲んでいる。
「……っ」
コンタミが息を呑む。
男はゆっくり顔を上げた。
その目は
完全に怯えていた。
「……来るな……!」
震える声。
後ずさる。
でも
もう動けない。
限界だった。
「大丈夫だよ」
俺が言う。
「俺たちは──」
言いかけて、止まる。
何も分からない。
自分たちが何者かすら。
「……被験体、だろ」
男が言った。
その言葉に、全員が反応する。
「……あんたもか」
きょーさんが聞く。
男はゆっくり頷いた。
「……011」
その番号が、妙に重く響いた。
011。
俺たちより後の番号。
「実験、されてるのか」
コンタミが静かに聞く。
011は苦笑した。
「されてる、なんてもんじゃねぇよ」
その声には
諦めが混じっていた。
「……ここは地獄だ」
空気が重くなる。
「能力、使わせて」
「失敗したら」
少し間。
「壊れる」
誰も言葉を出せない。
011は続ける。
「お前ら、まだマシだな」
視線がこっちに向く。
「その番号……初期組だろ」
「……初期?」
レウが聞き返す。
011は頷く。
「成功率が高いグループ」
「だから、扱いが違う」
その言葉に
嫌な予感がした。
「……じゃあ」
俺が言う。
「失敗したやつらは」
011は少しだけ目を逸らした。
そして
小さく言った。
「消える」
その一言で、
全員の背筋が凍る。
その時だった。
ブゥン、と音が鳴る。
スピーカー。
『被験体011』
機械的な声。
『実験時間です』
011の体が震えた。
「……やだ……」
かすれた声。
「もう、やめてくれ……」
『移動してください』
無機質な命令。
その瞬間、床に何かが展開された。
光の枠。転送装置。
「……っ!」
011が必死に床を掴む。
「行きたくねぇ……!」
その姿は、
さっきの俺たちと同じだった。
いや、もっと酷い。
「待て!」
きょーさんが叫ぶ。
でも止まらない。
光が強くなる。
011の体が浮く。
「助けてくれ!!」
その叫びが
耳に残る。
次の瞬間、、消えた。
静寂。
何もなかったみたいに。
その場には血の跡だけが残っていた。
誰も動けなかった。
「……なんだよ、これ」
コンタミが呟く。
答えるやつはいない。
その時、レウが小さく言った。
「……俺たち」
全員がそっちを見る。
「同じになるのかな」
誰も否定できなかった。
この施設は
おかしい。
いや、最初から分かってた。
でも、今ので確定した。
ここは──
人が壊される場所だ。
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