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#学園
大正
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インスタンスダンジョンを攻略した翌日、いつもより遅く起きた朝、そしていつもより睡眠時間が短い分、体に違和感が残るのも仕方ないわけで。
違和感をもとに戻すようにシャワーを浴びて頭だけでもスッキリさせた後、朝食を食べて……ああ、もう昼だな。ブランチでいいか。
朝昼兼用のご飯にインスタント味噌汁にキノコを加えたもの。今日はパスタを作る予定はない。
珍しく思われるかもしれないが、これはこれで理由がある。先日、彩花の実家から俺宛でまた貰い物をしてしまったのだ。それがちょっといいお茶漬けセットだったので、それをありがたく消費させてもらうためにパスタは封印。
お茶漬けセットを食べ終えるまではしばらくご飯中心でパスタからは離れることになりそうだ。さて、今日の夕食は何にしようかな。ご飯ものであることは間違いないとしても、それ以外の部分のおかずに何を使うかで決まってくる。
しかし、パスタはもういいから……と彩花に伝えた結果、彩花のご実家からの支援がこれだとするなら、よほどの欠食児童と思われているか、食べさせて胃袋をつかませて俺を離さないように仕向けているのだろうか。
俺は自分で料理ができるからいいんだが、この手で来られると、普通の大学生なら恩義を感じてそうそう別れられない状況にはなりそうだな。普通じゃない大学生なら付き合ってるつもりにしておいて実家からの支援だけ図太く受け取っていく……というようなことをしているのだろうか。そういう外道にはなりたくないもんだな。
なにせ、あちらの親からのありがたみは既に血となり肉となっている。自らの体に既に刻み込まれているその相手の家からの投資は、確実な形で発揮されていることになるのだろう。
さて、今日は何をするかな。一日かけて肉集めでもいいし、スキルスクロール集めでもいい。課題は……とりあえず次の講義で提出する分をさっさと終わらせて、それから何をするか、考えることにしよう。
◇◆◇◆◇◆◇
次の講義の資料や課題、提出物と予習をやっている間に午前中を潰し、午後に入り始めた。今からだと、さすがにフルに潜らず、三層でオーク肉を集めたり、金策用にホブゴブリンとひたすら戦うぐらいしか思い浮かばないが、さてどうするかな。
「ただいまー」
朝から顔をみないな、と思っていたアカネが外から帰ってきた。どうやら本業をこなしていたらしい。
「おかえり。迷える子羊はいたか? 」
「それなりにいたわよ。学生でも、今の学科のままでいいのかとか、他の学部に移籍する方法はないのかとか、考えることはあるみたいね」
進路相談にもアカネは関係あるのか。それは大変なことだな。
「しかもよ! 学部に可愛い娘がいないとか、イケメンがいないからダンジョン学部に行きたい……これはあなたのせいね。そんな贅沢ばかり考えている生徒が多すぎるわ。幹也だってそれなりの努力の成果として手に入れているイケメン面なのに! 」
「それなりは余計だ。たしかに、努力というよりは成り行きでそうなった感覚は多いが、それでもダンジョンで戦った結果としてのこの面なんだから努力の面は少しは認めてほしいところではある」
しかし、こっちは彼女持ちであるのに、それでも目の保養にはなるってことなんだろうか。たしかに、彼氏持ちでも人気のある女子はいたな。俺も高三の時期はその範囲に入ってたってことなんだろうか。彼女持ちでもいいからご尊顔を拝することができるならそれだけでもストレス解消や癒しになる……みたいな。
そう思うと悪い気はしないが、同時にそこにあぐらをかいてのほほんとしてたり、彼女のあら探しなんかをしないように努めなければいけないな。もっと良いところをみつけて、お互いに褒めあって伸ばすような関係でいたい。
自分に都合のいい彼女を選んで行くようなことは厳に慎まなければならないし、俺と彩花は秘密を共有する仲間でもある。そこの関係は崩したくないし、俺はまだきっと、彩花の全ては知り尽くしていないだろうし、彩花もまた、俺のすべてを知り尽くしていないだろう。
そういう細やかなところまでお互い知り尽くして、そこからまた新しいお互いを発見したらそこを楽しみあえばいいし、もしそこで行き詰った場合、マンネリを打破するために何かしらの刺激……例えば【精力絶倫】なんかでハッスルして、改めてお互いの相性の良さ悪さ、相手の気持ちいいと思えるところを攻めたりなんかして楽しむのも悪くないだろうな。
「うん、うん。そうそう。そういうマンネリ打破も大事よね。その点、まだまだ【精力絶倫】を使い始めないあたり、幹也は彩花のすべてを知り尽くした……とは思ってないということかしら」
「そういうことになるんだろうな……さて、今夜の食事を豪勢にするべく、ちょっとオークでも狙ってくるかな。さすがに角煮は作らないが、焼き豚入りの何か……チャーハンを作るか。小ネギもあるし、卵もあるし……あとは何か必要なものは……うん、大丈夫そうだ」
「幹也のチャーハンはそこそこおいしいけど決定的に美味しいという部分がないのよね。彩花が作るものと何が違うのかしら」
俺だって至高のチャーハン職人というわけでもないし、チャーハンがおいしく作れるかどうかを気にするのは町中華のオヤジだけでいいのだ。ただ、チャーハンの腕で男の料理の格が決まる、という話ならまた別だ。そのためにチャーハンを作る修行をするのも怠らないだろうし彩花にも意見を聞くだろう。
とりあえず今日のところはチャーハンの具を求めに専用ダンジョンへもぐる。久しぶりに三層で探索をするので肩慣らしにレッドキャップもしっかり探しながらの今日の探索ということにしておく。
そういえば、土曜日だがインスタンスダンジョンの報酬振り込みは行われているんだろうか。やはり月曜日まで待って振り込みの形になるんだろうか。まあ、焦る必要はないし、何か問題が発生していたら火曜日にでも一言いいに行くのでも遅くはないな。
さて、二層のレッドキャップ相手に……こっちから聞き耳で探すほうが早いな。ヒタ……ヒタ……と足音がするほうへ近寄っていき、見かけたら【威圧】で押しつぶし、その間に切り飛ばしてドロップを確認。
さすがに行きの分だけでは何も出なかったが、そのうち【忍び足】も出てくれるだろうから、長い目で見よう。値段は魔法系スキルと同じとはいえ、忍び足はこっちの大学ダンジョンではドロップしないからギルドに掛け合ってもしばらくかかる可能性が高いし、そんな環境では毎回大枚をはたいて忍び足を購入する、という話になってしまうだろう。それは面倒くさい。
三層に到着したのでいつも通りオークを倒して肉を集めつつ、三十分おきにオークチーフを倒しては肉塊とスキルスクロールの確保。それを6時間ほど繰り返したところでお腹が空いてきたので戻った。
帰り道のレッドキャップがスキルスクロールをくれたので、これは儲けもの、と思いそのまま戻る。そういえば、スライムと何も持ってないゴブリンはどんなスキルスクロールをくれるのか、それともなにもくれないのか。
夏休みにでも、ゆっくりとスライムをひたすらすりつぶし続けて、ドロップするかどうかを一日かけて検証してもいいぐらいだな。もしかしたらスライムにも隠されたドロップ品のようなものがあるかもしれない。
一見スライムのドロップ品は魔石以外0%に見えるかもしれないが、小数点以下を切り捨てているため、実際は小数点以下の確率でドロップすることがあるのかもわからない。十倍になっていることで小数点以下の部分が10倍になることで確実にとは言えないものの、ドロップをする可能性が10倍ある、ということは一つのロマンを感じさせて……ないな。
ゴブリンが何らかのスキルスクロールをくれるかもしれない、と考えるほうがまだ可能性はあるだろう。そのうちまとめてデータを集めて発表はしないにしても、浅い階層でも利用価値があるのかどうかを考えることはできるだろう。そういうデータも集めていかないとな。
ダンジョンから出た後、いつも通りオーク肉を洗って、肉塊は細切れ風に刻むと、残った分は薄切りステーキ状にして冷凍庫へ。普通のオーク肉は洗った後そのまま冷凍庫へ。この、肉を洗う、という工程がなければ便利に扱える肉なんだけどな。例えば昔の漫画やアニメに出てくるように、笹の葉でくるんであるとか、真空パックされているとか、そういう気遣いがあってもいいとは思うんだが。
「お帰りー」
「ただいまー。さあチャーハン作るぞ。足りない具材は……抜きだ。最悪でも肉とネギと卵は入っているからカロリーと栄養素は取れるぞ」
IHコンロなので直火で米を炙ることができない。俺のチャーハンがおいしくないかもしれない、というところがあるとするならば、ここにガスコンロを置いて……それは入居者のルールに禁止されてるんだったな。この家では直火チャーハンを作ることができない。それは間違いない。
やはり直火が大事なんだろうか。彩花の学生寮はどうやらIHじゃなくてガスコンロのようだし、そこが美味しさの差のような気がする。さて、チャーハンを作り始める。ネットで調べて、パラパラIHチャーハンの作り方を読みながら作っていくが、中華料理は火を入れてからのタイミングと一気に作り上げる勢いが大事だ。レシピを見ながらちょびちょびと作るわけにはいかない。
ここは、頭にしっかり叩き込んでからまとめて作ることにするので、具材を切り分けた後、しっかり頭に叩き込んでから一気に調理を始める。
油をそれなりに使い、ご飯が温かいまま投入することと、たまごを炒って半生の状態でご飯を投入することで充分パラパラのチャーハンを作ることに成功した。今日は出来はなかなかだ。毎回こういくとは限らないが、今日は調子よくいったらしい。
アカネの判定も、具が多いかどうかはさておき、なかなか美味しくできたんじゃないの? という評価を得られた。アカネの神力がそれなりに増えていっている。
「うん、美味しいわ。ご飯のパラパラっぷりもなかなかのものね。オーク肉もただ焼くだけじゃなくてしっかりした味をつけてから焼いてるし、カリカリになるまで焼いてるからベーコンみたいな感じになってて素晴らしいわ」
「それは何よりだ。次回も同じクオリティで作れればいいんだけどな」
「たぶん大丈夫よ。期待しておくわ」
コメント
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第270話、読み終えました🌷 今日は一日のんびりした日常回ですね。幹也くんの朝のルーティンやチャーハン作りのこだわり、彩花さんとの関係性を大事にしたいっていう心の内がじんわり伝わってきて、ほっこりしました。特に「お互いの全てを知り尽くしていないからこそ、また新しく発見し合える」っていう考え方、すごく素敵だなって思います。 アカネさんとの「チャーハンはそこそこ美味しい」のやり取りもクスッと来ました笑。IHとガスの違い、確かにありますよね。次回のチャーハンクオリティにも期待しちゃいます!