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これは、僕の飼い犬レオと曽祖父が死んだ時の話です。

僕の家系は、みんな早くに妊娠出産しているため、僕が10歳の時、曽祖父は73歳でした。

とても暑い昼下がり、レオと曽祖父は溺死した。


始まりは、梅雨がきた頃だった。

当時は、ボロ屋に住んでいたから、雨漏りも日常茶飯事だった。家中の鍋や、バケツや、コップなんかも使って、浸水を防いでいた。この日も、毎度のように、雨漏りしている場所に鍋を置いていた。

ふと、窓の外を見たんだ。特に何って気になった訳では無いけど、外を見た。

そこには、凄く目に付きやすい、黄色いカッパをきた子が立っていた。見た感じ、学校の友達でもなく、見たことある子ではなかったから、少し不気味に思えた。けれど、その時の僕は、不気味さより、心配が強く沸いた。僕は窓を開けて、

「どうしたの?」

と、話しかけた。その子から返事はなく、立ち尽くすだけだった。

僕は近くに行くために、窓を閉めて、玄関に向かい、長靴と傘をさして、黄色いカッパの子の元へ向かった。

けれど、そこにはもう誰も居なかった。その子が居たであろう足跡さえなかった。

この事を親に話したけれど、信じては貰えなかった。

こんな日に子供1人外にいる訳ないと


そこから数日たった頃だった。

晴れた日、学校の帰り道にその子は立っていた。相変わらず黄色いカッパを身にまとってじっと立ち尽くしていた。

よくよく見ると、手に輪っかのようなものを持っていた。その輪っかは、赤色で、首輪のように見えた。その時、飼い犬のレオが頭をよぎった。レオも赤色の首輪を付けていた。

レオの誕生日に、僕があげた首輪だ。レオはダックスフントで、とても人懐っこい可愛い奴だった。外で飼っていたから、誰でも触れたし、実際に、僕の友達からは大人気で、レオに会うためだけに、家に来る友達までいた。

「それ、もしかして…」

僕が聞こうとした時、初めてこの子と目があった。この時のことはよく覚えてる。

あっ、とした。

目が真っ赤だった。アニメで例えたら、緋の目が近いかもしれない。そのくらい赤くて、目が離せなかった。どれくらい時間がたったのだろうか、僕は動けずにいた。黄色いカッパの子は、また目を背け走って逃げてしまった。

僕はなんだか、安堵感に包まれ、一気に緊張が解けた。その子が走り去ったあとを見たが、やはり居なくなっていた。ただ、その子が立っていた場所を見ると、地面が濡れていた。近くに水場なんてないのに。

僕は恐る恐る家に帰った。いつもは居るはずの場所にレオは居なかった。

家の中に入ると、先に帰っていた母親がレオを抱えていた。見るからに、レオに力は入っておらず、まるで死体のようだった。

「…」

僕は聞けなかった。怖かった。知りたくなかった。

「…レオちゃん…死んじゃった…」

母親が言った言葉の意味は理解出来てた。

理解はしていたけれど、受け止められるかは、また別の話だ。

「…レオ…レオ…レオ…レオ…」

名前を呼べば起きるんじゃないか、僕はそう思って何回も、何回も、名前を呼んだ。

レオは既に死体だった。

受け止め切れない分が涙になって流れ出してきた。悲しみの中レオの身体を撫でた時、違和感があった。レオの身体が濡れていたのだ。前日は雨は降っていないし、レオの死んでいた近くには水飲み場以外なかったらしい。 濡れるはずが無いんだ。

それに何より、首輪をしてなかった。

この時、黄色いカッパの子を思い出した。

あの子が持っていたのは、僕がレオにあげた首輪だったのかもしれない。

その後、レオは庭の木下に埋められた。


その数ヶ月後だった。

僕は久しぶりに両親と出かけていた。

天気のいい日だった。まさにお出かけ日和だ。

その頃、曽祖父は出かけられる状態でなく、代わりに祖母がその日は自宅で看病していた。

レオの死を受け止め、思い出す回数は減っていた。

それより、久しぶりの両親とのお出かけに、僕は心ワクワクしていた。

あらかた、買い物が終わり、車で帰宅途中だった。あの子が居た。相変わらずの黄色いカッパですぐに気付いた。

あの子は、歩道に立ってどこかを指さしていた。

その方向は、僕の家の方だ。

その時、寒気とともに、嫌な予感がした。

「黄色いカッパの子がいる!」

慌てて指さしながら、両親に言ったが。

目を離した一瞬で、あの子は居なくなっていた。

その後すぐの事だ。祖母から電話があった。

曽祖父が庭で倒れたとの事だった。

あまりに急で、みんな動揺していた。

その後の事はよく覚えていない。

既に、救急隊員が駆けつけた時には死んでいたらしい。

ただ、1度警察が来たのは覚えている。

なんでも、曽祖父は溺死だった。警察は殺人の可能性もあると言っていた。

その後は、別に殺人の証拠も見つからず、不審死で終わった。

庭に溺れるような場所はなかった。

なぜ、曽祖父が庭に行ったのかも、なぜ、溺死かも分からなかった。


その後、曽祖父が倒れていた場所を見に行ったことがあった。

その場所には、無くなったはずの、レオの首輪が凄く汚れていたが落ちていた。


その後、黄色いカッパの子を見ることは無い

けれど、次、いつ来るか分からないその子に、時々今でも怯えている。

もしかしたら、またどこかで…

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