テラーノベル
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「雇い主を裏切りたくなるくらい、俺に溺れさせればいいんだろ?」
彼はきっと、自分の魅力を十分に分かっている。
なんでも言うことを聞いてしまいそうになるほど、女性を魅了する美しい微笑みで、そんな風に仕掛けてくる。
でもきっと、それでなびくような女の人は、好きにならないんだろうな。
面倒くさい人。
モテるのになんだか損してるみたい。
「……駄目です。私は女将を尊敬しているんですから。その程度で深山さんになびくわけにはいきません。もっと別の落とし方してください」
理性をフル動員してつくる営業用のスマイル。
どうだ。これが今まで受付で培ってきた能力よ。
「はは。面白い。こっちはいつ会えるかって気をもんでたってのに余裕だな」
「別に余裕ではないです」
「だったら、今日は何時に終わる? 十二時間以上は待たない」
「二十二時には、片づけまで終わります」
「じゃあその後は空けておけ。知り合いのやっているバーに行こう」
「飲むんですか?」
「もちろん。もう仕事上のしがらみもない。女を落とすときは、こんなかしこまった店じゃなくて、それに向いた場所に行かないとな」
見るものの胸をわしづかみにするような端正な顔で、目に色気を乗せて笑う。
自分がイケメンだって知っている人は怖いな、なんて思いながら私は早々に部屋から退散した。
表に出れば、女将さんがにっこり笑って立っていて驚いた。
「まあ、あの子は、悪い子じゃないわよ」なんて笑うあたり、この人もいい根性しているなって思う。
鷹槻れん

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鷹槻れん

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#年の差
水無月 京
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#大人の恋
月詠 涼
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コメント
1件
おお、第49話読みました!深山さんの「溺れさせればいいんだろ?」からの流れ、めちゃくちゃ良かったです。主人公が「別の落とし方してください」って冷静に返すところが痛快で、でも最後に笑顔の奥で何か隠してそうな女将さんの登場で空気が変わった感じがしました。この二人の駆け引き、続きが気になります!