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若井サイド
暗闇の中、涼ちゃんの姿が見えなくなる。
その途端、大きな大きな不安が俺の胸に押し寄せる。
涼ちゃんにできたかもしれない好きな人。
その相手って、だれなんだろう。
元貴?それとも、俺の知らない人?
でも、元貴は俺と涼ちゃんが付き合っていることを知っている。
元貴のことを信頼しているからこそ、元貴じゃないと信じたい。
それに、元貴はーーー。
そんな中、ポケットの中の携帯が震えた。
携帯に表示されたメッセージの送信主は、ーーー大森元貴。
『若井、今どこいる?』
気軽さを感じさせるメッセージ。
暗闇の中、涼ちゃんの居ない涼ちゃんの家でメッセージを返す。
『涼ちゃん家』
『へー』
元貴のからの返信はすぐ返ってきた。
でも会話が続かない。元貴からの言葉が続いてこない。
きっと元貴は俺と涼ちゃんが喋っていると思っているんだろう。
涼ちゃんは今俺のそばに居ないのに。
『ねぇ元貴』
『家、行っていい?』
『、涼ちゃんは?』
『というか、なんで急に』
元貴からの二連続のメッセージ。そのメッセージからは困惑が隠すことなく滲み出ていた。
自分でもおかしいと思う。
涼ちゃんに満たしてもらえなかった寂寞感を元貴で満たそうとしてる。
元貴を都合よく使ってるわけじゃない。
誰でもいいから、俺の寂しさを埋めて。
ただ、元貴と涼ちゃん以外に頼れる人がいないだけ。
『若井、?』
『さびしいの』
そう送る。それきり元貴からの返信は来ない。
そりゃ、急に寂しいなんて言われて、元貴は困るだけか。
既読だけついたメッセージ。返事が来ない。
『ん、まあいいけど』
五分後に送られてきたメッセージは了承を意味していた。
涼ちゃんの家を出て、鍵を閉めて、俺はまた夜の闇を歩く。
涼ちゃんと付き合って、もう一年が経つ。
でも、いつからだろうか。身体の関係しか保たなくなったのは。
「元貴、…」
「あーはいはい。今開ける」
元貴の家に入ると温かい光が包み込んだ。
元貴の、優しくて暖かい匂い。それに包まれて胸のもやもやは少し萎んでいく。
「…今日はどうしたの。若井の方から来るなんて」
リビングのソファに元貴は腰掛けて棒立ちになっている俺に聞く。
元貴の目が俺をしっかり捉える。
「元貴は知ってるよね。俺と涼ちゃんが付き合ってること、」
「あぁうん。知ってる」
「涼ちゃんと、最近上手くいってなくて…」
「だから、俺のとこきたの?」
「だってッ…」
「若井はさ、寂しいの?」
元貴は立ち上がって俺に近づいてくる。ただ、無言で。
元貴の表情から元貴の気持ちはわからない。
ただ、至近距離になった顔と顔。元貴の息は微かに震えていた。
「若井、泣いてる」
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コメント
4件
とりあえず♥さんの立ち位置が何なのかが気になる…この感じだと💛さんの好きな人?は違うっぽいけど…
むむむ分からん…… 森さんの立ち位置が……
うわぁ… それはどういう反応なんだ…? ❤️さん、どう動くか、、、