テラーノベル
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「泣いてる」
元貴は静かにそう言った。
そう言って俺の頬の涙を拭う。
「若井、どうして…」
元貴は濡れた手を拭わないまま俺の手を掴んだ。
ぎゅっと握られた腕が痛い。
「も、元貴…?」
不安になって元貴の名前を呼ぶ。
元貴は腕に込める力を弱くしないまま俺の方を向いてうすい唇を動かす。
元貴は俺の方に向き直った。
ゆっくりと俺に近づいてきておでこをくっつけてくる。
さっきより至近距離になった顔と顔。
そのまま元貴は俺の背中に腕を回す。
ぎゅっと俺を抱き寄せて。
そのまま元貴は薄い唇を俺の唇に重ねた。
ただ、触れるだけの、一瞬のキス。
「元貴…駄目だよ」
涼ちゃんからしたら、ただの浮気になってしまう。
でも元貴は腕に込める力を弱めてくれない。
「…も、元貴、」
おどおど、そう言うと元貴はやっと手を離してくれる。
「若井。」
「な、なに?」
「若井は、一回涼ちゃんと話したほうがいいと思うな」
元貴は薄い唇を動かした。
さっきのハグとキスなんてなかったみたい。
「なんて話せばいいの?…俺もう、わかんないよ…」
「大丈夫だよ。若井がまた寂しくなったら、俺のこと頼ればいいじゃん」
元貴はそう言って笑いかけてくれた。
その日、俺たちは夜通し他愛もない話をした。
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コメント
3件
あ、もう大好きです でも分かった❤️さんは💛さんの事とは関係無さそう…いやぁいきなりのキキキキキキスでビックリしましたよ…
すきです やばいです
ずっと短めに更新していくつもりです。 更新頻度はバラバラで、更新時間も未定ですので通知見てて下さい 感想よろしくお願いします