テラーノベル
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スタートーー!
夜明け。
朝日が山々を赤く染める。
燃え落ちた星見ヶ丘天文観測所から続く一本の山岳道路。
その静けさを切り裂くように、一台の黒いポルシェ356Aがエンジン音を響かせながら走っていた。
運転席にはウォッカ。
助手席にはジン。
後部座席にはベルモット。
ジンは双眼鏡を下ろし、前方を見据える。
「見つけた。」
その視線の先には、公安の車列がゆっくりと山を下っていた。
その中央の車両には、コナン、美月、蘭、阿笠博士、そして倉橋俊介のDVDと手帳が乗っている。
「追うぞ。」
ウォッカがアクセルを踏み込む。
⸻
山岳道路の追跡
「後ろ!」
助手席の風見がバックミラーを見て叫んだ。
安室は振り返る。
「来たか……。」
黒いポルシェが猛スピードで迫ってくる。
「全車、警戒!」
無線が飛び交う。
コナンは後部座席から身を乗り出した。
「ジンだ!」
美月も息をのむ。
「あの車……。」
山道には急カーブが続く。
少しのミスが命取りになる。
⸻
赤井の援護
その頃。
山の中腹。
赤井秀一は崖の上からライフルを構えていた。
スコープ越しにポルシェを捉える。
「……風速、毎秒三メートル。」
静かに息を止める。
バン!
銃弾はポルシェの前輪のすぐ前の路面を撃ち抜いた。
「くっ!」
ウォッカがハンドルを切る。
ポルシェは大きく揺れた。
ジンは舌打ちする。
「赤井……!」
⸻
ドローン
「博士!」
コナンが叫ぶ。
「例の発明は!」
「もちろん積んであるぞ!」
博士はトランクを開け、小型ドローンを取り出す。
「これじゃ!」
コナンはドローンへ小型カメラを取り付ける。
「飛べ!」
ドローンは一気に上昇し、山道全体を映し出す。
モニターには逃走経路が映し出される。
「前方三百メートル、橋!」
安室が地図を見る。
「古い吊り橋だ。」
「重量制限がある!」
⸻
吊り橋
コナンたちの車が橋へ差しかかる。
ギシッ……
木の橋がきしむ。
「急いで!」
全員が息をのむ。
その直後。
ポルシェも橋へ突入した。
ミシッ!
橋が大きく揺れる。
ウォッカが叫ぶ。
「兄貴!」
ジンは冷静だった。
「構うな。」
アクセルを踏み続ける。
しかし──。
古い橋は限界を迎えていた。
⸻
ベルモットの決断
「ジン!」
ベルモットが鋭く声を上げる。
「これ以上は危険よ!」
「黙れ。」
「橋が落ちる!」
「証拠を逃がす方が問題だ。」
ベルモットは窓の外を見る。
前方では、美月が後ろを振り返っていた。
その瞳には恐怖だけでなく、強い決意が宿っていた。
ベルモットは静かに目を閉じる。
(……あの子は、あの人と同じ目をしている。)
十五年前。
最後まで希望を捨てなかった倉橋俊介。
その姿が脳裏によみがえる。
⸻
崩落
突然。
バキッ!!
橋の中央が大きく裂けた。
「しまった!」
コナンたちの車はギリギリで渡り切る。
しかし。
ポルシェは橋の中央で止まった。
「ウォッカ!」
橋板が崩れ始める。
車体が傾く。
ウォッカが必死にハンドルを握る。
「兄貴!」
ジンは即座にドアを開け、岩場へ飛び移った。
ウォッカも後に続く。
ポルシェはゆっくりと谷底へ落下し──
ドォォォン!!
炎を上げて爆発した。
黒煙が空へ立ち上る。
⸻
最後の銃撃
ジンは岩陰から拳銃を抜く。
「まだ終わっていない。」
その銃口が、美月へ向けられる。
「危ない!」
蘭が美月を突き飛ばす。
パン!
弾丸は岩に当たり、火花が散る。
その瞬間。
バン!
赤井の狙撃。
ジンの拳銃が弾き飛ばされた。
ジンは赤井をにらみつける。
「赤井秀一……。」
「勝負は預けておく。」
赤井は静かに答える。
「次も逃がさない。」
⸻
真実を写す一枚
戦いの最中。
美月は震える手でフィルムカメラを取り出した。
「今……。」
コナンが振り向く。
「美月さん?」
美月は静かにシャッターを切る。
カシャッ。
朝日。
崩れた橋。
立ち向かう人々。
そして、逃げ去る黒い影。
「これが……。」
「真実の一枚。」
コナンは微笑んだ。
「いい写真だ。」
⸻
ジンの撤退
遠くからヘリコプターの音が近づく。
公安の増援だった。
ジンは帽子を深くかぶる。
「撤退する。」
ウォッカが驚く。
「兄貴!」
「証拠は失った。」
「だが、生きていれば次がある。」
ベルモットは黙ったまま、その後を歩く。
去り際、彼女は一瞬だけ振り返った。
美月と目が合う。
小さく微笑み、何も言わず森の中へ消えていった。
⸻
静けさが戻る山道。
コナンは空を見上げる。
青く澄んだ空。
そこには昼間でもうっすらと、一番星が輝いていた。
美月が隣に立つ。
「星って……。」
「十五年前も、今日も、変わらないね。」
コナンはうなずく。
「だからこそ。」
「真実も、いつか必ず見つかる。」
二人は同じ空を見上げる。
長かった戦いは終わろうとしていた。
だが、物語にはまだ最後の一章が残されている。
倉橋俊介が未来へ託した本当の願い。
そして、美月が歩み始める新しい未来。
すべてが、次の章で明らかになる。
⸻
――第11章 終――
次回予告
最終章「漆黒のメモリー」
十五年前の事件は、ついに終幕を迎える。倉橋俊介の研究は未来へ受け継がれ、黒ずくめの組織は闇へ姿を消す。そして、美月が現像した最後の一枚の写真には、誰も気づかなかった小さな奇跡が写っていた――。感動のエピローグへ続く。
コメント
3件
いぬ🐶さん、第11章お疲れさまです! 吊り橋の崩落、スリル満点でした……! 特にベルモットが美月を見て倉橋俊介を重ねるところ、ああいう過去の光が交差する瞬間が好きです。コナンの「だからこそ。真実も、いつか必ず見つかる」という台詞が、全体の重さをそっと包んでくれて、胸が温かくなりました。最終章、楽しみにしてます!
#ハイキュー
유키에
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