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「おお、『神前戦闘』が?」
『ああ、フラーゴル大陸での興行だが―――
大成功だったらしい。
モトリプカでは、所有奴隷の代わりに……
有名な選手をどう確保するかで
競争が起きているようだ』
馬車関連の従事者たちによる商会化と、
郵便配達を併用した定期便の設立が一段落
した後、
私は公都『ヤマト』の冒険者ギルド支部に
呼び出され、ライさんから情報共有の報告を
受けていた。
「??
だがよぉ、『神前戦闘』ってあちらには
無かっただろ?」
「選手の確保ってどうするんスか?」
現役の、筋肉質のアラフィフのギルド長と、
褐色肌で長身の次期ギルド長の青年が揃って
首を傾げると、
『そりゃ、あちらでも設立するに決まって
いるだろう。
それに、基本的には亜人や人外で構成
されるんだ。
あの魔導塔も使えないとなりゃ、雇うには
きちんと条件交渉するしかない。
交渉を有利に運ぶには、ご機嫌取りも
しなけりゃならないってわけだ』
魔力通信機の向こうから、ギルド本部長が
疑問に答え―――
「何ていうか皮肉ですね。
今まで奴隷とした扱ってきた層の人たちに、
下手をすると低姿勢で交渉に挑まないと
ならないんでしょう?」
タヌキ顔に丸眼鏡の、次期ギルド長の妻が
飲み物を用意しながら語る。
「拒否権があるっていうのはそういう
事だからな。
『嫌ならいいんだぜ、こっちは?』
と選手が言えて、
雇いたい方は金を積んで黙らせる事も
出来る。
それが対等ってモンだろ」
ジャンさんが両腕を組みながら話す。
「しかしこれで……
辺境大陸とクアートル大陸、フラーゴル大陸の
3大陸で―――
『神前戦闘』が行われる事になるッスか」
「こちらも、今や獣人族だけでなく鬼人族、
雪女さんも混じっていますからね。
そういえば、魔界王様も時々参加されて
いますけど」
レイド君とミリアさんがそれに続き、
「魔界王……フィリシュタさんか。
魔界ではどうしているんだろ?
あっちではやらないのかな?」
私のふとした疑問に3人は、
「ん~、魔族だもんなぁ」
「身体強化以外禁止―――
って言って守ってくれるッスかねえ?」
「脳筋ばかりって話でしたし」
そして冒険者ギルドメンバーで笑い合い、
『ま、俺からの報告はそんなところだ。
あと、クアートル大陸の四大国で、
俺とティエラの婚約発表があったからよ。
結婚式はこっちでやると思うが……
その時はよろしく頼むぜ』
そこで魔力通信機での通話は終了し、
しばらく4人で雑談した後、私はギルド支部を
後にした。
「今日は何だったのー?」
「まあ、もう難しい依頼などはあるまいが」
自宅の屋敷で、アジアンチックな妻と
欧州モデルのような顔立ちの妻が出迎える。
「あー、フラーゴル大陸の話なんだけど、
その復興支援の1つだった『神前戦闘』が、
大成功したんだって。
あと、ライさんとティエラさんの婚約が、
ランドルフ帝国を始め、四大国で正式に
発表されて―――
結婚式はこっちでやると思うから、
その時はよろしくって」
「おー」
黒髪ショートに燃えるような瞳を持つ娘が、
大きく口を開けて反応する。
「あれ?
でも結婚って言えばさ、ランドルフ帝国の
ギルドマスター?
ってまだ結婚していなかったよね?」
「結婚する、というところで止まって
いたような」
メルとアルテリーゼが子供を抱きながら
そう話す。
あー、ベッセルさんとカティアさんか、
と自分も思い出し、
「多分そうじゃないかなあ。
この前、ラッチの事を説明しに行った時も
そういう話は出なかったし」
「やっぱり呼ばれるかなー?」
無邪気に話すラッチに、
「こればかりは微妙だなあ」
と答えると家族は顔を見合わせて、
「いやいや。
だって、関わりがあるなんてものじゃ
無いよね?」
「モンステラ聖皇国のメルビナ大教皇救出や、
亜人・人外の兵器化施設の時は、一緒に
亜人たちを脱出させておるのじゃぞ?」
(■237話 はじめての くうていさくせん1
■242・はじめての こうりん1参照)
そう妻たちは返してくるが、
「だからこそ、だよ。
そのどちらも非公式で動いたんだ。
確かに、それ以外でも関係が無いとは
言えないけど……
他国の、それも平民のシルバークラスを
何でわざわざ?
というところから、痛くもない腹を探られる
かも知れないし」
「むー、大人の世界ってムズかしい」
義理の娘が眉間にシワを寄せる。
もうあの大陸には敵対的な国や組織は
無いだろうけど―――
残党や変に野心を持っているヤツがいないとも
限らない。
用心するに越した事は無いのだ。
「でもまあ、ベッセルさんの事だから……
カキフライや他の料理欲しさに、私を
料理人として呼ぶかも知れないけどね」
そう笑って言うと、
「あー、ありそう」
「そうでなくともシンの料理は絶品だしのう」
ウンウンとうなずくメルとアルテリーゼの次に、
「ギルド支部でしてきたお話はそれだけー?」
と、ラッチが質問してきて、
「魔界王―――
フィリシュタさんの話がちょっと出たかな。
ここで『神前戦闘』の選手として時々
参加しているけど……
魔界では『神前戦闘』やらないのかなって」
「あー、フィリシュタさんね」
「一度やろうとした事はあるみたいだが、
『何で本気でやらないんですかい?』
って声がほとんどで、諦めたとか」
妻2人の答えに思わずテーブルに頭を
突っ伏す。
まあそれも仕方ないか―――
そもそもフィリシュタさん、魔界王だし、
自分の強さをアピールしたり、何かに
挑んだりする必要は無いし……
だからこそ伸び伸びと『神前戦闘』を
やれるのかも。
「ていうか、メルとアルテリーゼは
時々フィリシュタさんに会っているの?」
ふとわいた疑問を口にすると、
「会うってゆーかー、フィリシュタさんの方から
会いに来るんだよー。
シンイチとリュウイチにデレデレだからねー。
試合に出た後は児童預かり所とか、ウチに
よく来るよー」
娘が、弟たちを撫でながら答える。
「そういやフィリシュタさん独身だったしなあ。
結婚はしないのかな?」
「魔王・マギア様はあの2人―――
イスティールさんとオルディラさんで
ほぼ決まりだし」
「案外、シンイチやリュウイチ……
どちらかを狙っておるのではないか?」
親としてそんな軽口が出てくるが、
「んー、それありそうじゃない?
可愛がり方がスゴいしあの人」
ラッチがふとそんな事を口にして、
「いやいや、そんな事は」
「だよねー」
「いくら何でも気が早過ぎじゃて」
そう私とメル、アルテリーゼは笑い合い、
家族団らんの時は過ぎていった。
「いやあ、ありがとうございます!
本当に来て頂けるとは」
「出席者全員が料理を絶賛しておりました!
これもシンさんのおかげです!」
中肉中背で目付きの鋭い、シルバーの短髪の
男性と、
花嫁衣裳に身を包んだ……
ピンクヘアーの巻き髪の女性が揃って
頭を下げてくる。
10日ほどして―――
私はクアートル大陸・ランドルフ帝国帝都、
グランドールへと来ていた。
理由は、ベッセルギルドマスターこと
アウリスさんと、
ギルドの受付嬢兼彼の秘書のような存在で
あった、カティアさんの結婚式のためである。
「いやまあ……
以前、知り合いのお貴族様の結婚式にも、
料理人として参加した事がありましたので。
これくらいなら、おやすい御用です」
(■100話
はじめての うろこといきち参照)
結局、2人の結婚式には―――
私は料理人として呼ばれる事となった。
アウリスさんにしてみれば、普通に出席して
欲しかったらしいのだが、
やはりこちらと同じ危惧……
つまり、どこからか極秘の関係性や、
過去に疑問を持たれる事を恐れ、
一応、ウィンベル王国冒険者ギルド本部、
本部長・ライオットと、
自分の所属しているギルド支部の支部長・
ジャンドゥの名代として、
料理人としての参加になったのである。
「でもまた、新しい料理が増えて
いましたよね?
コモロ、でしたっけ」
「奴隷殺しのスープと混ぜると絶品でした!
さっそく、当ギルドでも使わせて頂きますよ」
今回新しくお出ししたコモロ=トウモロコシの
料理に新婦が興味を示し、
次いで新郎が自分の組織への導入を示す。
「まあ、積もる話は後で」
「まだまだあいさつしなければならない
客もいよう?」
メルとアルテリーゼがそう促すと、
「では、ギルド本部のギルドマスターの部屋で
お待ちください。
自分たちも後ほどそこで―――」
そうベッセルギルドマスターは言い残し、
2人は自らが主役となる会場へと戻って
行った。
「お疲れ様ー」
「おお、ありがとうございます」
「ありがとう、ラッチちゃん」
主が戻って来たギルドマスターの部屋で、
ラッチが2人に冷えた飲み物を差し出す。
時期的にはすでに6月半ば……
そこそこ暑さも湿気もあり、特に今まで
結婚式の衣装に身を包んでいた2人には、
ちょうどいいだろう。
私たちも飲み物に口をつけ、雰囲気が
落ち着いたところで、
「では改めて―――
ご結婚、おめでとうございます」
「ありがとう」
「ありがとうございます!!」
アウリスさんは照れ臭そうにしていて、
カティアさんは満面の笑みで答える。
そしてシンイチとリュウイチに手を伸ばし、
「あなた、子供はどちらがいいですか?」
「いやいや、気が早いんじゃないかな」
そう語る新婚夫婦に、
「あっという間だよー、そんなの」
「そうじゃぞ?
今の内にいろいろ、手配しておいた
方がよい」
経験者組がそうアドバイスする。
「そういえば、結婚後もカティアさんは
お仕事を続けられるんですか?」
ここのギルド本部の職員を、という意味だ。
さすがにギルマスと結婚したのだ、続ける
つもりはあるのかなと思って聞くと、
「ああ、それはね……
2人揃って退職しようと決めているんだ」
「そうなの?」
メルが彼に聞き返すと、
「この大陸も落ち着きましたし、
もう大規模な争いや混乱は無いだろうって、
ギルマスの辞め時を考えていたようなんです、
この人」
「ああそうか。
確か、モンステラ聖皇国の者として、
諜報に来ておったのじゃな?」
その問いには彼女が答え、アルテリーゼが
納得したようにうなずく。
「あー、じゃあもうギルマスしている
理由が無くなったんだー」
「争い以前、亜人や人外への寛容まで
一気に社会というか世界が飛んだからねえ。
うん、もう心残りは無いさ」
そう言うアウリスさんの視線は私に向いていて、
思わず苦笑で返す。
そこで少し沈黙の時間が続き、
「あの、ところで―――
寿命の件、カティアさんのご両親には」
最も聞き辛い質問を私がすると、
「まあ、それは……
もう少し先でもいいかなって。
どの道、両親は先に亡くなるものですし」
「自分も悩んだけどねぇ、こればかりは。
カティアと相談して決めて―――
ご両親がもう少し老いたら、内々に
打ち明けるつもりです」
なるほど、落としどころはそのあたりに
なったか。
言い方は悪いが、死ぬ直前であれば
情報が漏れる可能性は低くなるし……
聞こうとしていた事は聞けたので、私は
話題を変えるために口を開き、
「そういえば、『月下の剣』パーティーと
あまり話せなかったのは残念でしたが」
獣人や亜人への差別是正の象徴でもあり、
今を時めく人気パーティーの彼らは当然、
ギルマスの結婚式に参加していたのだが、
「今、本当に忙しいからねえ彼らは。
ホラ、フラーゴル大陸でも『神前戦闘』を
するようになったし」
「私たちみたいに、『ゲート』を使うわけにも
いかないからねー」
アウリスさんの話にメルが乗っかり、
「ああ、そういえばそういうのも
あったんでしたっけ―――
ホント、『浮遊島』といい……
常識が片っ端から壊された感じが
しましたわ」
「彼と結婚したんじゃろ?
『こっち側』でそんな事に驚いていたら、
この先やっていけぬぞ?」
次いで、カティアさんにはアルテリーゼが
受け答えし、
「まーそういう意味じゃ、先におとーさんと
会っていたのは良かったかもねー」
身も蓋も無い事をラッチが語り、
「そうかも知れないですねえ。
『境外の民』にドラゴン、
そして夫はエルフ―――
こんな人生を歩むとは思ってもみません
でした。
まあ、もうこれ以上驚く事なんて
そうそう無いでしょうけど……」
と、新婦の言葉で話が一段落しようと
したところ、
新郎の目が気まずそうに泳ぎ始め、
「??
どうかしましたか、アウリスさん」
「いや、えっと―――
実は結婚式にシン殿をお呼びしたのは、
この機会に知ってもらおうと思った事が
あったからで」
彼の言葉に彼女の目は点となり……
そしてこの世界のとある裏側の秘密を、
打ち明けられる事となった。
「創世神様の配下、ですか?」
「うん、そうそう。
そっちにも今いるでしょ、亜神と呼ばれる
存在が」
そして彼の口から伝えられたのは―――
かつて創世神様が世界を治める際、
熱心な信者の中から複数、直属の眷属を
指名し……
創世神様が地上を離れる時、彼らに
この世界を裏側から見守る事を任命して
いったのだという。
「あー、公都にフェルギちゃんいるけど」
「そういえばあのコも創世神配下で、
かつてその配下同士で争って?
って聞いたような」
娘と人間の方の妻が何気なくそう話すと、
カティアさんは頭を抱え、
「いやいや、今は大人しく過ごしておるぞ?
ただ子供の姿で酒好きなのでなあ。
あまり人目につくところで飲むなと、
ギルド長からたしなめられておるが」
ドラゴンの方の妻がフォローに入る。
「しかし―――
これまでにもいろいろな争いや、
大規模な戦争に発展しそうな時が
ありましたけど。
そういう存在なんて影も形も」
私が疑問を呈すると、
「彼らはあくまでも『人間』だからね。
普段はどこかの国や組織、宗教に組み込まれて
いるから、身軽には動けないんだよ。
災害級……
例えば世界征服を目論む大帝国が戦争を
始めたり、または他の勢力が世界を滅ぼそうと
攻め込んできたりすれば動くけど」
うーん。
災害規模の事でも起きなければ、
彼らは動かないという事だろうか?
「んー、でも―――
新生『アノーミア』連邦の前身?
マルズ帝国だっけ?
あそこでシンと同じ『境外の民』が、
やらかした歴史があるじゃん」
「そうじゃ。
何でその時は動かなかったのだ?」
メルとアルテリーゼも疑問を口にするが、
「あの時のマルズ帝国の大義名分は、
『亜人や人外の差別撤廃』と、
『奴隷解放』だったからねえ。
結果的には酷い事になったけど……
止める理由自体が無かったんじゃないかな」
言われてみれば確かに―――
あの『境外の民』だって、決して不幸を
振り撒こうとしてやったわけじゃない。
そして気付いた時には遅かった、と。
「じゃあ、世界が滅亡するくらいの
危機にならなかったら、その人たちは
動かないって事ー?」
ラッチがズバッと切り込むと、
「多分そうだと思うけど、ただ何が原因で
世界が傾くかわからないから、
それなりに監視の目は光らせていると
思うよ?」
「ああ、それで大事になりそうな前に、
芽を摘み取るんですね?」
ようやく回復してきたカティアさんも
話に加わり、
「えっと……
アウリスさんは、その―――
今言った創世神配下の方々と面識は
無いんですか?」
私の質問に彼は両腕を組んで、
「無い事は無いよ。
ただ、50年か100年にいっぺん
くらいの割合だし……
向こうから一方的に会いに来るだけ
だからね。
自分がこの件を話したのは、もしかしたら
彼らがシン殿に会いに行く可能性があるかも、
と思って」
「えっ?
私が目を付けられているという事ですか?」
彼の言葉に聞き返すと、周囲がジト目になって、
『いや、何で目を付けられていないと思うのさ』
という心の声が大文字フォントで聞こえ、
「い、いやでも―――
別段、目を付けられたところで悪い事は何も」
「ああ、敵対とかそういう事じゃないよ。
ただ、シン殿が世界に与えた影響は大きい
からねえ。
そのあたり、事情を聞きたいとか、そういう
事はあるだろうなってだけ」
続けてのギルマスの言葉に、私はほっと胸を
なでおろす。
「しかしこの情報、どうしましょうっていうか、
どこまで伝えていいものなんですかね。
ていうか、アウリスさんがエルフって
いう事自体、かなりの重要機密ですし……」
と、今度は情報の共有範囲について私が
悩み始めていると、
「ああ、それもメルビナ大教皇様とこの前
話し合ってね。
同盟も組まれたし、秘密にしておく
理由も無くなったから―――
自分のギルドマスター引退と共に、
公表するって。
もちろん、上層部限定でだけど」
そう涼し気な顔で話す彼に、
「え? でもそれって大丈夫?」
「同盟締結後に、そんな事を後出しで
言われても……
とはならんか?」
妻2人が心配そうな顔で質問すると、
「多かれ少なかれ、諜報活動はどこでも
やっていたはずだよ。
自分を非難するのであれば、じゃあ
各国はやっていないのか?
なんて話になれば厄介な事になる。
まあでも、一足先にランドルフ帝国には
伝えておいた方がいいかもね。
当事国だし」
そこで話が一段落した、と思っていると、
ギルドマスターの部屋の扉がドンドンと
叩かれ、
「ギルドマスター! おられますか!?」
その声に呼ばれた彼自らが立ち上がり、
扉を開けてその先と対応する。
そしてしばらく話し合った後、やや疲れた
表情で戻って来て、
「あの、何かあったんですか?」
「緊急事態ー?」
私と娘が事情を聞こうとアウリスさんの
方を向くと、
「んー、いやね。
自分がギルマスを引退するという話は
内々にギルドに話していたんだけど。
何ていうか、後継者争い?
みたいな事になっちゃってねえ。
時々揉め事が起きるようになったんだよ。
それだけならまだ良かったんだけど」
そこで言い難そうに口をつぐむ彼の代わりに、
カティアさんが、
「それに加えて……
この機会にと、亜人・人外に対する
差別是正を撤回すべし、という勢力が
出て来たんです。
自分や、自分たちが擁する者が新たな
ギルドマスターになれば―――
冒険者ギルドだけでも、昔ながらの
差別方針に戻せると。
身内の恥をさらすようで恐縮なの
ですが……」
それを聞いたメルとアルテリーゼは、
息子をそれぞれ抱いたまま、眉間に
シワを寄せて、
「ま~だ納得しない連中もいるのかー」
「確かに、全員が全員賛同しているわけでは
なかろうがのう」
それを聞いていたラッチが、
「そーゆーのって、アウリスさんが
ギルドマスター権限とかで―――
えいっ☆とか出来ないのー?」
そう言われた彼は苦笑して、
「出来ればそうしたいんだけどねぇ。
ギルドマスターは立場上、中立でなければ
ならないからさ」
「それに、その権限で次のギルドマスターを
指名したとしても……
『先代のギルマスの意に沿う人物を選んだ』
という事になりかねません。
そうなると、事実上ギルド組織の私物化を
認めた事に」
それに対し、娘は天井を見上げて
考えているようだったが、
何かを思いついたのか、私に視線を向けて、
「じゃあ、おとーさんがえいっ☆しちゃえば
問題無くない?」
その提案にギルドマスター夫妻は私の方を
向いて、
「ええと―――
まあ、模擬戦?
という事にしてもらえれば」
「それならば問題は無いと思われますけど」
事実上の『許可』を得た私は頭をかいて、
「じゃあ……
これも結婚祝いの1つ、という事で。
その問題児というか、未だに差別的な
冒険者を集めてもらえますか?」
その後―――
ベッセルギルドマスターの元、後継者たらんと
する者は、私に実力を見せてみろ、という方向で
模擬戦が開催され、
問題のある方々は私の能力によって、
えいっ☆されたのであった。
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お疲れさまです、アンミンさん!第327話、読了しました〜!✨ 今回は「神前戦闘」の成功報告から始まって、ベッセルさん&カティアさんの結婚式、そしてまさかの世界の裏側の秘密……!創世神配下の存在とか、後継者争いとか、一気に情報がドカンと来た回でしたね。特に「境外の民」とマルズ帝国の歴史の話は「ああそういうことか!」って腑に落ちる感覚がありました。それにしてもラッチの「えいっ☆しちゃえば?」発言が刺さりすぎて笑った……!(笑) 家族の会話の空気感がいつも通り本当に温かくて、327話も変わらず素敵な世界観でした!また次話も楽しみに待ってます🌸
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