あいに嫌われた男の子
菜々香「自己紹介とかしようか。誰からする?」
?「僕からする!!」
元気よく手を挙げたのは、灰簾石の瞳をした男の子だった。
br「僕の名前は譜網 瑠紅!よろしくね!」
shk「…瑠紅君…」
br「瑠紅でいいよ!!」
shk「…じゃあ、瑠紅…」
瑠紅は、何となく、人懐っこい男の子だなって思った。
…だって、俺にはそんな事出来ないし
院長「じゃあ、瑠紅君から時計回りに自己紹介をしようか。」
瑠紅の隣…
?「…」
ぁ、さっきの…
sm「…須磨川 紫苑。…よろしく。」
shk「…うん、よろしく。」
…やっぱり、冷静だな。
?「次俺!」
そのまた隣に居たのは、元気ハツラツな、曹長石の瞳をした男の子。
nk「俺は中村 瑞稀!よろしく!」
?「後は俺だけだね」
最後は、黄水晶の瞳をした子だ。
kr「柚華 力也。よろしくね。」
落ち着いていて、なんていうか、…お母さんみたいな雰囲気だ。
shk「よろしく。」
院長「…よしっ、これで全員自己紹介が終わったな。」
院長「…翠君の学校の手続きも終わらさてあるから…この建物の説明をしようか!」
br「やったぁ~!」
院長「…じゃあ、5人で見て回ってきな。私と菜々香で、昼ごはんの準備をしておくよ。」
nk「は~い!!」
br「~笑!!」
sm「翠って、何処に住んでたんだ?」
shk「叶実町だよ」
sm「あぁ、隣町の_」
…前では、瑠紅と瑞稀君が何かの話題で盛り上がっていて、後ろでは、俺含む3人で話している。
nk「!え、今日カレーじゃない!?」
kr「…!確かに。」
nk「よっしゃあ~!!」
br「翠!白尾学院のカレー、すっごく美味しいんだよ~! 」
shk「そうなんだ」
…母さんのカレー、大好きだったな…
sm「…大丈夫か?表情暗いぞ」
shk「…ううん、大丈夫。」
…いつの間にか、二階の突き当たり付近まで来た時。
大きなステンドグラスの近く、”何か”が居たように見えた。
烏や鷹よりも大きくて、翼が生えてた気がする。
br「_僕たちの部屋は、手前から順に、瑞稀、僕、翠、紫苑、力也ってなってるんだよ! 」
…でも、皆は気づいていない。
shk「…気の所為かな。」
菜々香「みんな~!!!ご飯出来たよ~!!!」
丁度案内も終わったし、俺もいつの間にかお腹が空いていた。
…此処の絶品カレー。どんな味なんだろう
院長「…では、手を合わせて下さい」
院長「いただきます」
皆「いただきます!」
nk「ん~!!やっぱ美味しい~」
br「…翠、どう?此処の絶品カレー_」
shk「✨美味しい…!」
sm「これで翠も、このカレーの虜だな」
このカレーは、心に染みて凄く美味しい。
母さんのカレーと対等だ。
皆「おかわり!!」
院長「はい笑」
院長「_これからは自由時間だから、自由に過ごしてていいよ。」
nk「ねぇねぇ翠!鬼ごっこしない?」
br「隠れんぼしよ!!」
shk「えっと…」
kr「…こら、翠が困ってる。」
sm「…まだ持ち物を片付けてないなら、そっちを済ませた方がいいと思うぞ。」
shk「!うん、そうする。」
br「じゃあ、また明日遊ぼうね!」
shk「…うん…!」
shk「手前から三番目…」
ドアプレートには、律儀に<翠の部屋>と書かれている。
ガチャ
shk「うわぁ…広い…!!」
部屋もやっぱり広くて、三人程だったら余裕で住めそうな広さだ。
shk「…さっきの、何だったんだろ…? 」
見間違いだとは思ったけど、あんなに大きいのが窓に居るなんて、普通は有り得ないと思う。
shk「…ま、考えても無駄だし。」
考える事を放棄し、机や棚に物を置いていく。
窓から度々入ってくる微風が気持ちいい。
shk「こ、これで終わり…かな?」
?「…まだ写真立てが残ってるよ」
shk「…あ、本当だ。ありがとう…」
shk「って…あれ、今の声、誰…?」
?「俺!」
_先程まで太陽に照らされていた部屋が、突如薄暗くなる。
shk「…?」
声がする窓側に目を向けると、
?「…驚いた?笑」
shk「…ッ…嘘…?」
shk「天使…ッ…?」
藍宝石の瞳をした”天使”が、俺の方をじっと見つめていた。