テラーノベル
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#ご本人様には関係ありません
透楽※お知らせ必読願います
1,740
ATTENTION⚠️
ご本人様関係❌
エセ関西弁
nmmnルールを理解していない方は閲覧をご遠慮してください
今回、絶望ホスクラの名前や姿をお借りしておりますが本編動画とは関係ありません
作者はホストクラブのことについては無知の為おかしいところが多々ありますが、ご容赦ください
グロあり
魔法設定あり(かなりファンタジー)
誤字脱字あり
一応、腐向けではありません。あくまで友情の物語としてお読みください。
問題があれば教えてくれると幸いです
問題あり次第消します
読んだ後の苦情は受け付けません。
ci視点
「突然だがチーノ、お前には首都シュペリアにあるかの有名なホストクラブ”チャロアイト”に潜入調査してもらうゾ!」
その言葉を聞くと、何故か寒気がした。
チャロアイトといえば、本国だけでなく、他国でも有名はホストクラブ。そこでは一夜で何千万と金が落ちていくらしい。
こんな俺とは縁がない場所の筈……
「なんでや!?」
俺が所属するW国軍特殊部隊、
通称「wrwrd」。W国だけではなく、他国にまで息がかかっているこの部隊は総統閣下の命を受け、どんなことでもやり遂げる。
要人暗殺、情報操作、戦争への参加だけではなく、国の警察でも解決が難しい事件を調査したりするなど、やるべき事は多岐にわたる。
入る為には総統閣下のお眼鏡にかなうしかなく、少数精鋭で構成されている。
一部のメンバーは総統閣下が革命を起こす前からの知り合いだったりする。
幸か不幸か、お眼鏡にかなってしまった俺は猛烈なアプローチを受け、”俺を救ってくれた人”を探すのを条件に自身が折れる形で加入した。
名前はわからない。幼少期の記憶が抜け落ちてるため、何色だったかは分からないが、とにかく美しい瞳を持っていたことしか覚えていない。
俺の一番古い記憶で確かに、俺を絶望から救ってくれた人。
探すアテもなく、さまざまな場所を転々としながら過ごしていたところを総統閣下になぜか気に入られた。
利用価値があると思って忠誠を誓ったのに、なんでホストクラブなんかに!?
「最近、シュペリアのホスト街で連続して殺人事件が勃発している。」
「うちの警察ですら捜査は難航。だから取り敢えずうちから人員を派遣しようと思ってな。」
「そうやけど、なんで俺なんですか!?」
「お前の能力を最大限活かしてやろうと思ってな」
「俺は”魔法”は使えへんのに…」
魔法。使用できるのはごく一部の人のみで、その本人しか使えない。かといっておとぎ話に出てくるような業火を操るといったものではなく、ただ”物をちょっとだけ浮かして軽くできる”だとか”植物の成長をほんの少しだけ助けれる”など使用が限られ、規模の小さいものがほとんど。なんなら使えることを知らずに生涯を終えることもあるらしい。
かつては”大魔法時代”と呼ばれ、魔法とは身近なものだったらしいのだが、今では科学技術の発展によってほとんど使われていない。
だが、ウチの軍は何故か強力な魔法が使えるヤツが多い。ゾムの一定時間姿を見えなくさせる隠密とかロボロの一定範囲内なら直接脳に声を届けることのできる伝達とか、そんな千人に一人居るくらいの強大な魔法が使えるヤツらに囲まれると自分が小さく見えるのも当然だろう。
「犯人の目星はまだついていない。だが決定的は証拠としてあるのが”チャロアイト関係者"ということだ。」
「シュペリアには当たり前だがホストクラブが多数存在するが、チャロアイト周辺でのみ事件が発生している。」
「見つかった死体は原型を留めていないモノが多い。」
「証拠もない完全犯罪。」
「頼んだぞ。チーノ。」
そう言い終えると、自分のインカムが反応した。ランプの色は水色。コネシマさんだ。
「早く行ったらどうだ?」
「大方、任務のことだろう。」
「分かりました。」
俺は取り敢えず総統室を後にした。
談話室。コネシマさんが、ホストクラブ潜入への説明をしてくれた。
一週間後、チャロアイトで採用試験があるらしく、俺はそこで受からなければならない。
曰く、受かるまでが難しいらしい。
「お前は外面だけはいいからな。」
「受かるやろ。」
「それ、あんたに言われても意味ないんですけど。」
キリッとした吊り目に整った顔。キラキラと輝くアクアマリンの瞳。顔面国宝め。あんたが出た方が良いのではないか。
「ちなみに俺は別任務で行けん。」
「それにグルッペンから止められとる。」
「「喋らなければいいのだがな。」だとよ。」
図星か。確かにコネシマは喋らなければイケメンだ。しかし、口を開くとコテコテのキツい関西弁がでてくるので、初見の人はそのギャップに驚きを隠せない。
「今オスマンが必要なモノを調達しとる。」
「俺はちょっくら暗殺してくるから、ここで待っとき。」
ちょっくら、で暗殺をしてくる。普通の人からすれば、変な話だ。やっぱりこの部隊はおかしい。
「じゃあな。」
そう告げると、コネシマさんは部屋を出て行った。
一週間後、俺はチャロアイトの前に立っていな。この一週間、オスマンに着せ替え人形にされたり、礼儀作法を叩き込まれた。
────正直、地獄だった。
いざ受けてみると、チャロアイトの面接は案外さらっと通過することができた。万人受けする笑みを浮かべ、気に入られるように受け答えを完璧にこなせば余裕だった。
ちなみにオーナーも素性が怪しいため、誰一人俺の情報は知らせない手筈になっている。名前も偽名だし。
店に入ると、煌びやかな照明が輝いていた。派手でありながら落ち着きのある店内。とても働きやすそうだ。
「貴方がシュウジ君ね。」
「私がここのオーナーよ。よろしくね。」
派手な化粧を施した女性、ふくよかな体型でドレスを着用しているが、そのインパクトのある強い見かけによらず話やすそうな人だ。
「早速だけど、ウチのNo. 1と一緒にホールに入ってもらうわ。」
「No. 1とならゲストもあなたのことを知るはずだから。」
「紹介するわ。」
「ウチのNo. 1ホストのミナトよ。」
「よろしくね。」
ミナト、と名乗る人物はこちらを見た瞬間、美しい琥珀色の瞳を歪ました。それはほんの一瞬、瞬きひとつのことで気にすることでもなかった。
この人を見た時、一番に思ったことは綺麗な顔だと思った。少し小柄な体格に中性的な顔立ち、キラキラと輝く琥珀色の瞳にピンクブラウンのつやつやとしたボブの髪。豚のピンをつけ幼なげな印象を持ちつつ、整った顔の彼は、系統が違えどウチで一番の美貌を持つコネシマに張り合えそうなくらいに美しかった。
それと同時に、俺の頭がツキリ、と痛んだ気がした。
「えっと…シュウジでいいかな。早速で申し訳ないんだけど取り敢えず俺の付き添いでホールに出てほしいな。」
つい見惚れてしまった。こんな美しい琥珀色の瞳には誰だって見惚れてしまうだろう。
「ほら、姫たちへの紹介もあるし。」
「分かりました。」
今の時刻は夜の9時くらい。姫たちがやって来るピークタイムだ。
ホールに入ると、香水を纏わせ、鮮やかなドレスに身を包み、身の丈に合わないブランド品のバッグを持った女性が何人かソファに腰掛けていた。
テーブル上には、すでに大量のお酒、それもとても高価なやつが並べてあった。
「あっ!ミナトく〜ん♡」
女性の内一人が甘ったるい声を出してこちらの方を向いた。
「お待たせしてごめんね。」
「今日は新人が新しく入ってきたから紹介したいんだけど、いいかな。」
女たちはコクコクと頷いた。
ミナトさんがソファに腰掛けた瞬間、女たちはミナトさんのすぐそばに近寄り、ミナトさんの腕を組んだりしていた。
そういった行動に何も言わないので、ある程度好きにさせているのだろう。
俺もミナトさんの真似をしてソファに腰掛ける。
「紹介するよ。新しくこのチャロアイトに入ってきたシュウジだ。」
そう言って俺の紹介をすると、女性たちは目を輝かせながらおれにすり寄ってきた。
「可愛い〜♡」
「背高〜い」
「次からシュウジ君にしよっかな〜♡」
女のキンキンとした声が頭に響く。あまりに不快で思わず己の腕にまとわりついてくる女を振り払おうとしたが、ミナトさんにやんわりと目で止められた。
「こらこら、シュウジが困ってるよ。」
「初めてだから、あんまりいじめちゃだめだよ。」
「「はーい♡」」
ミナトさんのその一声で女たちは一斉に行動を改めた。
すごいな。この人は。言動や仕草からみて、付け入る隙が無さすぎる。ミナトさんに話を聞くのは骨が折れそうだ。
潜入してから何日か経過した。俺が入ってからは殺人事件はまだなく、俺は相変わらずミナトさんと一緒に姫たちの相手をしていた。
ちなみに俺は元々酒が強くないが、なんとか誤魔化して相手をしている。
今のところ怪しい人は居ない。証拠も出ていないので捜査はかなり難航している。
ミナトさんや他のホスト、オーナーやスタッフに話を聞いたが、事件があった日は必ずアリバイがあり、犯人はチャロアイト側ではなく、ゲスト側の可能性が浮上してきた。
しかし、被害に遭っている者は大体の者がゲスト側であるため私怨による犯行か。はたまたチャロアイトに恨みを持つ別のホストクラブか。
俺が入ってから事件が起こってない以上、進展はしばらく無さそうだ。
そんなことを考えながら仕事を終え、バックヤードへと向かう。
ここは俺を含めたホストたちが休息をしたりする場所。テーブルと小さなソファ。荷物を預けるロッカーなどが置かれている。
現在時刻は明け方。最後まで残っていた俺は取り敢えず帰るためにロッカーに向かう。ちなみに俺は軍の者と悟られないように近くにアパートを借りている。
バックヤードへの扉を開けると、ミナトさんがソファで休んでいた。
「ミナトさん。お疲れ様です。」
「っシュウジか。お疲れ〜。」
「?ミナトさん、裏口開けましたか?」
「あぁ。うん。さっき用があって。」
さすがに不用心なので閉めておく。
ミナトさんの方に目をやると、テーブル上には沢山の手紙と、手紙を開けるためのナイフ。姫たちからのラブレターか?
「すごい量ですね。」
ふと、手紙に目を通しているミナトさんを見ると、指の先から血が垂れていた。
「ミナトさん!?大丈夫ですか?」
「あー、うん、ちょっと切っちゃったみたい。」
見てみぬ振りは出来ないので絆創膏を手渡す。
「ありがとね。シュウジ。」
「いえ。」
せっかくだから、俺もひと休みしていこうかな。
「ミナトさん、何か飲みませんか?」
「いいの?ありがとう。」
とはいっても、酒を死ぬほど飲んだ後だ。カフェイン等は避けたい。
「ミナトさん、水でもいいですか?」
「いいよ〜。」
適当なコップに水を入れて、ミナトさんに手渡す。
「ありがとう。」
水を口に含む。酒で焼けた喉が潤う感覚。
「あぁ〜生き返る〜。」
「ふふっ」
ミナトさんがこちらを見て優しく笑う。
「ねぇ、シュウジ。」
「何ですか?」
「シュウジって、幼少期の思い出ってある?」
「なんでそんなことを?」
「なんとなく、聞いてみたくて。」
「ふーん。」
「聞いてもらってすみませんが、俺は幼少期の記憶がないんですよ。」
「いわゆる記憶喪失、ってやつです。」
ミナトさんは美しい瞳を見開いた。
「そっ、そうなんだ。ごめんね。変なこと聞いて。」
「いえいえ、俺もすみません。」
その後、何も言わずに水を飲み終え、拠点であるアパートへ帰宅した。
退勤後、俺が潜伏して初めて事件が起こった。やはり被害者はウチの姫。迷惑行為が多く、リスト入りしていた。
殺害された時刻は明け方。俺とミナトさんが喋っていた頃だ。
オーナーも、他のホストもアフターやら何やらでそれぞれアリバイがあった。
今夜は仕事を休んで、軍と連絡を取りつつ調査を進めることにした。
俺は事件現場に向かいつつ、インカムでロボロさんに連絡をとった。
「ロボロさん。そっちはどうですか。」
ロボロさんには潜入前、チャロアイト関係者の個人情報を調べてもらうようにお願いした。
「あらかた調べたで。」
「お前とよく一緒にいるミナト、やっけ。」
「そいつの情報もあるで。」
「そいつは見た感じ、経歴が一番怪しい。」
「教えて下さい。」
「ホスト名ミナト。本名はシャオロン・アンバー。年齢は25歳。約二年半前からチャロアイトで働いている。チャロアイトで働く前の経歴が不明」
「俺らの見立てやと、革命前の、まだウチの国で奴隷制があった頃、奴隷やったんじゃないかって。」
「そうですか。」
ミナトさん、いやシャオロンさんは奴隷特有の印、舌などにある焼印などは見られなかったし、そういった話も聞かなかった。
ロボロさんと通信していると、そんなこんなで事件現場に着いた。
警察へ俺の身分証を提示させると、現場に入ることができた。
現場で発見された死体は原型を留めておらず、何か鈍器のような物でぐちゃぐちゃにされていたようだった。
近隣の監視カメラをロボロさんに確認してもらったところ、犯行の様子を捉えることはできず、完全に死角での犯行だった。
「どうしたもんですかね。」
「そうやな。これまでの事件場所のカメラを確認しても、進展なしや。」
近隣の人に聞き込みでもしようと、動き出した刹那、
────キャーーー!!
という、女性の甲高い悲鳴を耳にした。
先ほど通った店近くの曲がり角か。
「ロボロさん。今から場所送るんで監視カメラの確認をお願いします。」
「もしかしたら、犯人、映ってるかも。」
「分かった。三十秒まっとき。」
そのような会話をしながら悲鳴が聞こえた場所へと向かう。
到着すると、ピクリとも動かなくなった女と思わしきナニカと、黒く大きなローブを被った人物がいた。体格的に男か?
その男は手にシャベルを握っており、血がべったりとついていた。
俺は自前の武器、小型拳銃を取り出し、攻撃体制をとった。
ロボロさんに交戦信号を送り、男の脚に一発撃ち込む。
撃ち込んだ瞬間、ローブを被った男は高く飛び上がり、銃弾をいとも簡単に避けた。
これでも俺は中距離部隊所属だ。銃の腕にはそこそこの自信がある。
相手は気にもせずに血濡れたシャベルで俺に殴りかかってきた。
「・・・!?」
ローブの男はこちらを見た瞬間、赤黒い瞳を見開いた。
すかさず弾丸を肩に命中させると、相手はよろけ膝をついた。
「投降してください。そうすれば命だけは助けてあげます。」
相手の頭に拳銃を突きつけながら俺はそう告げた。
「・・・っ」
相手がまだ立ちあがろうとしたのでもう一発脚に撃ち込もうとした瞬間、ローブの男はまるで影に溶けるように俺の前から姿を消した。
「消えたっ!?」
魔法だ、とロボロさんに伝えようとインカムに手を伸ばそうとした瞬間、
────ゴンッ
という鈍い音が背後から響いた。
ふらつく身体を必死に支えながら振り向くと、苦しそうに歪められた赤黒い瞳がこちらを見ていた。
俺は襲いかかってきた謎の苦しさと強い眠気に抗えず意識を落とした。
俺が目を覚ますと、そこはかつて見たことがある天井。なんとなく、軍の医務室だと分かった。
頭の痛みと、謎の苦しさが、俺の身体をのたうちまわる。
「起きたー?」
聞き慣れた声。医務室の主であるしんぺい神だ。
「どこか、しんどいとこある?」
「大丈夫です。」
「そう。なら良かった。」
「あの時、近くで任務だったゾムが回収してくれたんやで。」
「あとで礼でもいっとき。」
「分かりました。」
それだけ言うと、しんぺい神は何処かに行ってしまった。
それからしばらく俺は、医務室に拘束されたためチャロアイトに顔を出すことはできなかった。
二週間後、医務室生活から解放された俺は久しぶりにチャロアイトに顔を出した。
「シュウジ!!」
ミナトさんがこっちに駆け寄ってきた。
「件の殺人鬼に襲われたんだろ?」
「大丈夫だった?」
「大丈夫です!ありがとうございます。」
「ミナトさん、仕事終わり、話したいことがあるのでバックヤードで待っててくれませんか?」
「…いいよ。どうしたの?急に」
「ちょっと聞きたいことがあって。」
「ふーん。分かった。待ってる。」
二週間ぶりの大量の酒と女は辛く、しんどかったが、なんとか笑顔を崩さずに姫たちの相手をしきった。
「それで、なに?話って。」
仕事を終え、バックヤードへと向かうとミナトさんが残っていた。他には誰も居ない。
「ミナトさん。いや、シャオさん。」
「貴方ですよね。件の殺人鬼は。」
「なんのこと?」
表情は崩さず、いつものように柔らかく微笑みながら真っ直ぐ俺の瞳を射抜く。
「そして、貴方は俺が幼少期の時、助けてくれた人ですよね。」
「っ!」
シャオさんの、美しい琥珀色の瞳が歪む。
「でもっ、チーノには幼少期の記憶が無いって!」
「思い出したんですよ。襲われた時。」
「それに俺、本名がチーノってこと、まだ言ってませんよね。」
「!」
「お願いします。真実を話して下さい。」
真っ直ぐと瞳を見つめる。
「あーあ。バレちゃった。しかも、軍人さんに。」
「バレないと思っとったのに。」
背後から殺意が俺に襲い掛かる。殺意が発せられる方向をみると、見知ったシャベル。
「ローブの男っ!」
「チーノ。お前だけはっ!」
歪んだ琥珀色の瞳から雫が滴り落ちる。
「こんな姿見せたくなかったよ。」
「もういいや。真実を教えてあげる。」
「シャオさっ」
「むかーし昔」
「世界を知らない、独りぼっちの男の子がいました。」
「この首を、この体を縛りつける鎖が見せる世界こそ、彼の全てでした。」
「シャオさん?」
シャオさんは俺が居ないもののように語り続ける。
「少年の美しい見た目を利用して、人々の欲望の捌け口となった時もあれば、見せ物のように扱われる時もある、そんな自身の運命を嘆きつつも、微かな希望を信じて毎日を過ごしていました。」
「かつていた仲間は皆、自分たちの鎖を握る者に暴力を振るわれ、殺された。」
「殺したやつはずっと笑っている。」
「ある日、少年は自身の鎖を握る者に酷い暴力を受けてしまいます。」
「あちこちを刃物で切られ、真っ赤な血が身体から滴り落ちます。」
「どんどん視界が黒く染まり、やがてその意識を失いました。」
「相手に対する憎しみと、運命に対する悲しみだけを残して。」
「やがて少年が目を覚ますと、目の前には自身の鎖を握っていたはずの者らしきナニカが、真っ赤な水溜りに横たわっていました。」
「驚き、立ちあがろうとした瞬間、腕から血が一滴落ちます。」
「その血が地面に触れた瞬間、目の前には自身そっくりな人物が一人、赤黒い瞳でこちらを見ていました。」
「少年が誰、と問うと目の前の人物はこう言います。」
『俺はお前。』
『お前が生まれ持つ魔法。』
『憎しみと悲しみが具現化した者。』
「そう言って消えてしまいました。」
「少年は驚きを抑えられない中、自身を繋ぐ鎖が無くなったことに気づき、その場から逃げました。」
「やがて逃げ切った先で手に職をつけ、少年は働き出しました。」
「しかし、その見た目が災いしてまた暴力を受けてしまいました。」
「少年は憎しみに支配され、その場にあったナイフを何故か自身の腕に突き立てました。」
「その血が地面に落ちると、あの時と同じ赤黒い瞳を持った自分が出てきました。」
「目の前にいる自分は何も言わず、その場にあったシャベルを持ち何処かに行ってしまいました。」
「やがて、自身を痛めつけた者は皆何者かによって殺された、ということを耳にします。」
「証拠なんてありません。」
「少年は自身の行為に驚いたと同時に、謎の高揚感、悦び、そして快楽を覚えました。」
「その感覚に酔いしれながらその場を離れ、その後場所を転々としながら生活をしました。」
「しかし、少年は、ほとぼりが覚めたころ、自分が自身の鎖を握ぎっていた者と同じ、穢れた存在になってしまったと自身の魔法を否定します。」
「それでも、やめられないのです。」
「己に危害を加える存在に、一度でも憎悪を覚えると体が勝手に動いてしまうのです。」
「どれだけ自分を否定しても、嫌っても、言うことを聞かない体。」
「殺人を犯すことを望むのは、少年の本心か、それとも魔法か。」
「自分と魔法の境界線が分からないまま月日が流れました。」
「数年後、少年と青年の境目の年齢になった頃、自身と同じように酷い目にあっていながらもキラキラと輝く橙色の瞳を持った少年を見つけました。」
「まだ、汚くて濁ったこの世界を知らず、希望を抱く、純真無垢な少年だった。」
「酷い暴力を受け、自身の目の前で今にも意識を落としかける少年。」
「いつもなら見てみぬふりをするも、何故か、その少年だけはほっとくことはできませんでした。」
「咄嗟に指を噛みちぎって血を出し、魔法を発動させ、少年を守りました。」
「処理し終わる頃には、少年は意識を失っていました。」
「また人をこの手で殺した、という快楽と嫌悪感に溺れつつ、ふと、この少年に見られてなくてよかったという謎の安堵感を覚えました。」
「少年の鎖を切り、その辺の医者の家に預け、その場を後にしました。」
「その時見た名札から、少年の名はチーノということを知りました。」
「やがて青年となった少年は、魔法と自分の境界線が分からないまま社会に溶け込み、生活しているんだとさ。」
「めでたしめでたし。」
「これが、俺の全て。真実だ。」
「所詮、俺は人を殺す快楽に溺れた殺人鬼。」
「魔法と自分の境界線が分からないナニカ。」
「人を救ったのもただの気まぐれ。」
「ホストクラブが長いのも、人を沢山殺してもただのトラブルとして処理され、バレにくかったから。」
「どぉ?チーノ。真実を知って。」
「幻滅した?」
「救ってくれた人が殺人鬼で。」
「いいえ。シャオさん。」
改めてその瞳を見る。
「貴方はそんな人ではありません。」
「人を殺して快楽を覚えるのは、それしか己を解放する術を知らないから。」
「俺を助けたのは気まぐれじゃなくて、俺と貴方を無意識に重ねていたから。」
「違う。そんなんじゃないで。チーノ。」
シャオさんはこの世の全てを諦めたような瞳でこちらを見る。
「シャオさん。」
シャオさんの元へ近寄る。シトラスの爽やかな香りが香る。
あの時、はるかに大きく感じたシャオさんの背はとっくに追い越していた。
そっとシャオさんを抱き寄せる。
「シャオさん。俺を、絶望のどん底から救ってくれてありがとうございました。」
「!」
「俺がなんでこの国に忠誠を誓ったか、分かりますか?」
「記憶がなくなった後も、貴方の瞳が、俺の心に残り続けた貴方にもう一度会いたかったからです。」
「貴方がどんな人でも、俺を救ってくれた人に変わりはありません。」
「それが魔法でも、シャオさんはシャオさんです。」
「自分自身を、これ以上否定しないでください。」
「犯してしまった罪は消えません。」
「貴方のやったことはきっと、許されへんと思います。」
「それでも、俺を救ってくれたことまで無かったことにはしたくない。」
「シャオさん、俺と一緒に来てくれませんか?」
「一緒に、罪の償いをしましょう。」
シャオさんは何も言わずに、静かに頷いた。
いつの間にか、ローブの男は消えていた。
「おかえり。チーノ。思ったより早かったな。」
総統室に入ると、大量の書類をトントンさんと共に片付けている最中だった。
「で、そいつが例のやつか。」
怪しまれつつも、なんとか軍にシャオさんを連れ帰ることができた。
「こいつが件の連続殺人鬼か。」
「取り敢えず、魔法を見せてくれないか?」
新しいおもちゃを貰った子供のようにキラキラと目を輝かせるグルッペンさん。
「分かった。」
そう言い、シャオさんは指を噛みちぎり血を床に落とした。
床に触れた瞬間、もう一人のシャオさんが出現した。
「おぉ!!」
「これが例の魔法!!」
「この魔法を使えば、要人暗殺に使えるぞ!」
「それに、本人は交渉術に長けているときた!!」
「ぜひ、我が軍に来てくれ!!」
「グルさん、落ち着け。」
この一連の流れにキョトン、とするシャオさん二人。
「あの、もういいですか?」
「おぉ、すまん。ありがとな。」
そう聞くと、もう一人のシャオさんが消えた。
「それで、どうする。」
「今、貴様に残された選択肢は一つ。」
「ここで軍の監視下の元、軍人となり罪を償うことだ。」
「拒否しようものなら、その場で死刑が確定する。」
仮に魔法が原因だったとしても、連続殺人は赦されない。拒否すれば、この国の司法に則り処刑される。
「なるで。軍人。」
「もう、暴走なんてしないから。」
また目を輝かせるグルッペンさん。
「そうか!!」
「やったな!トン氏!」
「人員が増えたぞ!!」
「ハイハイ。それよりも早く書類終わらしてください。」
キャーキャーやっている二人を横目にシャオさんの元へ駆け寄る。
連続殺人鬼を前に騒ぐ二人を見て、改めてこの部隊は狂っている。
「チーノ。ありがとな。」
「えっ?」
「俺を救ってくれて。」
琥珀色の瞳は、真っ直ぐ、明日を見つめていた。
駄文失礼しました。
改めてshaさん、お誕生日おめでとうございます!
今回、きゅうり様主催のsha様生誕企画に参加させていただきました!
主催であるきゅうり様のような文才はありませんが、なんとか書き切ることができました。
変な終わり方になってしまいましたが、最後まで閲覧いただき、本当にありがとうございました!
コメント、質問等、お待ちしてます。
コメント
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読み終わりました。第1話という枠を超えて、一つの物語としてしっかりと構成されているのが印象的でしたね。特にシャオロンさんの語りパート——奴隷から殺人鬼へ至る経緯を、感情を排した口調で語らせた演出に「自分の境界線が分からない」という主題が鮮やかに浮かび上がっていました。チーノが「覚えてなかったからこそ、再会してようやく意味を持った」というラストの構図も巧い。伏線の回収と、最後の琥珀色の瞳が明日を見ていたカットで余韻を残す構成も含めて、企画物としてよく練られた一話だと思いました。